奮い立てテキサス・ブロンコ   作:遊人

17 / 55
変えられぬ生き様 の巻

「さあさあお前ら!とうとう始まる年に一回の大バトル!お前らの目当てはこいつらだろ?鋼の精神でヴィラン襲撃を乗り越えた奇跡の新星!」

 

ーーーA組だろぉ!!

 

ワアアッ!!

 

プレゼントマイクの煽りを受け観客の熱が高まる中、入場するA組

 

その後ろからB組、普通科、サポート科・・・と順に入場してくる

 

「さあ!開会式を始めるわよ、まずは選手宣誓!」

 

18禁ヒーロー・ミッドナイトが台に上がり司会進行を務める

 

「18禁ヒーローが高校にいていいのか?」

 

「いい!!」

 

「選手宣誓、1年A組 翔野テリー!!」

 

ガヤを無視して式を進めるミッドナイト

 

呼ばれたテリーは壇上に上がりマイクの前に立った

 

「宣誓!我々選手一同は実力及ばずともその精神はプロヒーローに劣らぬよう正々堂々最後まで戦い抜く事を誓います!」

 

「OKよ!テリーく・・・え?」

 

ガチャ ポイッ

 

ミッドナイトがテリーの宣誓を聞き終え式を進行しようとした時、テリーがマイクをスタンドから外しスタンドを放り捨ててしまった

 

「・・・とまあ、宣誓は果たした訳だし折角こんな皆様の前に出させて頂いたんだ。

 

少し喋らせてもらうぜ!」

 

ザワザワ

 

「テ、テリーくん!?一体なにを・・・?」

 

緑谷の言葉が示す通り、ただの選手宣誓からの出来事に生徒のみならず観客やプロヒーロー達にも困惑が広がる

 

「俺の生まれはアメリカのテキサスって所だ。ここは遥か昔、個性発現以前にメキシコに支配されていた。

 

そこでテキサスの自由と独立を手にする為、名も無き勇者達が命をかけて戦った。

 

・・・この俺の中にも、その勇者達の血が流れている!

 

自由と正義の為に命を賭ける覚悟がある!

 

それが口先だけでないことを今日この大会で証明しよう!

 

私の道を阻む者がそれを上回る覚悟を持って私の前に立つ事を切に望む。以上1年代表、翔野テリー!」バンッ

 

ウオオオオオオオッ!!

 

テリーは言い終わるとそのままマイクを叩きつけて壇上を後に列に帰っていった

 

テリーの発した熱は客席を覆い

 

(これがテリーくんの覚悟!)

 

(ハッ、上等だ!)

 

(その覚悟を越えるのは俺だ!)

 

静かに

 

「まったく、テリーったら・・・。」

 

「フフフ、今の内に好きなだけ吠えておくがいいさ、すぐにわからせてあげるよ!僕たちB組がいかに優秀かって事を、アッハッハッハグヘッ」ビシッ

 

「ハッハッハッ、いいツレを見つけたな!ポニー!」

 

「物間、鉄哲!あんまりうるさいと注意されるよ。

 

でも、そうだね。みんな!見せてやろうじゃない!私たちB組の覚悟って奴を!」

 

しかし確かに

 

(・・・覚悟なんざとうに出来てる、こんな個性になっちまってそれでもヒーローを目指したあの時から!)

 

意志ある者の心に火を着けた

 

「う~~~ッ最ッ高よ!最高の宣誓だったわ!」

 

テリーの発した熱に呼応するように呼び覚まさせれた熱を感じとりミッドナイトもまたハイテンションになっていた

 

「さあ、その熱が冷めない内に最初の競技に移るわよ!

 

最初は~~~コレッ!!」

 

【障害物競争】

 

「計11クラス総当たりのレースよ!

 

全長はこのスタジアムの外周約4キロ、コースを守れば何でもありのサバイバル!

 

スタートはあそこよ!」バッ

 

ミッドナイトが説明を終えてムチを向けた先にはスタート用の門と信号機が置かれていた

 

「あの信号機が青になったならスタートよ!

 

さあ、行きなさい!」ピシィッ

 

振るわれたムチの音が響くと同時に皆我先にとスタートに集まる

 

ワイワイ、ガヤガヤ

 

一瞬にしてスタート地点は少しでもいいポジションを確保しようという生徒達に埋め尽くされる

 

そんな小競り合いが静まらぬ中、信号機が青に変わり

 

「最初のふるい。」

 

いきなり足元に冷気が走ったと思えば大半の先頭で待機していた生徒の足が氷に包まれ地面に縫い付けられてしまった

 

「さあさあ、遂に始まった第一種目!

 

実況はプレゼントマイクが行うぜ!そして解説はよろしく、ミイラマン!」

 

「お前が勝手につれてきたんだろ、少しは休ませろ・・・。」

 

ハイテンションで喋るプレゼントマイクの隣で怠そうに答える相澤

 

「さっそく全員を妨害していきなりトップに躍り出たのは轟!

 

いきなり独走体勢か?」

 

そんな相澤のクレームを無視して実況に移るプレゼントマイク

 

「バカ、よく見てみろ。」

 

集団に妨害を行いながら一人飛び出した轟だったが

 

(同じクラスの奴等すぐに越えてくる。

 

ここで少しでも離しておかねぇと!)

 

微塵の油断もなく冷静に戦況を見つめトップへ向けての算段を考えていた

 

そして案の定

 

「そううまくいかせねぇよ!半分野郎!」

 

爆豪を筆頭にA組が各々のやり方で轟の妨害を破り追走してきた

 

「同じクラスの奴は当然として結構残られたな・・・っと!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハイジョ、ハイジョ。」

 

 

「来たぜ最初の難関、ロボインフェルノだぁ!」

 

 

コースを塞ぐように現れたのは入試の時にも使われた0P敵

 

だが

 

「もっとすげぇの用意してくれねぇか?」コォォォ

 

パキパキパキッ

 

(アイツが見てんだよ!)

 

轟は個性を使い瞬く間に1体を凍結させてしまいその隙に更に前へ進む

 

「逃がすか!」Bom!

 

「俺もそうしよ。」シュルルル

 

「いくぞ、黒影(ダークシャドウ)

 

 

 

「さあさあ、何人か抜け出したぞ!ここからどうなるって、おいおいマジかよ!」

 

 

「ヌグググググ・・・テリャーッ!!」ゴゴゴゴゴ、ブンッ

 

 

フッ

 

 

「「「「ッ!?」」」」

 

 

先頭でトップ争いをするメンバー達に不意に現れた影

 

「ナンダ、クモッテクレタゾ。ラッキーダナ。」

 

「ち、違う。これはっ!?」

 

「うっそ!?」

 

「チイッ!」

 

「クソが!」

 

ズドォオオオオン!!

 

「ハイ、ジョ・・・ピージョ・・・ガーイ・・・。」

 

 

 

 

「な、なんと!?0P敵をぶん投げて妨害を行うトンデモ作戦!

 

これを実行したのは・・・

 

あの宣誓は伊達じゃない!1年A組 翔野テリー!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「スゲー、あのでかいの投げちゃたぞ!」

 

「カッコいい!」

 

「スゴいスゴーい!」

 

 

雄英高校体育祭、プロヒーロー達も駆けつけて見守る一大イベントの最前列に座っていたのは幼い子供達

 

「今年もこの様な経験をこの子たちにさせていただきありがとうございます。」

 

「別に構わんさね。それにあんたと私の仲じゃないか、そういうのはいいっこなしだよ。」

 

リカバリーガールに深々と頭を下げるシスター

 

元プロヒーローの彼女が営む孤児院[ガキンチョハウス]

 

観戦している子供達は皆、そこで養われている子供達だった

 

現役時代に交流があったリカバリーガールが奉仕活動の一環として毎年身銭を切り席を確保し招待していた

 

「それじゃ、そろそろあたしは救護室に戻るよ。」

 

挨拶を済ませるとリカバリーガールは自分の職場に戻っていった

 

「・・・さぁみなさん。感謝を忘れずに行儀よく見ましょうね。」

 

「「「「「はーい!」」」」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さあさあ、いよいよレースも終盤だ!

 

トップ集団は現在三人、いずれもA組だ!」

 

「このまま勝ちきる!」

 

「行かせるか!俺が一位だ、クソが!」

 

「テキサス(スピリット)を侮るなよ!」

 

「そんな奴等を待ち受ける最後の関門はこれだ!一面地雷原怒りのアフガン!!」

 

道が開けたと思えば看板にdangerの文字が三人の目に飛び込んでくる

 

「威力こそないが音と見た目は派手だから失禁必死だぜ!」

 

「人によるだろ。」

 

 

 

「俺には関係ねぇ!」

 

自らの個性で空中を移動する爆豪

 

(くそ、不用意に下を凍らせれば後続に道を作っちまう!)

 

「ウオオオオ!この程度で俺が怯むか!!」ボンッ ドガンッ

 

 

三者三様に我こそはとせめぎ合う三人の後方で不意に轟音が響く

 

「アーッとなんだ!?急に大爆発が起きたかと思えばあれは、A組の緑谷!爆風で猛チャージだ!」

 

「あれは0P敵のパーツだな。最初のロボインフェルノでちゃっかり持っていっていたのか。」

 

 

 

 

「やるじゃないかイズク。だが、簡単にトップを譲るつもりはないぜ!」

 

「クソデクが!俺の前に立つなや!!」

 

「・・・!」

 

突然トップ争いに参戦してきた伏兵の存在に三人は追走を仕掛けるも

 

(追い付いた!でもまだダメだ、このまま降りたらすぐに三人に抜かれてしまう!)

 

やっと手に手繰り寄せた勝利への光

 

逡巡の邂逅を挟み

 

緑谷が出した最適解は

 

(追い越し無理なら、抜かれちゃダメだ!!)ブンッ

 

カチッカチッ

 

ボオオオオン!

 

「なんと緑谷!再び地面にパーツを叩きつけて地雷を強制爆破!妨害と加速を一辺に行ったぜ!こいつはシビィー!」

 

「ハアッ、ハアッ・・・!」

 

そのまま受け身を取り素早く立ち上がると緑谷は勢いのままに駆け抜ける

 

「さあさあ地雷原を抜けたら先はトンネル、そこを潜ればゴールは目前スタジアムの中央にあるゴールを最初に通過するのは誰だ!?」

 

緑谷は必死に息を切らし足を動かす

 

暗いトンネルを駆け抜けた先には[ゴール]と掲げられた簡易的なゴールが置かれていた

 

「オーッと、いきなり衝撃の展開だ!トンネルを抜け出てきたのは誰が予想したかA組緑谷出久!このまま栄光のゴールテープを切る!」

 

「いや、まだだ!」

 

 

 

(最後まで油断するな!絶対来る!)

 

ヌッ

 

「ウオオオオオオオッ!」

 

緑谷がトンネルを抜け出るや間髪いれずにもう一人抜け出る影が現れた

 

「ヒャッハー、喜べお前ら!アイツらは最後の最後まで俺たちを楽しませてくれるらしいぜ!

 

猛追するのは同じくA組、翔野テリー!」

 

「緑谷が逃げ切るか、翔野が差すか・・・。どちらにしろギリギリの戦いになりそうだな。」

 

(やっぱり来たね!テリーくん!!)

 

 

(イズク、悪いが俺も一位は譲れない・・・ハッ!)

 

ダシュ

 

「ど、どうしたんだ!?そっちは、っておい!!」

 

「くっ!!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ワアアアアッ

 

 

「どっちだ!?」

 

「行け!差せ!」

 

「気張れー!逃げ切るんだー!」

 

最後の直線でまさかの一騎討ち

 

この展開に観客のテンションは第一種目とは思えぬ盛り上がりを見せていた

 

「うわあああ!どっち!?どっちが勝つの!?」

 

「どっちも頑張ってー!!」

 

その波は子供達も関係なしに取り込む

 

子供達も自然と熱をあげて食い入るように見つめ応援にも力が入っていった

 

が・・・。

 

「イケーーーーッ!!」ガタンッ

 

 

 

なんと興奮した観客の一人が勢いよく立ち上がってしまい

 

ドンッ

 

 

「へ・・・?」

 

なんと前にいた子供を観客席からスタジアムの中へ押し出してしまった

 

「う、うわああああああ!?」

 

観客席の高さは個性が及ばないように高めに作られている

 

そこからの急降下

 

更に周囲の人間もレースに集中しているためほとんどの人間が見てすらいない

 

「へ、なんだ?」

 

「あ、あれ!?」

 

「子供が!」

 

仮に見ていたとしても反応がどうしても遅れてしまっていた

 

誰もがすぐに救いの手を伸ばせそうにない状態の中

 

「ヌオオオオオオオオ!!」ダダダッ

 

ガシッ

 

「あああああ・・・へ?」

 

 

「・・・大丈夫かいボウヤ。ちゃんと席に座って観戦しないとダメじゃないか。」

 

成す術なく地面に激突すると言う悲劇を回避したのは

 

他ならぬレースに参加したテリーだった

 

子供が無事とわかるや周囲は安堵に包まれたが

 

ビーッ、コースアウト!!

 

ビーッ、コースアウト!!

 

無機質な音声がスタジアムに鳴り響いた

 




次回、テリー・・・失格!?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。