マルチバース スパイダーマン from 国立魔法大学付属第一高校 作:葱山嵐
side渡辺摩利
入学二日目にして、一科生と二科生が問題を起こしているという連絡を聞き、私と真由美は問題が起きた正門へ向かった。
そこでは一科生の生徒の3人がCADを取り出して、魔法を発動しようとしていた。
それを見て、真由美がその発動を阻止して、生徒達に一喝する。
私は続いて生徒達に同行するように言う。
すると、言い合いをしていた一科生の女子生徒がこちらに来て話し始めた。
「あちらの一科生達が、二科生を「ウィード」と呼び、差別した挙句、魔法の対人発動をしました。
今警棒を持ってる彼女は別で、魔法の発動を阻害する為に武器を使いました」
一科の子が何が起きたのかを簡潔に説明してくれた。
なるほど、私の時もそうだったが、一科と二科の差別は今年もあるようだ。
だが、魔法の対人発動か。
「今、彼女が言った事は事実ですか?」
私はまず魔法を発動した疑いを持つ、一科生達に聞く。
その一科生達は気まずそうに俯き、否定の言葉が出ない。
その後、私と真由美は風紀委員室に一科と二科の生徒を連れて、他の生徒からの証言も確認し、「魔法の対人発動」、「二科生のウィード呼び」、で謹慎処分を下す事になり、その日は無事とは言えないが終える事が出来た。
だが、問題がもう一つ発生した。
今回、謹慎処分を受けた一科の生徒の一人――森崎駿は教職員推薦枠という枠で、風紀委員に推薦されるはずだったのだが、今回の件で彼を風紀委員に推薦する事は無しになり、人選のやり直しになった・・・
「さて、どうしたものか・・・」
「そうね・・・人選って結構難しいから困ったわね・・・」
現在、私と真由美は放課後の下校時間ギリギリまで話し合っていた。
そう、現在風紀委員会は卒業した生徒の二人分の穴がある。
その内の一枠はさっきまで教職員推薦枠で埋まっていた筈なのだが、今回の事件の主犯ともいえる人物を風紀委員に推薦するわけにもいかない、よって、枠に穴が増え、私達の胃にも穴が開きそうになっていた。
・・・ふむ、不謹慎だが、なかなかいい皮肉だな。
「誰かいい人はいないかしら」
真由美にぼやきに私も小さくため息をつき、ふと思い出した事を聞く。
「そういえば、一年の中に飛びぬけた成績の奴がいたよな?
確か名前は・・・」
「日比田君って子の事?
だったら、無理よ」
真由美は私が思い出せなかった人物の名前――日比田の名前を出し、即座に否定した。
真由美も残念そうな顔をしているという事は、恐らく生徒会入りを断られたのかもしれない。
「何故だ?」
確認のため、真由美に短く聞いてみると、真由美は一呼吸おいて少し声を潜めて答えた。
「実は彼、入学式の時に新入生総代として挨拶するする筈だったのよ。
でも、彼はそれを辞退したの」
「は?
新入生総代の挨拶を辞退した?
どういう事だ?」
言っては何だが、今のご時世は名誉を欲する者が多い。
魔法師の社会はランク至上主義で、魔法師とそうでないものの派閥は大きいものだ。
魔法師同士でもそれはあまり変わらない。
それどころか、家内でもそういった上下関係があるとも聞く。
彼の家がどういった家系なのかは知らないが、少なくともこの学校内でそんな事がバレたら・・・
「彼自身も卑下の眼で見られるかもな・・・」
「そうね・・・」
自分より優れている、現時点では入学の際の成績だけなのだが、それでも感情が先走り日比田という生徒を敵視する者が現れる可能性が出る。
そもそも、何故彼は総代を辞退したんだ?
「なぁ、真由美。
何故彼は新入生総代を辞退したんだ?」
「彼曰く、「僕は、生徒会とかの役員には向いてないですし、個人的にやらなきゃいけない事がありますので」って言って断られたわ・・・」
「えぇ~・・・」
いや、確かに一応、新入生総代の挨拶や、生徒会への参加は義務ではなく任意だ。
だが、それらを辞退するっていうのは珍しい。
「ところで、そのやらなきゃいけない事ってのは・・・いや、いい。
それは個人的に聞いてみよう」
「それだと、私が摩利に教えた事、バレちゃうじゃない・・・」
我ながらまだまだ子供だな、と自覚した。
side司波達也
一科生との問題が解決・・・とは言わないが解放を許された俺達は帰路についている。
ほのかのあの胆力には驚かされた。
その後、俺達はコーヒーショップに寄る事にし、道中でCADの話になった。
「深雪のCADを調整してるのは、達也さんなんですね」
「えぇ、お兄様にお任せするのが、他の人にお任せするよりも安心ですから」
「少しアレンジしてるだけだよ、深雪は処理能力が高いから、CADのメンテナンスには手が掛からない」
「それだって、デバイスのOSを理解できる知識がないとできませんよね、CADのシステム内にアクセスするスキルも必要ですし、すごいですね」
「俺もCADの勉強はしてんだけど、難しいんだよなぁ・・・」
「達也君、アタシのもお願いしていいかな?」
皆がCADについて話す中、エリカが自分のCADの調整を頼んできた。
だが、エリカが使っていたタイプは。
「無理、あのタイプのCADをいじる自信はないよ」
「アハッ、やっぱり凄いね、達也君は。
これがCADだって判っちゃうんだね」
エリカが俺の言葉にCADのストラップを手首に通して、器用にクルリと回してキャッチする。
レオが疑問符を浮かべた顔をすると同時に、葉茅が声を出す。
「あ、それって刻印型のCADだったのか」
「刻印型?
って事は、ずっとサイオン流し続けるんだろ、よくガス欠になんねぇな」
葉茅とレオの言葉にエリカがネタバレが早いわよ、と言いながらCADをしまう。
「そこら辺の詳しい話は、コーヒー買ってからにしましょ」
エリカは俺達の後ろの方にいたが、その言葉と同時に前の方に出て、コーヒーショップを親指で指差す。
俺達は目的のコーヒーショップに着き、それぞれコーヒーを購入した。
以前の言葉の通り、葉茅への罰として奢りで。
「そんで、さっきの続きだけど、何でガス欠になんねぇんだ?
俺と似たような使い方だと思うんだが」
レオはコーヒーを一口飲んで、エリカに質問する。
エリカも一口コーヒーを飲んで、答える。
「半分正解ね、まず、刻印部分にサイオンを送り込むのはあってるけど、アンタと違ってアタシのは振出と打ち込みの瞬間だけ、サイオンを流し込むの。
兜割りと同じ原理だから、そんなに消耗しないわ」
・・・いや、兜割りは本来秘伝や奥義に分類される技術だと思うのだが。
やはり、千葉の家の人間という事なのだろう。
千葉の家は「剣の魔法師」という二つ名がある、「百家本流」の家。
兜割りを簡単に出せる発言できるのは、彼女だからなのかもしれない。
「もしかして、うちの高校って一般人の人の方が珍しいのかな?」
「魔法科高校に一般人はいない」
「一般の魔法使いってのも、変な話だけどね」
美月の問いに、雫と葉茅が答える。
「それが、現代魔法だからね」
俺も短く答えた。
side日比田葉茅
僕達は皆駅について、別れて家に帰った。
だけど、僕はこれからまだまだ仕事がある。
スパイディ業に、魔法の勉強や研究、スパイディ業の見直しもある。
やる事は沢山だ。
僕は家について、タンパク質の補充、プロテインバーを食べてスパイディ業を開始する。
「街は今日も平和ではあるけど・・・平和でないものが隠れて暗躍してるんだよね」
僕はビルとビルの間に隠れて何かしてる人達を見つける。
何かの取引をしているようだ。
あれは、麻薬か!
おいおい、冗談だろ、今のご時世治療や医療は画期的に進化したっていうのに・・・健康に生きようよ。
さて、どうみても、カタギじゃない人達にこんばんはしようか。
僕は上から逆さになりながら、蜘蛛糸で下降していく。
「やぁ、それってどーみてもドーナツの砂糖とか、ピザの小麦粉じゃないよね?」
僕の声に彼らはびっくりした顔で僕を見る。
「ス、スパイダーマン!?
くそ!」
取引していた男は合計5人。
その内の一人が叫んで、逃げようとする。
おっと、そうはいかないぞ!
「そんな、逃げないでよ、僕の事嫌い?」
「嫌いだね、この蜘蛛野郎!」
逃げようとした男にウェブを飛ばそうとしたら、違う男が僕を殴ろうと拳をふる。
それに当たらない様に、垂らしていた蜘蛛糸から手を放して空中でクルッと回り、男の攻撃を避ける。
同時にそいつの拳にウェブを飛ばして、糸を壁にくっつけて、身動きを封じる。
「な! この蜘蛛・・・!」
「はいはい、そこで待っててね、ピザなら僕が焼いてあげるから。
パイン沢山のっけたトロピカル限定だけどね」
身動きを封じた男の口にウェブを飛ばして黙らせて、壁に蜘蛛の巣を作って拘束する。
もちろん、逃げようとしてるやつもね!
僕は逃げようとしてた男の背にウェブを飛ばして、僕の方に引っ張り、また壁にくっつける。
他の男も僕に攻撃しようとするけど、ウェブを使って上に避けて、上空からウェブを射出して床に拘束させる。
さて、残り二人!
「クソ、クソ、クソ!
この毒蜘蛛がぁ!」
「ちょっと、失礼じゃない!
僕は毒は持ってないよ、まぁ、孤独かもしれないけど・・・!」
失礼な事を言う男と、最後の一人に両手首からウェブを出して、お互いをハグさせて蜘蛛糸でグルグル巻きにして捕まえる。
さて、これで全員だね。
未だにウーウー唸る、彼らをそのままにして、取引しようとしていた物を見る。
「これはコカインかな?
麻薬って物によっては依存度低いらしいけど、手は出さないほうがいいよ。
体壊してからじゃ遅いから・・・ん?」
僕はコカインの入った袋を見てみると、何か、石みたいなものが混じっている。
これはなんだろう?
麻薬が入っていたスーツケースも見ていると、幾つか石が混じっていた。
いや、石というより宝石かな?
「何だか、嫌な予感がするなぁ・・・」
僕はよろしくはないんだけど、その石を一つだけ取って、家で調査する事にした。
さて、メモ書きも残して、警察に電話しよう。
まぁ、警察といっても、110番するんじゃないけどね。
僕はスパイディ専用の携帯である人へ連絡する。
「寿和警部、麻薬の取り締まり、並びに、謎の石を押収しました!
あれ、押収って使い方あってるかな?」
『あぁ、蜘蛛か。
いつも仕事を増やしてくれてどうも・・・』
千葉寿和警部。
警察の中で唯一僕と接点がある、警部で僕が犯罪者を捕まえた時は寿和警部に伝えている。
伝えた後、寿和警部がうまく処理してくれてる様で、彼には頭が上がらない。
彼自身もとてもフランクな所があるから、とても助かっている。
『それで、場所はどこだい?』
「今から場所を送るよ、少し待ってね」
僕は位置の情報を送り、その場を離れながら通話する。
よし、送信完了。
『・・・よし、受信した。
それじゃぁ、それではあとはこっちでやっとくから安心しろよ蜘蛛』
「助かるよ、それじゃぁ、後はよろしくね」
僕は寿和警部に報告を終えて、パトロールを再開する。
それにしても、この宝石みたいなのは何なんだろう・・・
お願いだから大きな事件はやめてよね・・・いや、小さくてもやめてほしいけれど。
あと、お願いだから、蜘蛛はやめてほしいなぁ。
蜘蛛呼びならウェブって呼んでくれた方がまだかっこいいのに。
そんな事を考えながら、僕はその日のパトロールを終えた。
少し、体調を崩しましたが体調崩した状態で書けるか実験しました。
鼻がグズグズいって止まりません。
それと、活動報告にも上げましたが、スパイディのデザインをしましたので、感想戴けると幸いです。
自分ではかっこいい、かっこ悪いの判断が付かないので。
【挿絵表示】