奮い立てテキサス・ブロンコ   作:遊人

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目に見えない力! の巻

「ギャギャーーーッ!?」

 

自律した思考能力を持ち合わせてない脳無だが今、目の前で起きた事実に本能的に困惑を露にしていた

 

「す、すげぇ・・・。」

 

「あの黒い化け物を力で押し返した・・・!」

 

生徒達もその衝撃に戸惑うが同時に希望が灯り始めた

 

「なんだよそれ・・・ッ!

 

黙っておとなしく殺られとけよ・・・!

 

ガキ一人殺せないで俺たちが負ける?

 

ふざけるな・・・!ふざけるなふざけるなッ!!ふざけるなああああああああああああ!!」

 

ついさっきまで蔓延していた恐怖や絶望感が書き換えられていくのを感じとったのか死柄木は喉が裂けんばかりに絶叫する

 

「し、死柄木!?

 

落ち着いてください!」

 

「殺れ脳無!!この二人を殺せ!!絶対生きてここから出すな!!」

 

黒霧の説得もむなしく死柄木は苛立つ子供のように感情的に命令する

 

「ギャギャーーー!」

 

応えるように逆の手で拳を振るおうと迫る脳無

 

「ッ!!」

 

「怯むな!前に走れイズク!」

 

一瞬脳無に対する恐怖に飲まれかけた緑谷だが、

 

「ウアアアアッ!!」ダッ

 

咄嗟に放たれたテリーの言葉に従う

 

すると

 

「ギャギャ!?」

 

急に間合いをはずされた脳無の動きが鈍る

 

「構うな脳無!そのまま振り切れッ!!」

 

「イズク、タックルの要領でそこから沈み込め!」

 

「ッ!」ビュオ

 

「ギャギャウ!?」スカッ

 

脳無の拳は緑谷の上を暴風のように通り抜けていく

 

「今だ!上を向け!」

 

緑谷が上を向くと無防備な脳無の顎が見えた

 

「両足と右腕に力を込めて打ち抜け!」ダッ

 

アドバイスと同時にテリーも動き出す

 

「SMAAAAAAAASH!!」ガンッ

 

両足に閃光を纏った緑谷が地面を蹴りあげ攻撃動作によりバランスを崩した脳無の顎にカウンターのアッパーが炸裂する

 

「ギャフッ!?」

 

たまらず顔を上に向かされて突き上がる脳無に

 

「ナイスだイズク!」バッ

 

タイミングを合わせてテリーが飛びかかりジャンピング・ネックブリーカードロップの要領で首から叩きつけた

 

『オイルラッシュ・インパクト!!』ゴシャッ!

 

「ギャハッ・・・!」ゴパッ

 

あまりの衝撃に口から血を吐く脳無

 

「うおおおおおおおお!!」

 

「ウオッシャー!!いけー!そのままやっつけちまえー!!」

 

「瀬呂ちゃんも峰田ちゃんも落ち着いて。」

 

「いける・・・!

 

いけるよ!テリーくん!デクくん!」

 

二人のコンビネーション攻撃に歓声が上がる

 

「なぜだ・・・ッ!?

 

なんであのガキ二人の攻撃が脳無に通じてる!?

 

あんな古臭い技、『ショック吸収』の個性で・・・。」

 

「チッチッチッ・・・。」

 

二人のコンビネーション攻撃に吐血して倒れ伏す脳無に驚愕しながら言葉を紡ぐ死柄木に人差し指を左右に振りあきれ口調でテリーは話し始める

 

「ショックを無効ではなく吸収だろ?ならいくらでも戦えるさ。

 

このデカブツのようなあり余る力を振り回すだけで勝とうなんざ先人達への冒涜だ。

 

この技たちは先人達の高みへ目指す思いが形を成したものだ!その鋭さはどんな個性だろうとこんなんだろうと貫いていく!

 

そして!

 

貴様らのような小悪党には一生わからないだろうな。

 

 

どんな古臭い、過去の遺物と揶揄される技たちに星にも負けない輝きを灯らせる力を!人はその力をこう呼ぶ!!

 

 

『友情』と!!」

 

 

 

ボァァアアアアア

 

 

「ギャギャギャ・・・。」ヨロロッ

 

あまりの衝撃にゆっくりと立ち上がる脳無

 

「何をのんびりしてるんだ脳無!来るぞ!!」

 

脳無を挟んで向かい合うテリーと緑谷

 

「ウオオオオオオオッ!」ボァァアアアアア

 

「ハアアアアアアアッ!」バチバチッ

 

二人の()()()より一層強い光と閃光を帯びる

 

「いくぜッ!」ダッ

 

「テリーくん!!」ダッ

 

そして二人が右腕をかざしたまま全速力で脳無を挟み突進する

 

「ギャッ!?ギャギャ!?」

 

前後からの攻撃にどちらを止めるか悩む脳無を尻目に

 

「今だ、飛べ!イズクッ!」ダダダッ

 

「うんッ!!」バッ

 

二人の超パワーを纏ったラリアットが前後から脳無を襲う

 

『『G(GREEN )G(GOLD)クロスボンバー!!』』ドガァアアアアアアンッ!!

 

「ギャブァッ!!」

 

ガクッ ドサッ

 

膝から崩れ落ちる脳無

 

「ハアッ、ハアッ・・・ど、どうした?生かして帰さないんじゃないのか?

 

ご覧の通りこちらは誰一人死んじゃいないぜ!」

 

全身に力を込め声を張り上げ己の存在を誇示するテリー

 

「・・・脳無いつまで寝てんださっさと起きろ!

 

早く、早くあいつを殺せ!」

 

死柄木が癇癪を起こしたように叫ぶ

 

「テリーくん!」

 

「・・・ああ、下衆もここまでひどいと呆れて言葉もでねぇな。

 

お前に教えてやるよ。

 

俺が、いや!

 

俺とイズクがいる限り、貴様らのような下らない悪意が蔓延る時代など来ないことを!!

 

来い!イズク!!」

 

「うんッ!テリーくん!」バッ

 

テリーの一言で緑谷はテリーの上に肩車のように乗ると

 

「腕をおもいっきり振り抜け!」

 

 

『『テキサス・ツイスター!!』』

 

ビュオオオオオオオオオ!

 

 

テリーと緑谷の超パワーを纏った両腕の力により発生した竜巻が死柄木達を襲う

 

 

「く、黒霧!!」

 

「ッ死柄木、無理です!

 

私のワープホールがかき消されて転移できません。」

 

ギュギュギュギュギュ

 

「ぐっ、なら脳無を転移させろ!」

 

ズズズ・・・

 

「ギャギャギャ・・・ッ!?」

 

ダメージから回復して立ち上がった脳無の前に竜巻が襲いかかり

 

 

ゴオゴオゴオッ!

 

「ギャギャーーー!?」バシュン

 

脳無は何がなんだか分からぬまま竜巻に飲み込まれ上空へ弾き飛ばされてしまった

 

「頼むぞ、イズク!」

 

「ウアアアアアアッ!」ダンッ

 

その脳無を追いかけるようにテリーの肩を踏み台に飛び上がる緑谷

 

(いくぞ!テリーくんがここで僕に託してくれたんだ、今度は僕が応える番だ!!)

 

ガシッ

 

グアアアッ

 

緑谷は脳無の両足を掴み自らの脇にいれフェイスバスターの要領で落下する

 

「脳無、何してやがる!そんな雑魚の技なんか振りほどけ!!」

 

「ギャギャ!」グググ

 

「ッ!?」

 

下からの死柄木の叱責により脳無が脱出しようと抵抗を始め緑谷の体勢が崩れる

 

(くっそぉ、このままじゃ・・・!)

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さあ、早くみんなの所に行こうぜバクゴー!」

 

「うるせぇ!俺に指図すんなや!」

 

別のエリアに飛ばされた二人はその先で待機していたチンピラ達を一蹴し親玉がふんぞり返っているであろう中央に向け歩を進めていた

 

あと少しでたどり着くというところで

 

バシュンッ

 

「「ッ!?」」

 

中央の広場より何かが空へ打ち上げられ

 

「アアアアアア!」

 

それを追う様に飛び出し組み付く人影があった

 

「あ、あれって!」

 

(デ・・・デク・・・!?)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(緑谷、緑谷 出久・・・。)

 

更に二人とは別のエリアから中央に向け歩いていた少年、轟 焦凍の目にもその戦いの様子が映っていた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ギャ!ギャ!」ジタバタ

 

緑谷の技から逃れようと暴れる脳無

 

「おいおい、なんかやばくねぇか!?」

 

「わ、技が外れかかってきている!」

 

「デク君!!」

 

(こ、ここでやらなきゃダメなんだ!

 

大切な仲間を守るために!

 

僕に道を照らしてくれた人に報いる為に!

 

力を貸してくれ、OFA(ワン・フォー・オール)!!)

 

ボァァアアアアア

 

(こんな力もあったんだね。)

 

(エッ!?)

 

(まったく、俊典はいい後継者に恵まれたな。)

 

どこからともなくこの状況に似合わない優しい女性の声が聞こえてきた

 

(新しい可能性に巡り会えた記念に今回は私たちが助けてあげるよ。

・・・心配するな、九代目。

君と、君を信じる者達の間に生まれる"この"力があればOFAはきっと君に応えてくれる。

君らなら私たちが叶えきれなかった未来を見せてくれると確信している。

頼んだぞ、ヒーロー。)

 

「・・・プルス、Plus Ultra(プルス ウルトラ)ァァァァァァァッ!!」

 

ギュオオ ガシッ

 

ギュオオ ガシッ

 

いきなり緑谷の手から黒い縄のようなものが現れるとそれはまるで意志を持ったように脳無を拘束していく

 

「ギギャギャ!?」

 

脳無の抵抗を削いだ緑谷は再び体勢を安定させると急降下を再開する

そして目が合う

「テリーくん!!」ギュオオオオオ

 

その目は曇りひとつない輝きだった。

 

テリーは微塵の疑いもなく待っていたのだ、緑谷が自分の意志を汲み取りその任を全うしてくれることを。

 

「ああ、待ってたぜ!イズク!!」バッ

 

『テキサス・コンドルキック!!』バギッ

 

テリーもまた飛び上がり脳無に強烈な両膝蹴りを見舞い

 

「まだだ!」ガシッ

 

膝を顎にぶつけたまま両手で脳無の頭部を掴みロックし急降下に加わる

 

「なんだあの技は!?」

 

「なんかわからんがスゴそうだ!!」

 

「いったれー!テリー!緑谷!」

 

「この苦難を乗り越えて、僕たちはヒーローになる!」バチバチバチッ

 

「その腐った眼に刻むといい!

これが俺とイズクの、いや次代を担うヒーローの初陣だ!!」ボァァァァァ

 

『『ビルディング解体落としーーーー!!』』

 

ガガアァァァァァンッ!!

 

バキッメリッゴキッ

 

「ギャペ・・・!」ドサッ

 

「お、おい脳無!?

 

冗談はよせ、早く再生してアイツらを殺しに・・・。」

 

「・・・残念ですが死柄木弔、脳無は機能停止してしまいました。

 

おそらく脊髄や首などの重要器官への集中的なダメージの蓄積に再生のストックが追い付けなくなったと思われます。」

 

黒霧は努めて冷静に今目の前で起きた事実を自身の考察を添えて述べた

 

「お、おい!あの黒い奴動かなくなったぞ!?」

 

「あの二人の技が利いたんだ!」

 

「・・・勝った。

 

二人が勝ったんや!!」

 

ワッ!!

 

出入口で見ていた生徒達が歓喜の声をあげる

 

「テ、テリーくん・・・!」グググ

 

「ああ、俺たちが・・・勝ったんだ!」グググ

 

 

 

「ああ、脳無・・・。

 

そんな、対オールマイト用に持ってきたのに生徒にやられた?

 

こんな事あってたまるか。」ブツブツ

 

「死柄木弔、落ち着いてください。

 

脳無が倒されたとはいえあの二人も相応のダメージがあります。

 

後顧の憂いを断つ為にも私たちの手で二人だけでも始末しましょう。」

 

「「「「ッ!!」」」」

 

安堵に包まれた空気が一気に緊張感を帯びる

 

「ああ、そうだな。

 

脳無の敵討ちだ、ガキに舐められたままじゃ帰れねぇもんな!」

 

脳無が倒されたことにより呆けていた死柄木だが黒霧の提案に賛同し再び殺意を向ける

 

が、

 

「もう大丈夫だ、みんな。私が来た!!」

 

待ちわびた救援(オールマイト)の登場に再び安堵の声が上がる

 

「・・・この状況はいただけないですね。

 

悔しいですが死柄木、ここは撤退を。」ズズズ

 

「・・・くそ。

 

次は必ず殺してやる、待ってろオールマイト!

 

そして、そこの緑と金髪。

 

てめぇらの顔も忘れねぇからな!

 

平和の象徴の次は貴様らだ!」

 

「逃がさん!」

 

登場と同じように黒いモヤを作りそこに入り撤退を開始する二人を阻止しようと振るった拳は空を切った

 

「クッ!逃がしてしまったか!

 

・・・ハッ、それよりも大丈夫か二人とも!!」

 

「・・・ヘッ、ご覧の通り・・・楽勝だった・・・ぜ!」グラッ

 

「オ、オールマイト・・・僕たち・・・やりました・・・よ。」グラッ

 

ドサッ ドサッ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

チュンチュン

 

豪華な宮殿もに朝が訪れる

 

小鳥の囀りが聞こえ、気持ちのいい朝の日差しがカーテンの隙間から漏れ出て顔を叩く

 

そんな清々しい朝の空気が

 

ブウウウウーーーー!!

 

一瞬で消し飛ぶ豪快な一発で男の朝は始まる

 

「う~ん、よく寝たわい。」

 

「大王さま!何事ですか?」

 

「なにか大きな音がしましたが大丈夫ですか!?」

 

ガチャ

 

この男に仕えているであろう二人の男が勢いよく部屋に飛び込んで来たが

 

「「くっさァァ・・・!!」」

 

バタッ バタッ

 

「ハッハッハッ!すまんのう。今日はどうやら珍しく胃腸の調子がよくてな。」

 

「朝からなんの騒ぎ?」

 

男二人が倒れた後から一人の女性が現れる

 

「おお、ビビンバ。おはよう!」

 

「おはよう、あなた。

 

・・・あら、なんか今日はいつもより肌ツヤがいいわね。

 

なにか、いい夢でも見たのかしら?」

 

「フフフ、どうだったかのう。」

 

男は視線をカーテンの向こうに広がる空に移した

 

 

 




次回、激闘を制したテリー達に待つものは・・・。










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