奮い立てテキサス・ブロンコ   作:遊人

16 / 55
11/17 アンケート追加しました



喧嘩の流儀 の巻

"雄英体育祭"

 

個性の発現に伴い公平性が保てなくなり形骸化してしまったオリンピックの代わり誕生したという経緯をもつ一大イベントだ

 

「それだけに一般人のみならずプロヒーロー達からの注目も高い。

 

君たちがここに在籍する上で三回しかないチャンス。

 

これを生かすも殺すも君たちの努力次第だ。」

 

教壇にたつ相澤の言葉は自身もまたプロヒーローと言う立場にあるためとても重みがある

 

しかし、その程度で怯む様な生徒は一人もいない。

 

バチイイイィィィッ

 

既に一部の生徒からは見えない火花が教室内に散っており早くも気合い十分といった様相を呈していた

 

「しかし!それはそれ、授業はしっかりと受けてもらう。

 

体育祭に意識を向けすぎて授業に身が入らないなんて許さないからその辺は覚悟しておくように。」

 

その発言に数名の生徒はがっくりと頭を垂れた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

体育祭の開催を告げられた日の放課後

 

「な、なんじゃこりゃ~!!」

 

「え、なにごと!?」

 

教室を出ようとしたA組を待ち受けていたのは人、人、人

 

「おそらく敵情視察だろ、クソが。」

 

悪態をつきながらズケズケと教室の外に出る爆豪

 

「そんなことしても意味ねぇんだよ、どけやクソモブども!」

 

周囲を威嚇し道を開けようと吠える爆豪

 

 

すると

 

「おいおいなんだよ。

 

ヒーロー科って皆こんな偉そうな奴しかいないのかよ。

 

・・・なんかちょっと幻滅だな。」

 

「ああ!!」

 

 

 

A組の教室を囲っていた集団から一人の男が進み出てきた

 

「なあ、知ってるか?

 

普通科や他の科ってヒーロー科から落ちたから入ったやつ結構いるんだぜ。

 

それでも、今回の体育祭で場合によってはヒーロー科の編入を検討してくれるって話だ。

 

なにが言いたいかっていうと、あんまり調子乗ってると俺らがその席奪っちゃうよ・・・ってこと。」

 

その言葉が終わると同時にその後ろで控えている生徒達の瞳にも力が宿る

 

嫉妬、野心、決意・・・

 

数多の名も知らない同級生達から向けられる思いに圧を受けるA組

 

しかし

 

「ケッ、ごちゃごちゃうるせぇな!モブはモブらしくスッコんでやがれ!」

 

「お、おいやめろよ!

 

これ以上アンチ増やしてどうすんだよ!」

 

全く動じずに一蹴する爆豪に切島が止めにかかる

 

すると

 

「テリー、どこデスカ?」

 

緊迫から一転朗らかな声が通る

 

「おーい、ここだぜポニー。」

 

教室の奥からテリーが出て来る

 

「・・・なぁ、あれって。」ヒソヒソ

 

「ああ、入試の時の・・・。」コソコソ

 

「くっそー、美男美女カップルかよ!」ヒソヒソ

 

「リア充許すまじ!!」コソコソ

 

テリーは教室を出るとそのままポニーの声がする方向へ向かい歩き出そうとすると

 

「・・・いい気なもんだな、俺たちのことなんか眼中にないってか。」

 

ピタッ

 

「俺たちの宣戦布告なんてヒーロー科に受かってかわいいガールフレンドまでいるあんたにしてみれば知ったこっちゃないってことかい?

 

無視されるってのは馬鹿にされるより傷つくぜ。」

 

テリーの態度に皮肉を込めて問いかける、更にその言葉に同調し回り(特に男子)の視線も鋭くなりテリーに注がれる

 

「・・・。」クルッ スタスタ

 

「・・・っ!?」

 

するとテリーは体を反転させ男の目の前に立った

 

「一つ、言いたいのは俺は"あんた"じゃなく翔野テリーという名前がある。

 

それに本気で宣戦布告したいならまず自分の名を名乗るのが先じゃないか?」

 

「・・・心操(しんそう)心操 人使(しんそう ひとし)だ。」

 

テリーを見上げながらも目をそらすことなく名乗る心操

 

「OKだ。

 

心操、君の勇気に敬意を払いその宣戦布告は確かに受け取ろう。

 

・・・だが!」ギロッ

 

 

 

ゾクッ

 

テリーの眼光が鋭くなる

 

「誤解を恐れずに言わせてもらえば()()()()()ってのは本当だ。

 

なぜなら、俺らの視線は常に前を向いているからだ。

 

今回の襲撃事件で俺たちは望まずにヴィランと交戦した。

 

結果こそ君たちも知るように退ける事ができたが、それでも俺たちは知った。

 

俺たちがここを巣立ち向かう先に待つものは何なのか、その恐ろしさと手強さを!

 

君たちが俺たちに挑もうとするのは勝手だか、俺たちはこの経験を糧に更に先に進まなくてはいけないんだ!

 

その為にも今は時間が惜しいんだ、悪いが道を開けてくれないか?」

 

強い決意を滲ませたテリーの言葉が囲っている大衆のみならずA組にまで染み渡っていく

 

「おうおうおう、迷惑になってんだろうが、道を開けろ!」

 

 

囲みの後ろ掻き分けながら男の声が近付いてきた

 

「君は・・・?」

 

 

「おう、俺はB組の鉄哲徹鐵ってんだ!

 

最初はなんか偉そうな事を言ってるのが聞こえて来て怒鳴り込もうと思ってたけどよ!

 

こんだけの人数の前で威勢のいい啖呵を切るのが聞こえたんでな、気が変わった!

 

どうせなら俺らの宣戦布告も聞いてもらおうと思ってな!」ズイッ

 

鉄哲は自らテリーの前に進み出ると

 

「へっ、ポニーからは聞いていたが見かけによらずマジで熱い奴なんだな!

 

海の向こうのこんな熱い奴と戦えると思うと俺も燃えて来るぜ!

 

見てやがれ、てめぇらA組を負かすのは俺たちB組だ!」

 

言いたいだけ言ったのか鉄哲は満足そうに踵を返し揚々と引き揚げていった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(すごい!なんて眩しいんだろう。)

 

皆の前で堂々と言葉を発するテリーの姿に緑谷は尊敬の念を強めていた

 

そして同時に今日のお昼休みにオールマイトに言われた言葉が脳裏に反芻される

 

【"君が来た"と言う所を世の中に知らしめてほしい!】

 

自らの最も身近にいる憧れは更に上を目指すことを宣言した

 

ならば・・・

 

(そうだ、僕だって・・・僕だって立ち止まっている暇なんてない!)バチィッ

 

新たなる決意と共に血潮が体を駆け巡る

 

緑谷の拳は知らずの内に決意と共に固く握りこまれていた

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

鉄哲の嵐のような登場と退出によりなし崩し的に解散の流れになってしまい囲っていた生徒達は各々の目的の為に歩を進めていた

 

「心操!さっきのお前カッコよかったぜ!」

 

「ああ、スカッとしたよ!体育祭頑張ろうな!」

 

同じ普通科の代表の様な形で前に立った心操に皆が賞賛の声をかけてきた

 

「・・・ごめん、ちょっとトイレ。」

 

そんな喧騒を避ける様にトイレへと入る心操は

 

バタンッ

 

「ハアッ、ハアッ・・・!」ガタタッ

 

個室に入るなり呼吸を激しく乱しそのまま閉めた扉にもたれ掛かってしまった

 

(・・・やべぇな。なんだよあれ?)

 

ただ凄んで来るような輩は今までたくさん見てきた

 

だがテリーの発する()()は絶対的になにか違うと心操の本能は感じ取っていた

 

(・・・だからなんだ!俺だって、俺だってヒーローになりてぇんだ!)

 

弱気な自分をふりはらい、ここにも一人決意を新たに滾らせる者が現れた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

こうして各々の思いを募らせながら時は進み

 

ーー体育祭当日

 

出店やたくさんの観客、更に警備のプロヒーロー等が続々と集まり徐々に活気が溢れてくる

 

そんな活気が伝わってきたのか控え室の中は緊張感が張り詰めていた

 

落ち着きなく歩き回る者

 

気を紛らわそうと話し合う者

 

そんな中

 

「・・・緑谷。」

 

「えっ?」

 

轟が緑谷に話しかける

 

普段あまり接点が多い方ではない轟からの呼び掛けに緑谷だけでなく周囲も物珍しそうに視線を向ける

 

「客観的に見ても実力は俺の方が上だと思う。

 

けどお前、オールマイトに目ぇかけられてるよな。」

 

「ッ!!」

 

「別にそこをとやかく詮索つもりはねぇが・・・お前には勝つぞ!」

 

「おお!?クラス最強が宣戦布告!!」

 

 

普段クールで物静かなイメージの強い轟のまさかの言葉に周囲も驚きを見せる

 

「おい急に喧嘩腰でどうした?

 

こんな直前に・・・。」

 

 

切島が止めに入るも

 

「仲良しごっこじゃねぇんだ、別にいいだろ。」

 

頑なな態度を崩そうとしない轟

 

「・・・轟くんがなにをもって僕に勝つって言ってるかはわかんないけど、確かに大半の人間が僕と君の力を知れば君が勝つって思うよ。」

 

「お、おい!緑谷もそんなネガティブにならなくても・・・」「でもっ!!」

 

「僕だって、僕だって追い付きたい背中があるんだ!

その為にはこんなところで遅れをとるわけにはいかない、だから」

 

ーーー君に勝つ!

 

「・・・おお。」

 

静かにしかし闘志を秘めた緑谷の言葉に轟は満足そうに呟くが、

 

「・・・それと、お前にもだ。

 

翔野テリー!」

 

全員の視線が控え室の角に向く

 

「・・・・・・。」

 

先程からのやり取りにも我関せず、と言わんばかりに控え室の角に椅子を置きどっかりと座りながら腕を組み目をつむるテリー

 

「お前と直接戦ったことはないが、それでもこのクラスの中じゃかなりの実力だと思っている。だからこそ、今日ここでその決着をつけるぞ!」

 

轟の決意を秘めた視線がテリーに送られる

 

それにつられて皆の関心がテリーに向く

 

クラスでもトップクラスの実力者であり推薦入学者でもある轟からの言葉にテリーはどう答えるのか?

 

 

「・・・プッ。」

 

「ッ!!」

 

「クックックッ、ダッハッハッハッハッハッ!!」バシバシ

 

なんとテリーは腹を抱えて大笑い、堪えきれなくなったのか空いている手で自分の腿を叩き始めたのだ

 

「・・・なにがおかしい!」

 

これにはさすがに轟の顔も怒りに歪む

 

「ヒ~、ヒ~!

 

笑っちまうぜ!

 

こんな喧嘩の売り方も知らない様な温室育ちのチワワに吠えられるなんてな!」ガタンッ

 

一通り笑い終えるとテリーは立ち上がりその椅子を持ったまま中央に歩み寄る

 

「チワワちゃん、君がどうしてそんなに息巻いてるのかは知らないが物事には礼儀ってものがあるんだ。」ガチャガチャ

 

テリーはおもむろに先程まで自身が座っていた椅子を自分の前に置いた

 

「この前の心操と鉄哲の方がよっぽどマシな喧嘩の売り方だったぜ。

 

チワワちゃんよぉ、当然の如くチャンピオンってのは一人だ。

 

誰もが必死に全身全霊をかけて挑み、他人の懸ける思いを飲み込んでこそ、そこに重みが宿る。

 

だが、お前の今の言葉はなんだ?

この俺を片手間で倒すとでも言うのか?

 

そんな戦う相手も目に入れないような輩に!」グォッ

 

「テリーくん!?なにを、」

 

「この荒ぶるテキサスブロンコを止めることなどできるか!」ガンッ

 

バキャン!

 

控え室の空気が止まる

 

なんとテリーは椅子をおもいっきり蹴りあげ天井に叩きつけて破壊してしまった

 

ガタッドタッ

 

天井から無残な姿になったイスが落ちてくる

 

「チワワちゃん、これが俺の答えだ。」ズイッ

 

テリーは更に詰め寄り睨みつける

 

「・・・上等だ。」

 

「・・・テリーくん。僕も、君に!」

 

「おい待てコラァ!なに三人だけで盛り上がってんだ!」

 

そこに触発されたように爆豪も詰めてくる

 

「優勝するのはデクでも金髪野郎でも半分野郎でもねぇ!この俺だ!」

 

「かっちゃん・・・!」

 

「誰であろうと俺の道の邪魔はさせない!」

 

「ヘイヘイ、だったら回りくどいことせずに今ここで決着をつけるかい?」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

「な、なんかすごいことになっとる。」

 

「あ、あれに混じって戦うのかよぉ!」

 

「まさに修羅の道・・・。」

 

「き、君たち!止めたまえ!もうすぐ入場だぞ!」

 

飯田の言葉の後に入場を促すアナウンスが流れたことでイザコザは終了

 

しかし残りのクラスメイト達は嫌でも理解してしまった

 

(((((この体育祭、ただじゃ終わらない・・・!)))))

 

 

 

 

 

 




次回、注目の第一種目は?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。