奮い立てテキサス・ブロンコ   作:遊人

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アイアンハートとテキサスブロンコ の巻

激しい戦いが行われた為に傷ついたフィールドの修復とミッドナイトの精神状態を安定させる為に小休止が与えられていた

 

「こうなっちゃうのね・・・。」

 

「ん。」

 

「これもまた神の思し召し・・・。」

 

二回戦第二試合

 

翔野テリー

 

VS

 

鉄哲徹鐵

 

電光掲示板に書かれた文字

 

B組の女子メンバー達はなんとも心苦しい表情でいた

 

普通ならB組の代表として目下奮闘中の鉄哲を応援するところだが、対戦相手のテリーはポニーのボーイフレンドだ

 

二人の仲の良さをよく知る彼女達からしたら鉄哲の事を応援するのも少し気が引けてしまう

 

しかし

 

「鉄哲、ファイトイッパツデース!!」フリフリ

 

えらく気に入ったのか未だにチアガールの格好をしたまま鉄哲の応援をするポニー

 

「ね、ねぇポニー・・・。

 

無理して鉄哲を応援しなくてもいいんだよ。」

 

「What?

 

どうしてデスカ一佳(イツカ)?」

 

「ど、どうしてって・・・

 

テリーはあんたにとって大事な人じゃないか、だったらそっちを応援してあげなきゃ・・・。」

 

一佳の言葉にポニーは首を横に振った

 

「それはノープロブレムデス。

 

今のワタシはB組の角取ポニーデス、B組の鉄哲を応援することは不思議じゃないデス。

 

テリーもきっとそうするべきだと言ってくれマス。

 

それに私がなにも言わなくてもテリーは頑張ってくれマスヨ。」

 

「・・・そっか。」

 

「信頼されているのですね。」

 

「ほんと、ウラメシイ関係ね・・・。」

 

「ん」

 

そこへ・・・

 

「アッハッハ、素晴らしい!素晴らしい心がけだよ、ポニーさん!

 

そうとも、そうとも。

 

僕らB組が優秀だと知らしめる為にも鉄哲には優勝してもらわなくては!

 

その為にもB組一丸となっての応援は必要不可欠!

 

さあ、声高らかに応援しよう!」

 

「YES!

 

鉄哲!

 

ボコッちゃってクダサ~イ!!」

 

「なに教えてんだ!!」ズビシッ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さあさあ、いよいよ再開だ!

 

 

鉄哲鐵徹

 

VS

 

翔野テリー

 

 

このバトルは確実に熱い展開が待っている!

 

俺の勘がそう告げているぜ!!」

 

二人が会場に出てくるが

 

「・・・・・・。」ザッ

 

「ち、ちょっとテリーくん!?

 

所定の位置で止まって!」

 

 

ミッドナイトの制止の声も意に介さずテリーは更に闘技場の中心に歩み寄る

 

「・・・へッ、なるほどな!」ザッ

 

すると鉄哲も中心に歩み寄ってくる

 

「そうだよな、俺たちの個性は小細工なんてできないんだから最初ッから近寄った方がやり易いもんな!」

 

「話が早くて助かるぜ、鉄哲。」

 

「アーッと、二人とも早くも互いの射程圏内!

 

しかしこれでスタートでいいのか?」

 

「双方がいいって言うなら問題ないだろ。

 

それに・・・。」

 

「ああん!

 

もう・・・なんて青臭い・・・いいわ!

 

許可します、思う存分やりあいなさい!」

 

「Thank You。」バサッ

 

許可が降りるやすぐにテリーは上半身の衣服をまとめて脱ぎ捨てる

 

「ウワッ!?」

 

「ッ!!」

 

「ムゥ・・・!!」

 

露になったテリーの肉体にチャート上位のプロヒーローや近接格闘を主とするプロヒーロー達は刮目した

 

オールマイトもまたその一人だった。

 

(戦闘訓練の時から思っていたがなんと鍛え上げられた肉体だ。

 

私が学生の頃ですらここまでいかなかったのに・・・。)

 

 

 

「さあ、始めようか!」

 

「ウオッシャア!」ガチン

 

「さあ、始まるぜ!

 

男と男の真剣勝負!

 

こっから先は拳で語り合え、てめぇら!!」

 

「始め!」

 

ミッドナイトの合図と同時に

 

「ハアッ!」シャッ

 

「ウリャ!」バッ

 

ガキョオオオオン

 

「ファーストコンタクトは拳と拳ーーーーーー!」

 

互いの右ストレートが衝突する

 

「アッハッハ、鉄哲の個性は【スティール】!

 

生身の拳でぶつかるなんて自殺行為だよ!」

 

ブシュッ

 

「ウオオッ!?」グオォッ

 

 

「な、なんと!

 

押し飛ばされたのは鉄哲の方だ~~~!?」

 

「しかし、テリーの拳も無事じゃないな・・・ッ!?」

 

相澤の指摘した通りテリーの拳から血が流れ落ちる

 

しかし

 

「まだまだ行くぜ!」ガシッ

 

圧力に負け怯んだ鉄哲へ一気に距離を詰めて左手で髪を掴み

 

「ヌンッ!!」

 

ゴキャ

 

血濡れた右拳を顔面に打ち込む

 

「ヌゴッ!」

 

「まだまだぁっ!!」

 

ガンッ ガンッ ガンッ ガンッ

 

二発、三発、四発・・・と鈍い音をあげながら拳を叩き込み続けるテリー

 

「な、なんてバカなことを・・・。

 

あんなことをすれば彼の拳だってただじゃすまないはずだ!」

 

拳同士がぶつかったとき余裕に見ていた物間の顔が驚愕に染まる

 

「・・・それがテリーなんデス。

 

彼は目の前の勝負にいっつも全力なんデス。」

 

「ウゴッ、んなろ!

 

やられっぱなしでたまるか!」バシッ

 

鉄哲は掴まれた手を振り払い

 

「お返しだ!!」ブンッ

 

全力で振りかぶった拳は・・・

 

「ヌンッ!!」バキャッ

 

「あがっ!?」ガキョッ

 

「な、なんと~~~~ッ!!

 

翔野テリー、頭で迎撃!?」

 

「拳に対して額の一番固いところを合わせたな。」

 

プシュャ

 

パタタッ

 

鉄哲の拳とテリーの額から血が流れる

 

「がっ、あああ・・・!?

 

な、なかなかやるじゃねえか・・・!」

 

「鉄哲よ!

 

俺はいった筈だぞ!

 

命をかける覚悟があると!!」クルクル

 

額から流れ落ちる血に目もくれず、テリーは左手を回転させるムーブを行い

 

『ブロンコ・フィストーーーッ!!』

 

ゲシャ

 

鉄哲の鼻っ柱に左拳を叩きつけた

 

「ブガアッ!?」ズザザッ

 

そのあまりの勢いに鉄哲は背中から倒れていった

 

「どうした鉄哲!

 

そんなものか!!」

 

テリーの一喝がスタジアムに響いた

 




次回、このままでは終われない鉄哲、意地を見せれるか・・・。

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