奮い立てテキサス・ブロンコ   作:遊人

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目指すは完璧なる正義 の巻

「ガハッ」  

 

「グウウ…!」

 

先程まで意気揚々と必殺技を決めようとしたステインと武道だが再びの乱入者に手痛い一撃をもらってしまった

 

緑谷から見ればまさに友の命が刈り取られようとした瞬間に現れた救世主  

 

その見慣れた後姿に緑谷の心は震えた

 

「ありがとう、ありがとう!テリーくん!!」

 

「待たせて悪かったな、イズク!」

 

「ガハッ、ガハッ…。翔野テリー、そうか貴様が翔野テリーか!」

 

乱入者の正体を知るステインの顔は喜びに染まる

 

「ハアッ、ハアッ!翔野テリー!お前の体育祭での活躍、拝見させてもらったぞ!!名誉も、己の意地も捨てあの場で誰よりもヒーローとしての矜持を見せてくれた、まさに本物!!そんな若人とこうも早く肌をあわせて語らう事ができるとは光栄だ!さぁお前の力を見極めさせて貰おう!!貴様があのお方から次代を引き継ぐに足る存在かを!」

 

「四の五のうるせぇ野郎だ。こっちはそんな大層な物は背負ってねぇよ。

ただピンチの仲間がいる、ならそれを助ける!それだけのことだ。」

 

 

「……やはりいい!!」

 

テリーの言葉にステインの顔に愉悦が広がる

 

「テリーよ、一先ずこっちのデカブツは儂が相手をする、そっちは頼んだぞ。」

 

「老いぼれが!そんな老躯でなにができる!」

 

カメハメの言葉に激昂した武道が突っ込んでくるが

 

「このカメハメをただの老いぼれと甘く見るとどうなるか教えてやろう!!」

 

『フライング・ニールキック!!』   

 

 

迎え撃つ様に体をまるごと浴びせるような回し蹴りが炸裂

 

「グォォ…!」フラッ

 

カウンターで入った打撃に流石の武道の巨体もふらつく

 

「ハアッ!」シュバ

 

その隙を逃さずカメハメはビルの壁を使い三角飛び式の延髄斬りを喰らわせる

 

「グフォッ!」

 

頭部への連続した衝撃に武道の意識は飛びかける

 

「喰らうがいい!これがお前が老躯と蔑んだ肉体に刻み込んだ技の一つ!!」

 

『地獄卍固め!!』

 

「うおーーーッ!?」ギリギリギリ

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「さぁ、みせてもらおう!貴様の実力を!」

 

『審判のロックアップ!』

 

こちらも負けじと開戦の火蓋を切るロックアップが始まる

 

「フンッ!」グググッ

 

「ヌゥッ!」グググッ

 

ガッチリと組み合う両者

 

上背と若さで勝るテリーが優位に進めるかと思えば

 

(お、重い!まるで岩と組み合ってるようだ…!?)

 

「クハハハッ……なかなかに強いな。これは楽しめそうだ!」

 

逆に余裕を見せるのはステインだった  

 

組み合いながらも笑みを浮かべ微動だにしない

 

「クッ、だが闘いは単純な力比べでは無い!トリャア!!」ガシッ

 

ロックアップを外すとそのまま体を滑り込ませヘッドロックでステインの頭部を絞め上げる

 

「ヌン!!」

 

しかし締まり切る前にステインはテリーを持ち上げそのままアトミックドロップで切り返す

 

「ぐぉ!?」

 

「シャア!!」

 

尾てい骨の痛みに呻くテリーを尻目にお返しとばかりに

ヘッドロックを後ろから仕掛けるステイン

 

「ヌオォ!!」スサッ  

 

ガチッ

 

しかしテリーもロックが決まりきる前に後ろに頭を抜きながらステインの腕を取りアームロックで後ろに回していく

 

「ぬウゥ…、なかなかやるな。」

 

 

「当たり前だ!こちとら師匠に短期間だがみっちり鍛えられてんだ!」

 

アームロックの絞りを強めていくテリーに

 

「甘いわッ!!」

 

空いている腕でバックエルボーを見舞うステイン

 

「ぐはっ!!」

 

「シャア!」

 

テリーの技が解けたタイミングを見計らい攻勢をかけようとしたステインだったが

 

「ハアッ!!」

 

テリーはその懐にタックルを見舞うと素早く立ち上がり

 

『スピニング・トゥー・ホールドッ!!』

 

得意技で流れを死守した

 

 

「す、すごい…!!」

 

一連の攻防で互角、いやそれ以上のテクニックで相手と渡り合うテリーと、伝説と謳われその話に偽り無しとばかりに自分よりも一回り以上大きい相手を制圧しているプリンス・カメハメ

 

両雄の活躍に体の力が戻ってきた緑谷は安堵した

 

「……ムッ!?」

 

「グロロ。た、確かにこの技の切れはただ者ではなかったようだ…。」

 

不意に技をかけられて続けていた武道が不敵に笑う

 

「だが!!」グググッ

 

武道の拳が握り込まれるとそれに呼応するように筋肉が隆起する

 

「ヌオオオォォォ!!」ブンッ ブンッ

 

すると無理やりに体を捻り

 

「クアッ!?」

 

「タアアアッ!!」バシィィッ

 

力づくで技から脱出してしまった

 

「ムウゥ…。」フラッ

 

決めきれなかった悔しさからか無念そうな声を漏らすカメハメ

 

「やはりそうか。確かにテクニックやパワーの維持はしているだろうが、スタミナの衰えは隠せぬようだなな!感じていたぞ貴様の絞り上げる力が時間の経過と共に弱まっていくのをな!」

 

「クッ!。」

 

 

「し、師匠!」

 

 

「……他人を心配している、余裕があるかな!!」ガッ

 

「グホッ!?」

 

それと同時にステインもテリーの胸板を蹴りつけ技から脱出

 

するとそのまま

 

「シャアァァッ!!」

 

ベシィィィィーーーッ!!

 

空気の膜を切り裂くような逆水平チョップがテリーを襲う

 

「ぐはぁ!」

 

「あぁ、テリーくん!!」

 

そのあまりの衝撃に緑谷は悲鳴をあげる

 

見ればテリーの胸板にはミミズ腫れが出来ていた

 

(な、なんて切れ味だ……、本当に刃物で切りつけられたと錯覚するほどだ……。)ガクッ

 

「イェアッ!」

 

喧嘩(クォーラル)バズーカ!!』ゴスッ

 

「ガハッ!!」

 

 

片膝をつくテリーに容赦ない追撃の膝が顔面を打ち抜く

 

 

「グロローーッ!!こちらも行くぞーッ!!」

 

 

『武道爆裂キック!!』

 

(ま、まずい!いま避けては…!!)バッ

 

ドゴンッ

 

「ぐおぉぉっ……!!」

 

腕をクロスして衝撃を和らげようとするもその武道のパワーは凄まじくガードをいとも容易く超えてカメハメにダメージを与える

 

「グロロロ、後ろには愛弟子とその他三人。

ならば身を挺して守る他ない、素晴らしい判断だ!!流石噂に名高い歴戦のヒーローと言える。

 

 

……だが!」ガシッ

 

武道はカメハメに組み付くと

 

「我々が欲するのはそんな状況を弾き返してしまうほどの圧倒的パワーだ!!その拳一振りで状況を一変させ人を救う!それこそが我とステイン様が求める"完璧(パーフェクト)"!!

そしてその体現者はこの世にただ一人!オールマイトのみ!!」グワッ

 

 

背負い投げを決め

 

「カメハメよ、確かに貴方のヒーローとしての精神は素晴らしい、だが貴方は老い過ぎた!」ググッ

 

握り込んだ拳を

 

「故にあなたにはこの闘いからご退場願おう!

我とステイン様の、彼岸成就の一歩としてそこの偽物を粛清する!その場に全盛期を過ぎた貴方は必要ない!!」ゴスッ

 

カメハメの腹に叩きつけた

 

 

「グッファァ……ッ!!」

 

 

(そ、そんな……、まだ力を残していたなんて……。)

 

またたく間に形勢が逆転されていく様を見せつけられ絶望する緑谷だったが…

 

(……あ、あれ?)

 

ふとあることに気付く

 

 

「さぁ、これで止めだ!!」

 

武道は無理やりカメハメを起こすとリバースフルネルソンの体勢で持ち上げようとするが

 

「さ、せ、るかぁぁぁぁぁ!!」

 

 

閃光を身に纏った緑谷が背後から低空タックルで膝裏を強襲する

 

 

「ヌゴッ!?」

 

「…助かったぞ。さぁてこっからはお主も含めての超実践式職場体験の始まりじゃ!」

 

リバースフルネルソンから抜けたカメハメはそのまま

体を回転させかかと落としを見舞う

 

「クフッ!!」ガクッ

 

「……お前達血の伝道師(ブラッド・ミッショネルズ)などと大層な名前と偉そうな口上を述べているが、その実はなんともお粗末な者だな。」

 

「……なんだと?」

 

カメハメの言葉にステインの片眉が上がる

 

「だってそうだろう、これ程の力があるのならこんな人目のつかない路地裏で草の根運動をせずに早々に存在を公にし自分達の存在を誇示したほうがいいに決まっている。」

 

「なにが言いたい!!」

 

「わからぬか?結局お主らは逃げたのだよ、それ程の力を得ても大衆がなびくか不安だった。だから影から行動しマスコミが不安を掻き立ててくれるのを待った、とんだ臆病者(チキン)だ!」

 

「ヌウウウ……ッ!!」

 

ステインの顔がみるみる憤怒に歪んでいく

 

「もしそうでないと言うのなら……ハアッ!」

 

 

カメハメが何かを上空へ投げる

 

小型のそれはビルの狭間を抜け広い空間へ出ると正方形の浮遊物体と化す

 

それはかつて日ノ本の分け目を賭け幾多の猛者が潰えた関ヶ原で起きたもう一つの闘争、そこで使われた浮遊リングを模した物であった

 

「あのリングの上で勝負してみろ!そこに勝てたのなら儂の命も、小奴らの命も好きにするが良い!!」

 

「ジ、ジジイ!何を好き勝手に「良い。」ステイン様!?」

 

「カメハメ、お前のその安っぽい挑発に乗ってやろう、だが!!

 

…俺を侮辱した事、後悔させてやるぞ!」

 

 

「……勘違いするな、儂はセコンドだ。闘うのは緑谷とテリー(この二人)だ!!」

 

 

「「「「ッ!!?」」」」

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

「こちら、保須市上空です!先程出現した正体不明の怪物との戦闘の影響でまだ市内には混乱が広がっています!!どうやら№2ヒーローエンデヴァーも来ているとの事ですが……」

 

急遽発生した未知の怪物とヒーロー達の闘いをカメラに収めようとヘリで上空より撮影するテレビスタッフ

 

刻々と移り変わる景色を実況するアナウンサーはとあるビルの中で異質な物を見つける

 

「ちょっと待って下さい、あれは……リングです!!何故かこのような所にリングが設営されております!!」

 

アナウンサーが混乱していると

 

「トアーッ!!」

「グロローー!!」

 

更に混乱を加速させるべき存在がリングに舞い降りる

 

「あ、あれは……!?間違いありません!!数々の証言が上がりながらも未だに正体がはっきりしていない、今最も世間を騒がせている血の伝道師(ブラッド・ミッショネルズ)です!!」

 

「ハアッ!」

 

「テイッ!!」

 

 

そしてそこに相対する二つの影

 

「さぁ、行こうぜ!!イズク!!」

 

「うん!絶対助けるんだ!!」

 

「……さぁ小僧共よ、覚醒して(目覚めて)みろ!!」

 

そしてそこに付くセコンド

 

テレビカメラはこれから始まる決戦の火蓋が切られた場面をしっかりと映していた

 

 

 

 

 




 
次回、カメハメ流超実践式指南始まる!
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