奮い立てテキサス・ブロンコ   作:遊人

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名伯楽、カメハメ の巻

「貴様等覚悟しろ!!この俺の崇高な理念をバカにした罪は重いぞ!」

 

「狼狽えるな!テリーは前に、緑の小僧は横のロープへ走れ!」

 

 

突進するステインに対して

 

「たああっ!」ズサッ

 

テリーが足元に滑り込み蟹挟みでステインを前に転がすと

 

「てえいっ!!」

 

そこにロープの反動を使い加速した緑谷の低空ドロップキックが顔面に突き刺さった

 

「ヌオォーッ!?」ゴロゴロ

 

「ッステイン様!?おのれ!!」バッ

 

リングの外へエスケープを余儀なくされたステインを見て今度は武道が堪らずリングイン

 

「グロロローーーッ!」ドドドッ

 

「敵は熱くなってモーションが大きくなっておる、呼吸を合わせて迎撃だ!」

 

「テリーくん!!」バッ

 

「OK、イズク!!」バッ

 

『『G2カノン砲!!』』バキャン 

 

「ぐおおおぉぉぉっ!!」

 

向かってくる武道に息のあったドロップキックがカウンターで入り堪らず退く

 

「だが!この程度で終わるほど我も柔くはないわ!!」グワンッ

 

武道はよろけたままロープに体を預けその反動を使い加速して再び襲いかかる

 

「危ない、イズク!!」ドンッ

 

とっさにテリーは緑谷を突き飛ばす

 

「グロロロッ!!」ドゴッ

 

「ぐはぁ!」

 

武道の巨体を活かしたショルダータックルが炸裂、あまりの威力にテリーの体はトップロープまで飛ばされたテリーの体はエプロンサイドへと叩きつけられた

 

 

「テリー君!?」

 

「さぁ小僧、これでサシだ!先程の礼をしてやる!!」

 

 

武道が緑谷を潰そうと拳を振るう

 

「うわあぁ!?」

 

一撃喰らえばひとたまりもない武道の猛攻を必死に避ける緑谷  

 

幸いにして体格差があり過ぎるあまりなんとか躱し続けていた  

 

「ヌゥゥ、ちょこまかと!

 

…だが!!」

 

「あっ!?」 

 

とうとう緑谷はコーナーへと追い込まれてしまった

 

「グロロロ、とうとう追い詰めたぞ。」ジリッ

 

(や、やばい、あんな攻撃を喰らえば一撃で終わりだ…。なんとか打開策を……。) 

 

 

窮地を脱すべく必死に知恵を働かせる緑谷に

 

「おい、小僧よ。いつまでも逃げの一手では一向に事態は好転せぬぞ。」

 

リング外からセコンドとしてカメハメが声を掛ける

 

「プ、プリンス・カメハメ…。」

 

「体格的に不利だろうと、個性が不利だろうと関係ないぞ。そんなものを乗り越えても守りたいものがあるからお主はヒーローを目指すのであろう?」

 

「で、ですがこのままでは…。」

 

「安心しろ、策はある!名付けて

 

『赤ちゃん親指チューチュー作戦』じゃ!!」

 

「………へ?」

 

緊迫した状況下にあまりにも不釣り合いな作戦名が飛び出し緑谷の思考が停止してしまった

 

「グロロロ、これで終わりだ!!」

 

武道が繰り出した拳が緑谷にまっすぐ伸びていく

 

「ほれ、来たぞ!つい最近までの赤子の頃を思い出せ!

 

まずは右手じゃ!!」

 

「ええい、南無三!!」バッ

 

 

ズガアッ

 

「アアアッ!?」

 

堪らず上空のヘリから見守るアナウンサーからも短い悲鳴が上がる

 

「な、なんだとーッ!?」

 

 

「ムグググ……。」

 

小柄な緑谷に叩き込まれた拳は右肘のガードにより完全にブロックされていた

 

「ふざけるな!こんなチビ野郎に我のパンチが防がれてたまるか!」

 

目の前の出来事が飲み込めない武道はすぐさま逆の拳を振り上げるが

 

「ほれ、逆もチューチューっと。」

 

「…ッ!!」シュッ

 

ゴキャ

 

「グロオォぉーッ!?」プシュゥ

 

なんと次は防がれたばかりか逆に武道の拳が破壊され血を流す羽目になってしまった

 

「フォーム、呼吸を止めるタイミング、そしてそれを相手の攻撃に合わせる集中力これらが揃ったとき体はダイヤモンドよりも硬い盾となる!そしてその盾は攻撃してきた相手の武器を破壊する矛にもなるのだ!!」

 

「ぐぬぬ、ならばそのガードごと破壊してくれる!!」

 

『武道爆裂キック!』

 

「ほれ溜めの大きい技が来たぞ!」

 

「そこだぁ!」

 

激昂した武道が蹴りを放とうと上げた足の隙間を転がるように抜け出した緑谷

 

「ぐぬぅ、またしてもちょこまか「SMASH!!」ヌガァ!!」

 

蹴りを避けられ振り向いた武道に緑谷のスーパーマンパンチが炸裂

 

さっきまで自分が獲物を追い詰めていた筈のコーナーへ体を押し込められると

 

「ナイスだ!イズク!!」

 

復活していたテリーがそのコーナーの上に登り武道の後ろから

 

仔牛の焼印押し(カーフ・ブランディング)』グシャッ

 

自身の十八番で追撃した

 

「さ、先程から始まった闘いは雄英高校の生徒コンビがなんとあの血の伝道師(ブラッド・ミッショネルズ)を相手に優勢に進めております!!」

 

 

この光景を上空のヘリから眺めるアナウンサーは興奮して言葉を発する

 

「テリーくん!」

 

「おう、待たせたな!」

 

回復したテリーがすぐさま追撃に加わり一気呵成に試合を決めにいきたいところだっだが

 

 

「ヌンッ」ガシッ

 

倒れていた武道が二人の足首を掴むと

 

「シャアアアア!」シュッ

 

 

バッ

 

 

こちらも戦線復帰したステインが二人の後ろのサードロープから飛び上がりテリーの後頭部と緑谷の髪を掴む

 

「武道、引け!」

 

「御意!!」

 

ステインが通過する瞬間に武道が足を引きステインのフェイスバンターに加速をつけ

 

 

Hello、EARTH(ハロー・アース)!』ドシャ

 

「ブハ!!」

 

「ブファ!!」

 

 

リングに二人の顔面が叩きつけられる

 

「確かにセコンドの声で見違えるほどの強さだ、だが所詮は付け焼き刃。そんな小手先の技でやられるほど俺達は甘くはないぞ!」

 

「ぐぅ…!」ヨロヨロ

 

「あうぅ…!!」フラフラ

 

なんとか混濁する意識を立て直し立ち上がろうとする二人

 

 

「もう辞めるんだ!翔野君、緑谷君!!」

 

そこに介入する声

 

 

「これは僕の戦いだ!兄さんの…、インゲニウムの名を継ぐ僕に課された使命なんだ!」

 

声の主は飯田天哉

 

武道のパイルドライバーのダメージから回復した彼は激闘の音に気付きビルの屋上までの駆け上がって来たのだ

 

「これ以上無関係な君たちが傷つく必要はない!だから僕と代わってくれ!!」

 

 

「………だ、だとよイズク。どうするよ?」グググ

 

「そ、そんなこと言ってたら…ヒーローはなにもできないじゃないか!!」グググ

 

 

二人の両の足に再び力が漲る

 

「オールマイトが言ってたんだ!余計なお世話は、ヒーローの本質だって!!」バチバチッ

 

「そうだな!それでこそイズクだぜ!」ボアァッ

 

「な、なんでそこまで……、やめてくれ。これ以上、僕にみじめな思いをさせないでくれ…。」

 

 

「下を向くな、インゲニウムよ!!お主のその姿こそ、インゲニウムの名を貶める事になるぞ!!」  

 

 

「ッ!!」

 

カメハメの喝に飯田は落ちていた頭を正す

 

「お主の兄は私怨に溺れ自らの授かった力をいたずらに振り回したか?

 

インゲニウムとは、お主が憧れたヒーローとはなんだ!」

 

「僕の、憧れた…ヒーロー…。」

 

「…くだらん!どれだけ取り繕うと所詮は偽物。本質はそう容易くは変わらない!!そこの二人を早々に葬って次は貴様だ!」ダッ

 

「舐めるなぁ!!」シュバ

 

ゴカッ

 

決着を急ぐステインに迎え撃つテリーの浴びせ蹴りが炸裂

 

 

 

「うちの委員長の行く末をてめぇらがとやかく語る筋合いはないぜ!!」

 

「グオォォォッ…!!」ボタタ…

 

「あーっと、ステインの顔から出血です!先程の蹴りで顔面が切れた模様です!!」

 

 

 

「ステイン様!?」

 

「お前の相手は僕だ!」バッ

 

救援に行こうとする武道の前に緑谷が立ちふさがる

 

「どけぃ小僧!吹き飛ばしてくれるわ!!」

 

しかし減速することなく武道はショルダータックルで突撃しようとするが

 

「小僧よ、いくらお主が小柄だろうと四肢の一つには勝る筈だ、相手の勢いを利用し片足を軸に持ち上げてしまえ!!」

 

 

「うわぁぁ!!」バッ

 

カメハメの声に習い緑谷は武道の踏み込み足の太腿にタックルに入り持ち上げる

 

「そのままさっきのお返しに後ろに倒れ込んで前に叩きつけてやれ!!」

 

「うおおおお!!」

 

『フラップジャック!!』ズバァンッ

 

顔面攻撃の意趣返しをくらう武道

 

「こ、こちらも体格差を逆に利用した一撃〜〜ッ!!

 

し、しかし先程もヒーロー側が優勢と思われた所からの重い反撃が待っていました、まさに一進一退の攻防です!」

 

アナウンサーの言葉にも熱がこもる

 

「ぐうぅ、まだだ!

 

まだ倒れる訳には……!

 

私欲に塗れた世界を、腐敗した世界を正すまで!この歩みを止めることは許されない!」

 

出血を手で押さえながら尚も衰えぬ戦意を示すステイン

 

「……、その粛清とやらが終わった世界に残るのがオールマイトってことか?」

 

「ハアっ、ハアっ!オールマイト!

そうだ、あの御方こそが真のヒーロー!!

それ以外は全て偽物だ!」

 

 

「確かにオールマイトはすごいヒーローさ、アメリカにまで名が届く程な。

だが時代は移りゆくものだいつかはその役目を誰かに託す事になる、その責を担わんとする数多の可能性を貴様のエゴで潰そうとすることは許されることではない!!」

 

「…場外の小僧もそうだと言うのか?」

 

「無論そうだ。」

 

「翔野くん…ッ!!」ツゥー

 

テリーの言葉に飯田の頬に涙が伝う

 

 

「それにな、ステイン。そう遠くない未来、オールマイトなんか目じゃないヒーローが現れるぜ!」

 

「それは貴様が超えると言う事か?」

 

「いいや、俺じゃない。だがそいつはな力は未だ及ばすとも既にオールマイトを超える輝きを持った男だ!」

 

 

「……もういい、お前の未来予想図は知ったことではない。

彼岸成就に立ちふさがるなら排除するまで!武道!!」

 

「グロロロ、ハッ!!ステイン様!!」

 

 

ステインの声に反応した武道が素早く立ち上がると

 

緑谷とテリーを挟むように立ち

 

「行くぞ!武道!」ダッ

 

「ハハーッ!」ダッ

 

 

一気に距離を詰めていく

 

 

「ま、マズイ!あの技は!!」

 

そのムーブを見て飯田が声を上げる

 

「喰らえ!!」

 

『『HRショット!!』』

 

上を狙う弾丸(ドロップキック)と地を這う弾丸(低空ドロップキック)が一斉に襲いかかる

 

(…これはさっき食らった技!でも今回は違う僕の背中にいるのはテリーくんだ!)

 

「行くぞイズク!死中に活アリだ!!」

 

(そうだ、なにも怖くない!だから逃げるんじゃない!打ち勝つんだ!!)

 

背中合わせの二人が示し合わせたように動く

 

ジャンプして避けた緑谷と屈んで回避しようとするテリー

 

(バカめ!この技は避けることなぞできん!俺の蹴りをよければ武道の蹴りの的になるだけだ!!)

 

先程と変わらず技が命中する!

 

そう確信したステインだったが

 

 

『ローリングソバット!!』バチバチッ

 

地這い脚(アースクリップキック)!!』ボァァッ

 

 

「グロ…ッ!!」

 

「な、なんだとぉ!?」

 

それぞれが避けの動作と並行して背後の相手へのキックで迎撃

 

「今だ!相手は技を破られて動揺している!!一気に畳み掛けろ!」

 

カメハメの声が飛ぶ

 

 

「おっしゃあ!行くぜイズク!」ガシッ

 

「これで、どうだ!!」ブオッ

 

二人はそれぞれ相手を閂で捉えてそのままスープレックスに移行

 

最高加速地点で血の伝道師(ブラッドミッショネルズ)の頭がぶつかる!!

 

『『NEW・レインボーブリッジスープレックス!!』』ガシャアァァン!!

 

ブシャッ

 

二人の頭から血が噴き出す

 

「も、申し訳ありません…()()()!」

 

 




超えるか、本物の戦場を!?
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