クラスが狂った第5次聖杯戦争 作:沼猫
―――その日、エミヤ(元アーチャー)は思い出した…
―――騎士王に食事を出す結果を…
―――騎士王の腹が満たせなかった時の屈辱を……
「クラスがおかしくなったけど、サーヴァントはサーヴァントよ!!創意工夫を凝らせば戦える…はず……きっと…………」
諦め悪く何とか足掻こうとする、我らが赤い悪魔こと『遠坂凛』
「凛……今の私に出来ることは炊事・洗濯・掃除等の家事全般に、魚釣り位だぞ?」
そんな風に情けなくも「私は戦えません」宣言をするドンファンこと見せ筋は元【アーチャー】、現【バトラー/フィッシャー】である男(エミヤ)である。
「うっさい!アーチャー!!ってもうアーチャーじゃないのよね……バトラー?フィッシャー?……………ああ!もうややこしい!!『アーチャー』のままで良いわよ!」
「凛、苛つくのも分かるが、紅茶でも飲んで落ち着きたまえ……今ちょうど入れたところだ」
「あら、ありがとうアーチャー」
――コクコク
「………って飲んどる場合かぁー!!!」
ブン(ガントの如く放たれるティーカップ)
パシッ(何事もなくキャッチする(暫定名称)アーチャー)
「なかなかの強肩…ではなく危ないではないか」
「何しれっと勝手に紅茶なんか入れてるのよ!」
「口に合わなかったかね?おかわりとお茶うけのクッキーも焼き上がったが」
そんなアーチャーの左手にはクッキーが綺麗に盛りつけられたお皿と(さっき凛に投げつけられた)ティーカップが載せてあるトレイが、右手には紅茶が入れられたティーポットが装備されている。
「いえ好みの味だったわ……ってクッキー?いつのまに?」
「クラス変更に伴いスキルも変更されていてね、【時短料理術】と【パティシエ】という物が発動したらしい、味は保証しよう」
(こいつ本当に何処の英雄なのよ……)
アーチャー、つまり弓兵として召喚されたはずがクラスが変わっただけでこれである。
クラスが変わる―――要するにその英雄の別の側面が前面に出てくるということで、クラス名だけで判断すると【弓兵】の別側面に【執事】【釣り人】である。
スキルも考慮すると、【主夫】【お菓子職人】等もありえた……のだろうか?
―――この時点で戦闘職20%である
「………ああもう!こんなヤツの事考えるだけ無駄ね!とりあえず情報収集よ!!」
「本人を前にこんなヤツ呼ばわりとは…」
「とりあえずサーヴァントの痕跡が何かしら残ってるはず……間桐はパス、霊脈があるところだと待ち構えられている可能性もあるし……他から当たりましょう!」
「無視かね」
りん ちゃん は げんじつとうひ を おぼえた !
―――赤主従探索中
「……表札は『衛宮』、えっ衛宮君の家?何でこんなに魔力が立ち上ってるの?」
「ふむ、たしかにこの魔力は異常だな……サーヴァント同士が戦闘していてもおかしくない位だが、戦闘音がしない」
赤主従の目線の先には異常な魔力が発せられている衛宮邸事武家屋敷がある。
「アーチャー、貴方【鷹の目】のスキルは残ってる……わよね?」
「残っているが、凛……君はマスターだろう?私のスキルなら見て確認すれば良いではないか」
「あっ…………貴方のスキルの数が異常なのが悪いのよ!何よ!【値切り交渉術】【フィッシングマスタリー】【節約術】【フラグ建築士】etc……って!戦闘に関係ないものばかりじゃない!」
うっかり確認漏れ
ただし今回はアーチャー(笑)にも原因があるため弁明の余地はあるだろう
「さっさと確認してきなさいよ!」
「やれやれ、サーヴァント使いが荒いことだ……」
何だかんだ言いながら指示は聞くアーチャー(【女難の相】持ち)
「さて、いったい何を行って……は?」
『追加の料理出来たぞ!』
『これも美味しそうですね、それでは』
モグモグ
『くっ…!十人前はあるのに凄い早さで消えていくっ!』
『アルトリアちゃん凄い!あんな早さで食べてるのに凄い上品!私だったら周りに撒き散らして下に落ちる前に食らいつくのが精々だね!』
『いや藤ねぇのそれも十分凄いんだが……ってそんなこと言ってる場合じゃない!他の料理も急いで終わらせないと!』
『士郎も料理作る速度がどんどん上がっていくね~それでいて品質は保たれて…いや品質も上達してるんだから凄いよね!』
『追加の料理おまちどうさま!』
『ありがとうございます』
カチャ(横に置かれる空っぽの大皿)
『さっきのがもう食べきられてる……馬鹿な、まだ食べる速度が上がるのか……?』
『士郎ー追加の食材トラック3台分で運び込まれてきたよー』
『ありがとう藤ねぇ!もう食材は底を尽きそうだったから助かったよ……』
カチャ(青王の横に置かれる空っぽの大どんぶり)
『どうぞ!』
『ありがたくいただかせていただきます』
『ギリギリだったね~後ちょっとでアルトリアちゃん待たせる所だったよ~』
『……こんなんじゃ駄目だ』
『士郎?』
『イメージしろ、思い浮かべるのは常に最高の一皿』
『士郎~?大丈夫~?』
『想像理念(どのような意図で)、基本骨子(どんな一皿を目指し)、構成材質(何の食材を使い)、製作技術(どの味を際立て)、成長経験(食材の変化を見定め)、蓄積年月(どんな料理工程を重ねるか)』
『士郎~帰ってきて~』
『工程凌駕(あらゆる工程を超えて)、料理作製(幻想を結び一皿と成す!)』
『士郎~何で光ってるの~?』
『出来たぞ!これが俺の料理の集大成達だ!』
そして作られた何百人分の料理
これで腹ペコ王の腹が満たされると信じて―――
『あっ、おかわりお願いします』
――――それは幻想だった
『なん…だと…?』
『いやーアルトリアちゃん凄いね!あの後来た追加のトラック15台分の食材も食べきっちゃうんだもん!』
『むっ?もうないのですか?……残念です。』
シオシオ…(萎びる青王のアホ毛)
『アルトリアちゃんまだ入るの?!ちなみに今腹何分目位?』
『ふむ……4…いや4.5分目位でしょうか』
『……あぁそういうことか』
『士郎大丈夫?』
『無限に料理を作った所で、究極の一(無尽蔵の胃袋)を持った相手には対抗出来ない……と言うことか………』
『では明日も楽しみにしています』
「『『えっ』』」
『私は部屋に戻っていますので、何かあればお呼びください』
スッ…パタン…
『……………………』
『士郎、大丈夫…?』
『フッ……フッフッフッ……』
『士郎?』
『これが……絶望……か……』
バタン‼(あんまりな現実に打ちのめされ、倒れる士郎)
『士郎ー!!?メディーック!メディーック!!』
「…………………」
『アーチャー、何か分かった?』
「……ひどい話だ」
『アーチャー?』
「古い鏡を見せられている……」
『ちょっとアーチャー?返事くらいしなさいよ!』
「こんなことが…あったのだったな…………」
サラサラサラ………(過去を思い出し、霊核に致命的な傷をうけた紅茶)
『ちょっとアーチャー?えっ、消えかかってる?!何があったのよ?!!』
「さーて、そろそろあちきもでばろうかにゃー」
「……おいお前」
「うん?こんなところにどちら様かにゃ?お嬢ちゃん?」
「お前神秘の塊だろ?じゃあレア素材落とすよな?」
「…うん?隣にいるのは騎士王…なのかにゃ?何かさっきから黙ってるし、どこ見てるのかわからにゃいけど」
「素材置・い・て・け☆!!!」
「ちょま!そっちの騎士王(?)が戦うんじゃナイのかにゃ?!!」
今度こそ続かない