「それではこれより表彰式に移ります。」
熱戦の余韻冷めやらぬ中ミッドナイトの小気味いい進行で閉会式が行われたが……皆の目は一位の座は誰も立っていなかった事と
「ンンン~~~~ッ!!」
コンクリートの柱に体を縛られ両手両足、果ては口まで枷を付けられて尚も暴れる爆豪に向いていた
「なお優勝した翔野テリー君ですがリカバリーガールの一存により救護室で絶対安静ということで不在になります。」
その言葉を誰もが納得して受け止める、それほどまでにテリーの闘いは激しいものが多く見るものの脳裏に強烈なインパクトを叩き込んだのだ
「しかしそれでは締まらないということで本人たっての希望によりB組の塩崎 茨さんに代理として授与していただきます。」
ミッドナイトに呼ばれた塩崎は一位の台の前に来ると深々と一礼をした後に台に上がった
「そして今年、メダルを贈呈するのはもちろんこの人!!」
「私が!メダルを持って来「オールマイトッ!!」せっかくの盛り上がりポイントだったが被ってしまい台無しになってしまった。
「んんっ!では気を取り直して、これよりメダル授与を行いますっ!!」
「では最初に八百万少女。並みいる生徒達のなかで唯一、女子生徒としてこの座に立った功績は素晴らしいものだ!
昨今女性ヒーロー達も目覚ましい活躍を見せている君も遠からずその一人になれると期待しているよ!」
「……ありがとうございます、オールマイト先生。」
オールマイトは八百万にメダルをかけると隣の轟の前に立つ
「轟少年、おめでとう。
……これまでの授業で使わなかった左を今回使った。何か心変わりがあったのかな?」
「……緑谷がきっかけをくれました。あいつが俺に思い出させてくれました。どうしてヒーローになりたかったのか、親父なんか関係ない…俺の根っこを。
そして翔野が教えてくれました。俺が如何に愚かでつまらないものに囚われていたのかを。」轟は自分の左手を見ながら答えた
「……顔つきが以前と全然違う。今の君ならその躓きから立ち上がり自分の望んだ未来へ歩いて行けるさ。もし道に迷っても共に寄り添ってくれる者がいる。
迷わず歩みなさい!いけばわかるさ!」
オールマイトの言葉に轟は小さく頷いた
「さて惜しかったな!ばくご「要らねえッ!!」ん!?」
「二位も最下位も変わんねぇ!俺はあんたを越えるヒーローにならなきゃいけねぇんだ!
こんな中途半端な勲章なんか欲しくねぇ!!
世間が認めても俺は認めなきゃゴミなんだよぉ!!」
オールマイトが口枷を外し開口一番に爆豪の口から出てきたのはメダル授与を拒否する言葉だった
「ウンウン、相対評価に晒されるこの世界で不変の絶対評価を持ち続けられる人間はそう多くない。
だからこそ受け取っておけ!"傷"として忘れぬように!!」
再び口枷をはめて無理やり爆豪にメダルを授与すると塩崎の前に立った
「まず授与の前に…すまなかった、塩崎少女。本来なら君たちの成長を見守るべき私たち大人が逆に君たちのチャンスをフイにする原因を作ってしまった。」バッ
オールマイトは悔やんだ顔で頭を下げた
「……頭を上げてくださいオールマイト先生。
私たちはこの決断を後悔していません。」
塩崎は頭を下げているオールマイトの後ろにいるB組に視線を送る
「この大会で私たちB組はまだまだ研鑽が足りないということがよくわかりました。
それは個性という意味でも…そしてヒーローの責務を担う一人の人間としても。
彼の様な道標足る御方を同級生に持つ私たちは幸運です。それを知れただけでもB組の参加した意義はありました。」
「……ありがとう、塩崎少女。そしてその決意は必ずや君達を遥か高みへと導いてくれるだろう!」
オールマイトはメダルを首にかけるのではなく手渡しで塩崎に送り観客席へと振り向く
「さあ、皆さん!ご覧いただいた通り今回は彼らだったしかしこの場の誰もがここに立つ可能性を秘めていた!競い高め合い、そして互いをリスペクトしあう彼らを見ればお分かりだろう、次代の芽は確実に伸びてきている!
てな感じで最後に一言!ご唱和ください!」
「「「プルス・ウル「お疲れさまでした!!」
オールマイトが締めの挨拶で盛大に誤爆したのを最後に
「けっ、ようやく終わったか。」プチッ
死柄木は忌々しげにテレビの電源を落とした
「おい、黒霧。こっちもそろそろ約束の時間だろ。」
「ええ、ちょうど向こうからもコンタクトがありました。今から迎えにいってきます。」
ズズズズ…
「グロロロ、ステイン様。お足もとをお気をつけください。」
「ああ」
黒霧のゲートからやって来たのは明らかに異質な雰囲気を纏った
先を歩くのは剣道の仮面と胴着に身を包んだ大柄の男
「…なるほど、酒場に連れてくるとはまずは客人を迎える最低限の礼儀はあるようだな。」
「……用件はなんだ?」
そしてその後ろに歩くのは赤いバンダナとマフラーそしてプロテクターを身に付けた男
顔は包帯状のマスクを着けているがその影のあるマスクにそぐわない程に鍛えこまれた肉体がプロテクターの下から主張していた
「なぁに、簡単な話さ。
俺達は今の社会に嘆いている。
俺達を窮屈な所に押しやる社会なんかくそ食らえだ。
だったら…そんなもんは何もかもぶっこわしちまえばいい。
そこでだ、悪の先輩としてちょっと力を貸してほしッ!!」ビュン
死柄木が言い終わる前に眼前に竹刀が突き出される
「口の利きかたに気を付けろ、青二才が。聞けばなんだその稚拙極まりない青写真は?
貴様の様なガキのママゴトに付き合うほど我々も暇ではないぞ。」
「し、死柄木ッ!?」ズズズ
一触即発の空気が流れるが
「よい。武道。」
「…ハッ。」
ステインの一声で武道と呼ばれた男は竹刀を退いた
「…貴様の信念はなんだ?」
マスクを通して射ぬく様な視線が死柄木に向けられるが
「はあ?信念?そんな仰々しいもんなんかねぇよ。
ただ、強いていえばオールマイトだな。あんな奴が祭り上げられる今の社会を壊したいと思っているよ。」
ゾワッ
「…フム、感情のみで動く凡愚かと思ったが歪ながらに信念はあるようだな。」
「はあ?」
「よいだろう、その芽がどう芽吹くか興味が湧いた。」
「で、では、交渉は成立ということに!?」
ステインの言葉に黒霧は問い詰める
「…まずは保須へ戻せ。俺と武道にはまだ為さねばならぬ事が残っている。仔細はその後だ!!」
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ザザーン。
ザザーン。
「この死闘を制したのは、翔野テリーだぁプツッ
とあるビーチ
一人の男がビーチチェアーからケータイ電話のテレビ機能で観戦していた。老人は決着と同時に携帯の画面を落とした
スクッ
立ち上がった男は日が照りつけるビーチだというのにパーカーのフードを深く被り素顔を隠していた
「フム、これが天命という奴か。」
立ち上がり男は歩き出す
己の為すことを見つけたその足取りはどこへ続くのか…
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「フフフ、弔は今頃新しい刺激を得ている頃だろう。」
暗い部屋のなかで怪しげな機械の発する光だけが怪しく光る、稀代の悪帝
「ふむ、嬉しい気持ちはわかるが余り興奮してくれるなよ、お前さんが本気を出されたらこの機械達ももたんのだからな。」
ドクターはめんどくさそうにぼやく
「フフフ、でもあの大会は見た価値があった。若き目も確実に伸びてきている、それこそ弔の障害に瞬く間になりうる程に……。
そこでだドクター
「何?
ドクターは顎に手を置いて渋る
「備えはあって困るものじゃないさ、急を要する時にいきなり動かしても本調子じゃなきゃ意味がないさ、頼むよドクター。」
ヒュウウウウウ……
ここは溶けることのない氷が一面に広がる永久凍土
その氷河の中に
ピシッ
ピシピシピシッ!!
ガガゴオォォォン
「…パゴッパゴッ…………パオーーーーーンッ!!」
再投稿させていただきました
活動報告にてテリーのヒーローネーム案を募集しております