奮い立てテキサス・ブロンコ   作:遊人

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漢が一度背負ったなら の巻

「ウググ・・・。」グググ・・・

 

「フンッ!」バッ

 

テリーは起き上がりかけていた鉄哲の頭を掴み

 

「ほらほらどうした、もう終わりか!」ガシッ

 

「ぐああああ・・・ッ!!」ギリギリ

 

ヘッドロックで締め上げる

 

「つ、強い・・・。」

 

「あれだけ近接戦闘の基礎がしっかりしているなんて、近年稀に見る即戦力だ!」

 

「しかもただ力任せじゃなくて一回戦で見せたテクニックもある、これはまた一人とんでもないのが現れたぞ!!」

 

テリーの戦いぶりをプロヒーロー達は嬉々として見ていた

 

 

 

「う、嘘だろ!?」

 

「鉄哲殿があんな一方的に・・・。」

 

B組もまたテリーの実力を目の当たりにして言葉を失っていた

 

鉄哲が決して弱くない事を皆知っている

 

B組の中でもシンプルながらその個性を生かした前衛としての実力は屈指のものだ

 

「こ、これがA組とB組の差なのか・・・ッ!?」

 

誰かが口惜しそうに呟いた

 

ヒーロー科を合格した41人、倍率300倍とも言われる難関を潜り抜けてきた精鋭であることは間違いないがクラス分けでA、B ときっぱり分けられたことにより学校側が否定しても序列を作られた様に映ってしまう

 

更にA組は入学早々ヴィラン襲撃事件に巻き込まれこれを乗り越えたと世間から注目の的になった

 

同じ難関を突破してきた彼らとしてはおもしろくなかった

 

なんとかしてこの状況をひっくり返そうとこの体育祭に挑み、鉄哲に望みを託したのだ

 

しかし・・・

 

「どうしたどうした! B組の覚悟ってのはそんなものか!?」

 

B組の希望はいまや風前の灯になってしまう

 

「鉄哲よ、お前が背負ったものはそんな軽いものじゃないはずだ!」グググッ

 

テリーは更に頭部への締め付けをキツくすると

 

 

『テキサスブルドーザーッ!』ブンッブンッブンッ

 

そのまま体を激しく左右に揺らしさらに締め付けを強めていく

 

「見せてみろ!B組の魂を!

 

そして拳を通して教えてくれ!お前の背にかかるモノの重みを!」バッ

 

ヘッドロックをかけたままテリーが足を前に投げ出し

 

『ブルドッキングヘッドロックッ!』ゴシャ

 

地面に叩きつけた

 

 

「ヌオオオッ・・・ッ!?」ヨロヨロ

 

「今だっ!」ビシュン

 

『テキサス・コンドルキックッ!』ドキャ

 

顔面を押さえながらなんとか立ち上がってきた鉄哲に間髪入れずにテリーが猛攻を仕掛ける

 

 

 

「おおッ!すごいな彼は!」

 

「前衛としてのタフネスは申し分ないし、サブミッションのテクニックは相手を無力化するのにもってこいだ!」

 

「エンデヴァーの息子に、その対戦相手だった子も凄かったし、今年は豊作だな!」

 

観戦しているプロヒーロー達の目も完全に翔野テリーに向いている

 

彼らの目に映るのはA組の生徒のみだ

 

それが堪らなく居たたまれなくなりB組は一人、また一人と意気消沈していった

 

(つ、強えぇ・・・。

 

俺は、ここまでなのか・・・!?

 

B組の意地を見せれずにこんな・・・。)

 

テリーの猛攻を前に鉄哲の意識が薄らいでいくなか・・・

 

「テーツテツ、テーツテツ!!」

 

声が聞こえてきた

 

その声が自身達のすぐ近くから聞こえてくる為、B組は再び顔をあげ声の主をみると

 

 

「テーツテツ、テーツテツッ!」

 

脇目もふらずにポニーが声を張り上げていた

 

テリーの攻勢に沸く会場のなかで鉄哲の名前を大声で叫ぶ

 

当然周囲の目も向くがおかまいなしにポニーは応援を続ける

 

「・・・鉄哲ーっ!頑張れーーーーーー!!」

 

すると拳藤も立ち上がり声を張り上げ激を飛ばす

 

「ほらっ、みんな!

 

まだ試合は終わってないよ!

 

鉄哲がまだ頑張ってくれてるんだ、あたし達が先に沈んでちゃ鉄哲に会わせる顔がないよ!」

 

「ソウデース、みなさんでで応援すれば鉄哲ももっとFightしてくれるはずデース。

 

彼がそういう人だってみんな知ってるはずデース!」

 

「・・・そうだね。」

 

「ん。」

 

 

「鉄哲殿ーーーーーーッ!ファイトですぞーーーーーーーーーッ!!」

 

「ズバババーって感じでボコボゴってすればドバンッと勝てるぞー!」

 

「・・・そうとも、そうとも。

 

なにを勝手に負けた気になっていたんだ。

 

こっからさ、こっからB組の華麗なる逆転劇が幕を開けるのさ!」

 

一人また一人とB組の目に再び生気が宿る

 

 

そして

 

「「「「テーツテツ、テーツテツッ!」」」」

 

「おっとこいつはシビィ!

 

B組からの熱烈な鉄哲コールだ!」

 

 

「あっ・・・ああ・・・ッ!」グググッ

 

倒れていた鉄哲の耳にも自身の名前を叫ぶ声が届いていた

 

「・・・さあ、鉄哲。

 

お前を呼んでるぞ、お前はどうする?

 

ポニーから聞いていたお前はそこでいつまでも倒れている男じゃないはずだぜ。」

 

鉄哲の四肢に再び力が宿り

 

「んぐぐぐ・・・うおっしゃーーーっ!!」

 

「立ったーーーっ!鉄哲、B組の声援を受けて立ち上がったー!!」

 

ウオオオオオオオオオオオオオオッ!

 

鉄哲の勇姿に観客も大いに沸き上がる

 

「ハアッ、ハアッ・・・待たせたな。」

 

「まったくだ、このまま終わったんじゃ拍子抜けだったぜ。」

 

テリーはやれやれと肩をすくめた

 

「ヘヘッ、わざわざ待ってくれてたってか!お前良い奴だな!」ガギン

 

鉄哲は固くした両拳を胸の前で合わせる

 

「さあ、鉄哲。

 

第二ラウンドだッ!」ダッ

 

「おうとも!!」ダッ

 

二人は共に距離を詰め

 

「フンッ!」

 

「オリャァ!」

 

 

ドスッ

ゴキッ

 

「まだまだ!」

 

「なんの!」

 

グギャ

ドチッ

 

「テイッ!」

 

「フンッ!」

 

「あ、相打ち!相打ち!相打ち!

 

ここに来て両者防御を捨てて殴りあいだ!」

 

ドワアアアアア!!

 

ワンサイドゲームに終わると思われた試合が急に熱を帯びた乱打戦に突入し呼応するように会場のボルテージも上がっていく

 

「いけ!そこだ!」

 

「顎狙え、顎!」

 

「いや金的を!」

 

「そりゃダメだろ。」

 

先ほどとはうって変わって興奮して激を送るB組

 

「おお、あれだけやられていたのにここに来てあそこまで建て直せるのか!」

 

「B組の彼も中々やるな!」

 

「少し融通が効かなそうだが裏を返せば一本気があるとも言える、いずれにせよ要チェックだな。」

 

プロヒーロー達の目にも鉄哲の勇姿は映り始めていた

 

そして

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

全国放送される雄英体育祭

 

苦渋を舐めさせられた敵連合も次回の対策にとテレビで観戦していた

 

「・・・フフフ。」

 

「先生?」

 

不意に死柄木の近くのモニターから声が聞こえてきた

 

「この個性という超常がありふれた世界で只の殴り合いとはね。

 

なんだか懐かしくなってしまったよ。

 

口惜しな、こんな体じゃなきゃ今頃この溢れる熱を発散しようと走り出してしまっていただろうに。」

 

男は暗がりで笑う

 

知らずの内に自らの拳の固さを確かめながら

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「テリャアアア!!」

 

ガキッ グチッ メキャ

 

「ヌオオオオオ!!」

 

ビシッ ドスッ パゴッ

 

互いにダメージを抑えるよりも相手に如何に多く与えるかを選んだ闘い

 

いつ果てるとも知らない殴り殴られを繰り返す両者だが

 

終わりの時が近い知らせが不意に届く

 

「ヌガアッ!」

 

ドギャッ

 

「グハッ・・・ッ!」

 

何度目かわからないテリーのボロボロの拳が鉄哲の顔面を襲う

 

「グ、グオオオオ・・・ッ!?」ガクガグ

 

(て、鉄分が・・・足りねえ!)

 

「おおーっと、急に鉄哲の動きが止まったぞ!

 

どういうことだイレイザー?」

 

「あいつもタイムリミットが近いな・・・。」

 

鉄哲の個性は発動型

 

時間とあまりの試合の激しさに体内の鉄分が急速に失われてしまっていた

 

「ハアッ、ハアッ・・・ッ!」

(終われねぇ!このままただでやられてたんじゃ・・・漢が廃る!

 

・・・ヨシッ、見せてやるぜ漢の花道を!)グググッ

 

鉄哲は意を決して体を起こす

 

「ハアッ、ハアッ、さ、流石だな!

 

ここまでやるなんてポニーが惚気るだけあってやっぱスゲェよ、お前。」

 

「・・・・・・。」

 

テリーはファイティングポーズを解くことなく肩で息を切らしながら鉄哲の言葉に耳を貸す

 

「このまま続けても、たぶん俺は勝てない!

 

いくら俺がバカでもそんくらいはわかる!!」

 

突然の鉄哲の言葉に観客達も動揺する

 

「でもよ、俺もただじゃ終われねぇんだ!

 

そこでだ!あんたの一番の大技を俺にかけてくれ!

 

それを俺は残りの全部の鉄分かけて耐えてやる!!

 

それがあいつらに今見せてやれる俺の精一杯だ!」

 

「なんと鉄哲ここに来てとんでも提案!?

 

おいおいイレイザー、流石にありゃ不味くねぇか?」

 

「・・・鉄哲の言い分もわからなくはない、勝ちを諦めるなど言語道断だがここはそれだけを競う場でなくアピールの機会でもある。

 

下手に乱打戦を続けて打ち負けて終わる可能性が高いなら、最後に自らの個性の最大値を見せておけば周囲の見る目も変わる。」

 

ミッドナイトもそこは理解している

 

だからこそ判断が難しくなっていた

 

テリーが繰り出す大技が予想以上なら下手をすれば鉄哲の命に関わってくるだろう

 

それは双方に深い傷を与えてしまう

 

しかしここで試合を止めては折角帯びてきた熱が逃げてB組の決意はないがしろにされてしまう

 

ミッドナイトがすぐに判断を下せずにいると

 

ダッ

 

ガシッ

 

「わかったぜ鉄哲!

 

お前の覚悟、翔野テリーが確かに受け取った!」グオッ

 

テリーは一気に鉄哲に掴みかかり、頭を脇の下に入れそのまま逆さまに抱えあげた

 

「おいおい!ありゃヤバくねぇかッ!?」

 

「あれは・・・ッ!」

 

鉄哲の体が上下逆になり垂直に抱え込まれる

 

「鉄哲よ!

 

今から俺が繰り出すのは紛れもなく大技だ!

 

お前の意地と誇りに敬意を払いお前を叩き潰す!」

 

「嬉しいぜ!ならその期待に応えるのが漢ってもんだ!

 

観客全員瞬きせずに見てやがれ!

 

これが鉄哲徹鐵の、いやB組の魂だああぁぁぁーーーーーー!!」ガキッガキッガキッ

 

グオオオオオオオオッ

 

鉄哲の叫びと共にテリーの体が後ろに倒れていく

 

「鉄哲!!」

 

拳藤の叫びが木霊する

 

『ブレーンバスターッ!!』

 

グガギャンッ!!

 

鈍い音が会場に響きその次に広がるのは静寂

 

コンクリートに頭から叩きつけられたのだ、いくら個性が個性だからといって限度がある

 

シュタ

 

「・・・・・・。」

 

テリーは先に立ち上がり振り返り鉄哲の方を向く

 

すると

 

ザッ

 

「・・・ッ!!」

 

「ヌギギギ・・・た、耐えた・・・ッ!

 

耐えたぞオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!」

 

鉄哲の絶叫に会場も堰を切ったように歓声に包まれる

 

その反応に満足したのか、鉄哲の体は脱力し前に倒れるが

 

パシッ

 

「見してもらったぜ、B組の(スピリット)をな!」

 

テリーがそれを受け止めた

 

 

○翔野テリーVS鉄哲徹鐵●(ブレーンバスター)

 

 

 





翔野テリーベスト4進出

次回、轟とテリー初対決!
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