奮い立てテキサス・ブロンコ   作:遊人

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正義に休息無し の巻

~???~

 

 

「ザ・マン、これは一体……?」

 

「フム、どうやらテリーマンが新たに生を受けた事による歪みと見られるな。」

水鏡に映る見覚えのある影達にザ・マンは自らの見解を示す

 

「しかし…どうやらこの影の中で()()()()()()()。後はテリーマンから翔野テリーへと変わる世界の調和を為すために生まれた模倣品(レプリカ)の様な者に過ぎん。

まあ、だからといって実力はそこまで劣化してはいないがな。

………心配か、ジャスティス?」

 

「……いえ、まったく問題ありません。」

「ほう?」

ザ・マンの問いかけにまったく表情を変えずジャスティスマンは視線を水鏡に移すジャスティスを見て

「……フッ。」

ザ・マンもまた水鏡に視線を送った

 

その間にも影は蠢く

やがて邂逅するその時を待ちわびる様に

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

体育祭後二日の休みを挟み登校日

 

「スッゴい声掛けられた!」

 

「俺なんて小学生にドンマイって言われたよ!」

 

流石全国放送と言うこともありA組の面々は登校の道中顔を指され声をかけられ続けて学校にたどり着いていた

 

「私も声かけられちゃった!デク君は?」

 

「ぼ、僕も電車のなかで…。」

 

「グッ、グッドモーニング…。」

 

「あっテリー君おはよって、ええええ!?」

 

テリーの声に振り向いた緑谷が見たのはカラフルなラッピングを施されたプレゼントや手紙の山を両手一杯に抱えているテリーの姿だった。

 

「テ、テリーくん!?どうしたのそれ!?」

 

「なんか来る途中で貰ったんだか参っちまったよ。こんなにあると持ち運ぶのも一苦労だ。」

テリーの何気ない一言で

 

「ぐぞおおおお!」

「ウラヤマジィィィ!!」

峰田と上鳴が癇癪を起こし

 

「やっぱり一位ってのは伊達じゃないね!」

「ウム、それもあるがやはりあのヒーローを体現した行動が皆の心を動かしたのだろうな!!」

 

麗日と飯田の賞賛の声が響くが

 

 

「おはよう」

 

担任の登場により皆瞬く間に席に着き教室は一気に静寂に包まれた

 

「さて、本日のヒーロー情報学はちょっと特別だ。」

 

その言葉に生徒達に緊張が走る

 

またとんでもない理不尽な議題が課せられるのか?

それとも忙殺されかねない課題が与えられるのか?

はたまた…

 

「コードネーム、ヒーロー名の考案だ。」

 

「「「胸膨らむヤツきたあああああ!!」」」

 

緊張から一気に解放された咆哮が響いた

 

が、それも担任の日々の教育の賜物か一睨みの内に沈静化し詳しい説明がなされた

 

要はプロヒーロー達によるドラフト指名が関係する

 

先の体育祭を見てプロ達からの指名は既に行われておりそれを元にプロヒーローの所へ職場体験に行かせて経験を積ませようというのが学校の考え

 

 

「――と言っても指名が本格化するのは2・3年……つまりは即戦力になってからだ。一年は大体将来への“興味”によるもので、情けない姿を見せれば一方的にキャンセルも珍しくない」

 

「大人は勝手だ!」

 

憤る峰田の声を無視して相澤は黒板に指名の内訳を映し出す

 

「例年はもっとバラけるんだか今回は片寄ったな。」

 

 

轟:4,123

 

爆豪 :3,556

 

常闇:360

 

八百万:256

 

翔野:96

 

飯田:38

 

麗日:20

 

 

映し出された数字にクラスがどよめく

 

「せ、先生!なぜ翔野君の指名がそんなに少ないのでしょうか!?

彼は名誉欲に捕らわれない高尚な行いを見せた優勝者ですよ!!」ビシッ

 

堪らずに飯田が綺麗な挙手から質問を投げ掛けた

それはクラスの総意であり最大の疑問だった

 

「だからだよ。翔野テリーの活躍は眩しすぎたんだよ、それこそ半端なプロヒーロー達じゃ自分の存在なんてあっという間に塗りつぶされる程にな。」

 

翔野テリーの高潔なる魂とそれにより体現される正義には今の名誉欲や自己顕示欲が先に立つ十把一絡げのヒーロー達には扱いきれないと判断されての数字だった

 

「だが量こそは少ないが質は間違いなくトップだ。

指名したヒーローの殆どがヒーローランキング50位前後、それ以外のヒーローも特定分野に置いて間違いなくトップに君臨するヒーロー達だ。」

 

その言葉に生徒達の間に納得の空気が流れる

 

「良かったなテリー。」

 

「ハッ、大したことない事務所なんかこっちから願い下げだったし選別する手間が省けてちょうど良かったよ。」

 

障子の言葉に軽口で返すテリー

 

「私語を許した覚えはないぞ。

 

さて、話が脱線してしまったが…これを踏まえお前達には指名の有無に関わらずプロヒーローの元へ職場体験に行ってもらう。」

 

「なるほど、その為のヒーローネームか。」

 

「燃えてきたね!」

 

「まぁ仮ではあるが適当なもんは…」

 

「付けたら地獄を見ちゃうよ!!」

 

教室の空気を塗り替える様に入ってきたのはミッドナイトだった

 

「この時付けた名前が世に認知されそのままプロ名になってる人、多いからね!!」

 

「…と言うわけでその辺の査定はミッドナイトさんにやってもらう。

つかぶっちゃけ俺じゃできん。」ゴソゴソ

 

言い終わるや否や相澤はミッドナイトに教壇を明け渡し早々に寝袋に入り始めた

 

(ヒーローネームか…。)

 

配られるフリップを見てテリーは考えを巡らせていた

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

保須

 

「グハッ……!?」ドシャ

 

「……弱い。

 

金、名声…そんなもに目が眩み平和の事を考えないような輩が皆一律に"英雄(ヒーロー)"を名乗る。

まったくもっておかしい、見かけだけを綺麗に着飾り中身は微塵も伴っていない。仮面(これ)をこぞって被ることが何よりの象徴と言えよう。」スッ

 

ガシャアアアン

 

「仰る通りでございます、ステイン様。()()は本来は強者の象徴でなくてはならない代物。

このような有象無象が被りあまつさえ実力も示さずもてはやされるなどこの世界は歪になっております。」

 

ドルルルルルルッ

 

「ッ見つけたぞ!」キキィーーーッ

 

路地裏の暗がりにたたずむ二人組のヴィランをプロヒーロー"インゲニウム"が発見する

 

「お前達が今横行している"マスク狩り"を行うヴィラン達か!!」

 

「いかにもそうだが、それがなにか?」

 

さも当然と振る舞う二人

己の犯罪現場を見られたと言うのにまったく動じる気配はない

 

「ッ!!

プロヒーローインゲニウムがこれ以上の凶行は許さん!喰らえッ!」

 

『レシプロバースト!!』ダシュン

 

急加速で一気に間合いを詰め制圧を狙う

 

「ふん。」スッ

 

「グロロッ!!」ビシッ

 

ステインが首を傾けると後ろに控えていた武道が竹刀を付き出した

 

「グホッ!?」ドスッ

方向転換が効かなくなった体に付きだされた竹刀をモロに胸元に喰らうインゲニウム

 

「……弱い。」スウッ

 

ガシッ グワッ

 

そうして怯んだインゲニウムの後ろに回り込むと

 

「弱い、弱すぎる!!やはり"ヒーロー"と名乗っていいのは……()()()だけだ!!」グググ

 

ステインの感情に呼応するかのように全身の筋肉が隆起を始め

 

『ダブルレッグ・スープレックス!!』

 

「ぐわぁーーーッ!!」ゴシャン

 

膝裏から両太股を抱え上げてスープレックスで叩きつけた

 

「……ぐうううっ、まだだ!まだここで倒れる訳には、」ヨロヨロ

 

頭部への強烈な衝撃を受けながらも必死の思いで両足に力を込めて立ち上がろうとするインゲニウムだったが…

 

「貴様の敗北をもって大々的に発信しよう!

 

我とステイン様が!

 

この"ブラッド・ミッショネルズ"がこの世にのさばる偽善を振り撒く弱者達を淘汰すると!!」グワッ

 

「武道!!」グワッ

 

インゲニウムを挟む様に構えた二人が前後からラリアットで襲いかかる

 

血染めの十字爆撃(レッドロード・クロスボンバー)

 

ガッシャアアアアアアアアアン

 

「グホォア……ッ!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「僕のヒーローネームは、」

 

考えたヒーローネームは査定を行うためクラスの前での発表形式となり既にクラスの殆どがOKを貰うなか決めかねていた飯田は

 

「あら、それでいいのかしら?」

 

「ええ、僕の憧れである兄に寄せた名前にしようかと思いましたが、まだ道半ばでそんな凝ったモノにしてしまうのはしつれいな気がして…。」

 

飯田のボードにかかれたのは"天哉"

自分の名前だった

 

「……なるほど、それじゃあ悩みなさい。自分が納得できるまで、それが出きるのも学生の特権よ!

 

それじゃあ次、テリー君。」

 

「はいっ、俺のヒーローネームは……

 

 

 

 

"テキサスブロンコヒーロー・テリーマン"ですッ!」

 

 




次回、テリーのヒーローネーム決定。次回から職場体験編突入 !


ヒーローネームについて返信くれた

いりごま塩 様

ムッシー 様

みみお 様

マーリンZERO人 様


ありがとうございました。
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