おそらく年内最後の投稿です
保須市
そこは今や混乱の真っ只中にあった
突如、夕時の町中に3体の正体不明の怪物が出現
周囲の人やモノを無作為に襲いかかったのだった
当然プロヒーロー達が対応に当たるも並のヒーロー一人二人では相手にならなかった
それもそのはず、この怪物こそ雄英高校襲撃事件の首謀者が対・平和の象徴として使役していた改造人間"能無"であり能力こそ雄英襲撃時の個体に劣るも並のヒーロー達を相手取るのに何ら不足はなかった
「クッ、なんだこいつ等は!!」
「し、至急応援を呼べ!!それと避難誘導も早く!!」
ヒーロー側が劣勢とわかるや一気にパニックに陥る市民
その混乱の最中
「天哉くーん!何でこんな時に限ってどっかいっちゃうんだ!!」
飯田天哉は姿を消した……。
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「……ステイン様、何やら表の方が騒がしいようですな。」
「またどこかの阿呆共が悪戯に力を振りまいているのだろう。そいつらもまた粛清の対象だ。
…だがまずは目の前の為すことを為そう。」
同時刻、保須市の路地裏でいつもの如く"粛清"という名のを狩りに勤しんでいた
既に一人のプロヒーローが彼らの牙により傷つき、ステインのアイアンクローにより壁に叩きつけられていた
「て、てめぇ等がブラッド・ミッショネルズ……!
ハハッ、てめぇ等をとっ捕まえれば俺のヒーローランニングもうなぎ登りだッ!!
この手を離せ…!そして俺が「黙れ。」
「辞世の言葉として慈悲の間を設けたがなんともお粗末なものだ。貴様にこれ以上の慈悲など不要!!」グワッ
ステインは頭を掴んだままそのプロヒーローを放り投げる
「武道ッ!」
「御意!」
呼ばれた武道は投げられたプロヒーローを掲げたラリアットで受け止めるとそのまま直進
「ステイン様!」
「贋物よ!新たなる正義創造の供物となれ!!」
そのままステインも前からラリアットで挟み込む
『
「ゴファッ…!」バファ
哀れプロヒーローはツープラトンの餌食となってしまった
「グロロ、流石ですステイン様。」
「まだだ、未だ我が理想へは道半ば…、こいつのマスクを剥ぎ取ったら表の騒動を見にッ!?」ビシュン
「クソっ、外したか!!」
振り返りマスクに手をかけようとしたステインの鼻先を何かが掠めていった
「……子供か?」
「ス、ステイン様!?おのれ狼藉者!!何者だ!?」
「……血のような赤い巻物と剣道着を着た男の二人組、ブラッド・ミッショネルズだな!?
僕は、お前達を追ってきた!何者かだと!?教えてやる犯罪者共!!俺はお前たちにやられたヒーローの弟だ…!最高に立派な
僕の名を生涯忘れるな!
"インゲニウム"お前達を倒すヒーローの名だ!!」
「……やれやれ、仇討ちか。兄弟揃って贋物とは救いようがないな。」
「グロロ、全くですな。」
飯田の怒りなど歯牙にもかけずゆらりと体制を整えるブラッド・ミッショネルズだったが
「小僧、お前の名前はわかった。そうか復讐か…なら、
死ね」
その一言を皮切りに一気に場の緊張感が高まる
(兄さん、見ていてくれ!!)
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保須市脳無襲撃事件直後
緑谷出久とグラントリノは新幹線で保須市を通過中に脳無の投げたプロヒーローが車体を直撃市事件に巻き込まれてしまった
「小僧、そこを動くなよ!!」
この緊急事態にグラントリノは個性を使い脳無に突撃し交戦し始めた
脳無の手強さを知っている緑谷もまた後を追い車両を飛び出て街に降り立つが、そこで知ることになる
「天哉くーん!何でこんな時に限ってどっかいっちゃうんだ!!」
(脳無……保須市……飯田くん……!!)
緑谷の思考回路がバラバラに入ってくる情報のピースを瞬く間につなぎ合わせて行き、
(ッ、飯田くんが危ない!!)
答えにたどり着いた時には既に体は走り出していた
同時刻ー
「こ、これは…!!」
「やはり良くないことが起きてしまったな。」
プリンスカメハメと翔野テリーも保須市を訪れていた
町中に悲鳴と爆発音が交差し混乱の様相が伝わってくるが
「……ッ、……………ッ!!」
ビルの上に止まっていた翼の生えた脳無がこちらを発見したのか獲物と思い飛びかかってきた
「クッ………!?」
咄嗟に構えたテリーだったがそこで彼が目にしたのは
「トアーーーーッ!!」
その脳無を迎撃するべく既に飛び出していたカメハメだった
「ここら辺がまだまだ青いな。"常在戦場"、この心構えを無くしてヒーローは務まらんぞ!!」
飛び上がりながらもテリーを叱責するカメハメはそのまま横回転して回し蹴りを放つ
『ローリング・ソバット!!』
鋭い打撃が的確に体の真ん中を撃つ、並の相手なら悶絶卒倒の一撃だが…
「……………。」
プロヒーロー数人と渡り合える実力を持つ脳無には耐えられてしまう
ビュオッ
反撃に転じようと腕を伸ばす脳無だが
「ふむ、打撃には耐えられるようだが…これならどうかな?」ガシィ
自身の一打に効き目が薄いと見るやすぐさまカメハメは相手のむき出しの脳の上に手を置き
『グローバルプレーンスピン』ギュオオオオ
そのまま鞍馬の要領で頭上で回転する
「…………ッ、…………!?」
むき出しの脳、及びそれを支える首関節へのダメージが蓄積され徐々に羽ばたく力が弱まっていく
「す、すごい……ッ!!」
この技の多彩さ、つなぎの流暢さにテリーは目を奪われていた
「さあ、これで終いだ!」バッ
カメハメは相手が弱ってきたと見るやすぐさま技を止め
ガシィ
ガキッ
相手の両腕を外側から脇捉える閂で捉え、更に足も極めて空中で体を入れ替え頭から真っ逆さまに落ちていく
『カメハメ仏壇落とし!!』ゴチンッ
「…ッ、…………………。」
そのまま地面に叩きつけられて脳無は停止した
「こ、これがプロの実力……ッ!!」
自身で肌を合わせて体感した強さがほんの一端でしかなかった事を痛感したテリー
「他愛もない。さて残りの奴らをッ!?」
「ッ!?」
ズオオオオオォォォ……ッ!!
脳無を倒し次の相手を倒しに行こうとする二人は察知した
先程までの脳無とは比べ物にならない程の悪意を、
「……テリーマンよ。」
「師匠、行きましょう!!」
その直感が赴くままに二人は路地裏へと駆け出していった
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「うおおおおおおお!!」
自らに湧き上がる激情に身を任せステインへ蹴りを放つ飯田だったが
「させぬわ!」バッ
武道が割って入り盾となる
「ふん、小童め!そんなもの、」バシッ
武道は飯田蹴りを受け止め脇に抱え
「効かぬわ!!」ドゴッ
伸びた膝にエルボーを叩き込む
「うぐっ!」
ガシッ
「お前の兄は伝聞の為に生かしたのだ。その警告をわざわざ無碍にして自らの力量すら把握せぬまま感情のままに我々の前に立つとは……。」
怯んだ飯田の首を片手で掴み、喉輪のまま飯田の体を持ち上げてしまった
「がっ、はっ……は、離せ……!!」
「まったく兄弟揃って阿呆よ!!」ブンッ
そこから力任せにぶん投げられ飯田の体はビルの壁に激突し
「ぐあっ!」ガシャン
ドサッ
その後地面に叩きつけられる
「ぐおおっ……!」
「……つまらん。ふん!!」
そんな無様に倒れふす飯田に武道は無遠慮に歩み寄り、ストンピングで足蹴にする
「ぐはっ……だ、黙れ!!お前らが兄の事を口にするな!兄は、プロヒーローインゲニウムは俺の大切な憧れだ!夢だ!それを貴様らの私欲で潰していいものか!」
「なら、貴様はどうなんだ?」
武道と飯田の戦闘に無言を貫いていたステインが口を開く
「そこに倒れている
そんな目の前で助かる命を放棄し自らの復讐心という私欲で潰し、更には己の力を過信し自らの命も危うい。
そんな男がプロヒーローになれるとでも?いや、なれない。だからこそヒーローと名乗るに相応しきは
飯田の言葉を遮り自らの思想を声高らかに語るステイン
そのあまりの圧力に飯田は息を飲むでいた
「グロロ……さあ、貴様の復讐ごっこもここまでだ。貴様も兄と同じく我とステイン様の掲げる"正しき社会"の供物になるといい!!」グワッ
横たわる飯田の頭を踏み潰そうと武道が巨大な足を上げた瞬間
SMAASSH!!
ビルの上から飛翔した緑谷出久の拳が武道の巨体を打ち抜いた
「ぬごぉぉッ!?」ドシャアァ
止めを刺すのみと油断し片足の不安定な体制であれば流石の体格差も意味を成さず武道は仰向けに転倒してしまった
「……ビンゴだ。助けに来たよ、飯田くん!!」
「………いいッ!!」ニヤッ
思わぬ横やりの筈がステインの顔は愉悦に歪んでいた
ヴゥーッ ヴゥーッ ヴゥーッ
「ッ!!師匠、この先です!急ぎましょう」
同時刻一本のメールが師弟コンビの元に届く
それはさらなる激闘への招待状へとなっていることを二人はまだ知らずに路地裏をかけていくのだった