「ヌグググ……。ま、また邪魔が入るとは……。」ググッ
「み、緑谷くん!?なぜここにッ!?」
「ブラッド・ミッショネルズ。彼らの被害者の多くは人気のない街の死角で発見されてる、だから……。
騒ぎの中止からノーマルヒーロー事務所辺りの路地裏を虱潰しに探してきた!」
「"助けに来たよ"、か。いいセリフだ、そのような言葉を聞くのは久しく感じる。」
蹴飛ばされ尻もちから起き上がろうとする武道を見てステインの声色は喜びを浮かべる
「このままじゃやばい!!まだ動けそうかい、飯田くん!?」
「グッ……当然だ!!まだ兄の、プロヒーローインゲニウムの復讐は済んでいないのだから!!」グググッ
立ち上がる飯田その表情を見て緑谷を見て緑谷は焦る
そこに映るのはいつものクソがつくほど真面目な優等生のクラスメイトではなく、私怨に囚われた復讐鬼の姿だった
「な…今はそんなことを言ってる場合じゃない!!
少しでも早くこの状況をプロヒーローにッ……!!」
そこまで言いかけた緑谷の視界の端に倒れ伏したプロヒーローの姿が目に入る
(もう一人負傷者がいるのか、飯田くん一人なら無理矢理引っ張って連れていけたのに…!)
「君には関係ない!!この怒りというガソリンが尽きるまで僕にはもう後退の文字はない!!」
「ククク、つくづくお前は救えないな。そこの緑髪が武道に一撃入れた隙に逃げの一手を踏めばまだ助かる可能性があったと言うのに、みすみす若い命を私欲で捨てるとは到底ヒーローの行いとは思えぬ。」
「グロロロ、およしましょうステイン様。この手のバカは死んでも治るものではありません。」ズザッ
そうこうしている間に武道が体制を立て直し緑谷と飯田は挟まれる形となってしまう
「くぅ、なんとかしてこの状況を切り抜けなくちゃ……!!」
「切り抜ける?違う!!アイツ等を倒す!それこそが目的だ!緑谷くんは邪魔しないでくれ!」
「なっ……!?今はそんなことを言ってる場合じゃ「敵の前で口喧嘩とは余裕だな。」ッ!!」
「グローーッ!!」
「フンッ!!」
飯田の前に立つステインと緑谷の前に立つ武道が合わせて距離を詰める
(ま、不味い!!頭に血が上ってる飯田くんを説得しなきゃいけないのに意思疎通が図れていない、そんな時にコンビネーション攻撃!?)
「グロロ、小僧さっきはやってくれたな!喰らえい!」
武道がその大柄な体格に似合わず高速の低空ドロップキックを放つ
「うわッ!?」
緑谷は反射的に開脚飛びで回避し
(こ、ここからなら……!)
通り抜けざまの武道に上から反撃を試みようとした矢先
「甘いわッ!」
「ゴハッ!?」
緑谷の背中を不意の一撃が襲う
(な、なにが……!?)
混乱に陥る緑谷の耳に
「グオッ!?」
同じタイミングで飯田も攻撃を喰らった声が聞こえてきた
(そ、そうか!あのドロップキックは僕に対しての攻撃じゃない!飯田君に対しての、)
必死に視線を向ければ武道の放った低空ドロップキックは飯田の太腿裏にそして自身の背中にはステインのドロップキックが突き刺さっていた
なんとか空中で態勢を整え着地した緑谷だか
(あの数瞬の間で、ここまでのコンビネーション…、戦いの練度が違いすぎる!!)
その背中には冷たい汗が伝う
「ククク、どうした。互いに譲れない意志がぶつかり合うのなら弱き者が淘汰されていく。当然の話だ、それでも尚、俺の前で拳を構えるか?」
「ッ、当然だ!!」
(そうだ!臆してなんかいられない、一撃入れることが出来れば、まだ勝機はあるはずた。)
バチバチバチッ
「うおおおお!!」ダンッ
緑谷は高速で片方のビルの壁へと飛びそこから速度を落とさず反対の壁へと移り高速かつ立体的な動きでステインの頭上に迫る
「き、消えた……ッ!?」
流石のステインもこの超加速には目を見開く
(いける!!初見でこのスピードに、反応できてない!)
「うおおおお!!」
ーーーーーーーーー
「くっ、避けたと思ったのに…!」
緑谷と同じ様にステインのドロップキックを屈んで避けた飯田だったが後ろから迫っていた武道にまんまと蹴りを喰らうことになっていた
「グロロ、そんな甘っちょろい考えだからいかんのだ!!
貴様も!兄も!その弱き身でありながら"ヒーロー"などと不相応な肩書きを冠するからこうなる、当たり前のことだ!」
「黙れ!!」
武道の煽りにまた頭に血が登り勢いに身を任せて突撃する飯田に、
「そういうところが愚鈍なのだよ!」
前屈みで懐に入り込み
「ヌウンッ!」
起き上がる勢いのままに飯田をショルダースルーで後方に放り投げた
「ぐおおっ!?」
「えっ!?飯田く、あああッ!?」ドゴッ
飯田が投げられた先にはステインを頭上から強襲しようとしていた緑谷がおり二人は空中で激突
「うあッ」
「ぐうっ!」
そのまま受け身も取れずに地面に落とされた二人がなんとか体を立たせようとすると
「シャア!!」
ステインが開脚式ドロップキックで二人まとめて突き飛ばした
「「うわああああッ!!」」バキャッ
片足ずつとはいえまともに受け身の取れない体制で喰らった二人は更に後方に突き飛ばされて
「ガハッ」
「グフッ」
ビルの壁に叩きつけられる。
(ッ!!距離ができた、ここからどうにか逃げ……。)
背に受ける痛みの中で緑谷の思考はなんとか一筋の光を見たような気になるが
「くっそおおおおお!!」
「い、飯田くんッ!?だめだ!!」
そんな緑谷の思惑などまったく気づきもせず飯田はヴィランに向けて突撃する
「倒す……お前らを、倒す!!」
「フンッ意気込みだけで思いが形を成すのなら俺もここまで苦労はせんわ!!」ビュバッ
ステインは猪突猛進に向かってくる飯田の懐に素早く入り込み
「ヌン!」
そのまま一本背負いで投げ飛ばし
「ハアッ!!」
後ろに控えていた武道が逆さまになった飯田の胴を抱えそのままツームストンパイルドライバーで地面に突き刺した
「ぐあああああッ!!」ピシピシピシッ
その衝撃に飯田のマスクが一気にひび割れていく
「よし、いい塩梅だ武道。これでならまだマスクを剥がせる。」
「これくらい訳もありません。」
そのまま意識朦朧状態の飯田の体を頭をわしづかみにし無理矢理起こす武道
「飯田くんを!離せぇぇぇッ!!」
明らかに大技を狙う二人に対し阻止すべく緑谷も足に力を込め飯田ばりのスピードで接近し
(とりあえず難しいことは考えずここは一発入れ込む!
そこから活路を…!!)
OFAを纏った拳でステインに迫るも
「甘い!」ズバッ
パシンッ
「なあッ!?」
当たれば大ダメージ確実の拳を放とうとした刹那、ステインの強力な手刀が緑谷の手首を横薙ぎに弾かれてしまった
「お前のパンチ力は確かに強力だが余りにも直線的だ。ならばいくらでも防ぐ手立てはある!」
自らの拳が弾かれて空中で無防備になった緑谷へステインは背を向けた状態で緑谷の頭の下に自らの肩を置き足を放り一緒になって地面に落ちる
『ダイヤモンド・カッター!!』ズガギンッ
「グハアアアアッ!!」
「……手加減は加えておいた。
貴様にはそこの贋物と違い期待している。次に相見える時までにそこを克服しておけ。」
ステインの技の前に切って落とされた緑谷は手加減されたとはいえ流石の衝撃で体がすぐに動けない状態になってしまった
「さあ、武道。邪魔者は倒した
そろそろこちらも止めを刺すぞ。」スウッ
「ハッ!」ググッ
二人が示し合わせた様に右腕を掲げる
「い、飯田くん………!!」グググッ
緑谷が必死に体を動かそうとするが既に飯田の処刑は時間の問題だった
「とあァァァーー!」
しかし
「ヌッ!?」
『テキサスコンドルキック!』バキャッ
「ぐおおっ!」
突如上から飛来した影により失敗に終わる
「テ、テリーくん!!」
「イズク、またせたな!!」
その正体は翔野テリー
そして
「グロロロッ!一体今日は何なのだ!!なぜこうも今日は邪魔が多い!!」
シュサッ
「光あるところに影ありとするならばその逆もまた然り…。それだけのことだ。」
憤慨する武道に追い打ちをかけるように何者かが肩車の体制で自分の上に乗っかって来た
「だ、誰だ!」
「外道に名乗ることはしたくないが闘いの礼儀として言っておこう!儂の名はプリンス・カメハメ!平和を愛する戦士だ!!」
カメハメは上に乗ったまま足を武道に絡ませて状態を後ろに勢いよく預けていく
『リバース・フランケンシュタイナー!!』ズガガン
ーーー技師、一閃!!
次回、師弟タッグの初陣…!?