奮い立てテキサス・ブロンコ   作:遊人

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廻る因縁、いつか来る未来 の巻

職場体験が終わり登校日

 

各々が体験した出来事を話し合う

 

「アッハッハッハッ!」

 

「マ、マジか!マジか爆豪!」

 

「笑ってんじゃねえ殺すぞ!!」

 

 

不本意にも八二分けにぴっちり髪型を整えられた者

 

「へぇー敵退治までやったんだぁ!」

 

「避難指示や後方支援で交戦とかはなかったけどね。」  

 

「私もトレーニングとパトロールばかりだったわ。

一度隣国の密航者を捕まえたくらいよ。」

 

 

わずかながらにも現場の最前線の空気に触れた者

 

 

「コォォォォォ………」

 

何か成長への道筋を見いだした者

 

 

「お、女ってのはよ、元々悪魔みてぇな本性を隠し持ってんのさ!!」ガジガジ

 

なんか色々見てきた者

 

そんな中でも

 

「やっぱり一番すごい経験したのは、お前らだな!」

 

「……別に俺は何もしてねぇぞ。親父から離れて着いたらもう全部終わってたからな。」

 

 

「……僕も誇らしく語れることなんて何もない。自らの心の弱さを知れたことが救いな位だ。」

 

周囲の熱とうらはらに轟と飯田は静かに答える

 

「……ケロケロ、でもみんな生きてて良かったわ。」

 

「あぁ、あいつら敵連合と繋がってたってニュースでも言ってたし、あんなのがUSJの時に紛れていたらと思うとゾッとするよ。

 

事実、緑谷とテリーは登校してるけど保健室でリカバリーガールの検査を受けてるし。」

 

 

「でもさぁ確かに怖かったけどよ

 

あのステインって奴最後は自分の信念を通したってか、散り際まで筋を通す執念ってぇの?

 

なんかちょっとカッコよくね?って思っちゃったんだよね。」

 

 

「おい、バカ!」

 

恐怖の感情を見せるクラスメイトの中で上鳴が続けた言葉に耳郎が反応した

 

「……確かに奴は信念に殉ずる覚悟を持って戦っていた。

 

その信念の為、道を違えたと思うや味方にすら牙を向き結果として翔野くんと緑谷くんを助ける形になった

 

そのぶれぬ姿勢や生きざまをクールと言う人の気持ちも、今ならわかる。

 

だが奴は粛清という手段を選び、生来人の心にある正しくあろうとする力を見限り暴力による改革を目指した。

 

そこは決してヒーローを目指す者として相容れてはいけない所だ。」グッ

 

飯田は自らを戒めるように言葉を紡ぐ

 

ガラガラ

 

「お、おはよう。」

 

「おっ、間に合ったな。」

 

そこへ検査を終えた緑谷とテリーが教室へ入ってきた

 

「デ、デクくん!?大丈夫やった?」

 

「あ、う、うん。麗日さん、だ、大丈夫、大丈夫……。」

 

「翔野くんも、問題なしかい?」

 

「あぁ、委員長。ノープロブレム、何も異常無しさ。」

 

ザワザワ

 

 

「おはよう。」

 

 

サッ

 

 

今や時の人でもあるコンビの登場に教室もあれこれ聞こうとざわつくが担任が現れるや瞬く間に静かに席に着いてホームルームを迎えた

 

 

 

 

 

~保健室

 

「ふぅ、二人とも問題無しと。」カリカリ

 

雄英高校の屋台骨、リカバリーガールは先ほど検査を終えた二人の資料の作成に勤しんでいた

 

「いやはや、こんな短期間に何度もリカバリーガールの手を煩わしてしまい師として大変申し訳「だったらもっとしっかり工夫して教えるなりしな!」は、ハイィィ……。」

 

「まったくオールマイト、あんたはホントにヒーローとしては一流なのになんで教師としてはこんななのかね?」

 

「か、返す言葉もございません……。」

 

「それより、あんたもそろそろ話す時が来たんじゃないかい?」

 

 

「そ、それは……しかし………。」

 

「それがあなたなりの親心だと言うんなら今は私もそこまで無理強いはしないさ。

 

けどねぇわかってるだろうオールマイト、翔野テリーって子と出会ってからのあの子の成長のスピードと顔の売れかたは歴代の並みいるヒーロー達の学生時代を見ても群を抜いている。

 

遅かれ速かれよからぬ力が彼らを標的にする日が来る筈さ。

 

それこそ生半可な覚悟じゃ乗り切れない程のね。

 

それまでに話しときな、OFA(あの力)とそれについて回る因縁を……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして時間は過ぎていき

 

 

「ハイ私が来た、ってな感じでやっていくわけだけどもね

 

ヒーロー基礎学ね!」

 

 

始まったヒーロー基礎学

 

「今回はこの運動場γ、複雑に入り組んだ密集工業地帯ここを使っての競争だ!」

 

 

ひとしきりの説明が終わり組分け

 

その結果

 

第一組

 

緑谷・尾白・瀬呂・芦戸・飯田

 

 

クラスでも機動力に長けた個性の持ち主が揃い

 

二組目以降の面々は誰が一位かと考察し合うが

 

ダンッ!!

 

「うってつけ過ぎる!修行に!!」

 

誰も予想しなかった緑谷の躍進にみんなが驚愕するなか

 

「へぇ、イズク。やるじゃないか!」

 

テリーはとても心地よい刺激を受けていた

 

そして

 

(お、俺の動き方ッ!!俺がバカみてぇな時間を過ごしている間にデクと金髪野郎はッ!!)グググ…

 

 

最終的にゴール直前の足場が崩れ最下位へと沈んだが見たもの全員に確かな成長の芽吹きを見せつけた

 

 

 

 

 

 

授業が終わり放課後

 

「し、失礼します。」 

 

オールマイトから呼び出された緑谷は仮眠室へとやってきた

 

「あぁ、緑谷少年。掛けたまえ。」

 

 

「は、はい。それでオールマイト話しと言うのは……。」(なんでマッスルフォームなんだろう?)

 

 

「あぁ、それについてなんだが……。」

 

 

「HAHAHA、ガールフレンドとのひとときに連れ出して申し訳なかったね。」

 

「いえ、それよりも校長自ら呼び出す程の話しとは一体………」

 

 

(あれ?この声は……?)

 

仮眠室の外で緑谷の聞き覚えのある声が近づいてくる

 

「………来たようだね。」

 

 

 

 

「さぁここだよ、入りたまえ!」ガラッ

 

勢いよく開けられた扉の先で待っていたのは

 

「イ、イズクッ!?と、オールマイト!?」

 

「や、やっぱりテリーくん!」

 

 

「…………役者は揃ったね。」シュウウウ

 

突如オールマイトから発生した白煙に二人は別の理由で目を丸くする

 

「な、なんだ!?オールマイトから煙が………ッ!?」

 

「オ、オールマイト!?なんでッ!?」

 

「いいのだ緑谷少年。翔野少年にも知っといてもらおうと思ってね。」シュウウウウウウ

 

煙は勢いを増しオールマイトを包み込んでしまった

 

 

「君たちの保須での戦いを見させてもらった。

 

素晴らしいコンビネーション、出会って数ヶ月だというのに強靭に育まれた信頼関係。

 

だからこそ、伝えたいのだ。」シュウウ…

 

煙が引いていく

 

 

「いずれ来るであろう困難を前にして君たちの躓きにならぬように。」

 

 

煙の中から現れたのはオールマイトとはまったく別人のようにやせこけ、とてもヴィランとの戦いに耐えきれるとは思えないほど細く弱った男が現れた

 

「掛けたまえ翔野少年。君にも話そう、緑谷少年の『個性』の秘密と断ち切らねばならぬついて回る因縁を!」

 

 

 

 

真の姿(トゥルーフォーム)となったオールマイトは驚く二人を落ち着かせ話を進める

 

 

 

 

 

「さて、まずは……翔野少年。緑谷少年の『個性』についてどう感じていたかね?」   

 

 

「……正直にいえばかなり不思議には思っていました。

超強力な反面自壊してしまう危うさ、使用者本人が把握しきれないほどのパワー。

 

何か従来の『個性』とは違う異質さと言うのは感じてました。」

 

 

 

 

 

 

「…ワン・フォー・オールは、元々ある一つの″個性″から派生したものだ

 

『オール・フォー・ワン』……他者から″個性″を『奪い』、それを他者に『与える』ことができる″個性″だ。

 

 

かつて個性が発現し社会がそれを制御しきれていない超常黎明期

その個性によって人々を纏め上げ圧倒的カリスマ性で悪の支配者として日本に君臨した男がいた。

 

しかしそんな彼に反旗を翻したのは他ならぬ彼の"無個性"の弟だった

 

今となっては動機は不明だがその男は弟に個性を与えた

 

しかしここで不思議な事が起きた

 

個性が変異し混じりあう現象が発生したのだ!」

 

 

「こ、個性が混ざる!?なぜだッ、その人は無個性だった筈では………ハッ!!」

 

 

 

「その考え通りだ翔野少年。

 

有ったのだよ、その弟にも個性を与えるだけとう無意味な『個性』が。

 

 

その弟が持っていた『与えるだけ』の意味のない個性と、兄が無理矢理に弟へ与えた『力をストックする』個性が混ざり合い、『ワン・フォー・オール』が生まれた。

 

 

そしてその個性はその弟を皮切りに受け継がれ続けいつか奴の喉元へと届く剣になるようにと力を培ってきた

 

 

そして、私の代でその因縁を終わらせた…………筈だった。」

 

「ま、まさか………ッ!」

 

 

「そうだ、緑谷少年。奴はまだ生きていておそらく(ヴィラン)連合のブレーンとして暗躍している!

 

その弟の代から成長を止める、遅くする個性を使ってる様な奴だ

 

恐らく治療する個性を持っているに違いない。」

 

 

「そ、そんな奴が日本でまだ生きている。」

 

「こ、こいつはなかなか骨が折れる戦いになりそうだぜ……。」

 

 

 

「緑谷少年、君はいつか奴と…その巨悪と戦わねば、ならないかもしれない。

 

そして翔野少年、この事を君にも話したのはその戦いの時に緑谷少年の隣で共に闘ってほしいと思ったからだ。

 

二人には大変酷な話だが「が、頑張ります!」…ッ!」

 

 

「オールマイトの頼みなら断れませんよ。

 

問題ありません。イズクとならどんな困難も乗り越えていける、そう思わせてくれる男です。それにそんな話を聞いちゃぁ俺の中のテキサス魂が黙ってないんでね!」

 

「ぼ、僕もオールマイトの頼みなら応えます!あなたがいてくれれば… それにテリーくんが横にいてくれるなら何でもできる気がします!」

 

 

「………まったく頼もしい若者じゃないか、オールマイト。」

 

 

嬉しそうに語る根津に

 

「はい。

 

二人とも、ありがとう。」

 

オールマイトもまた感謝を述べた

 

 

 

 

 

~次の日

 

「えー、夏休みが近いが君たちヒーロー課にそのような思い出作りのための余暇なんてものはない訳で、

 

 

 

 

夏休み林間合宿を行います。」

 

 

 

「「「イエーーーイッ!!」」」

 

「ただし、1学期の期末テスト。赤点だった者は………わかってるな。」

 

 

この一言で一気に現実に引き戻されるクラス一同

 

 

 

(何があっても関係ない、強くなるんだ。オールマイトの期待に応えるためにも、テリーくんと肩を並べて戦えるようになるためにも!)

 

 

 

 

 

 

 

こうしてまたヒーローを目指す為の時間が始まろうとしていた

 

 

 

その日の放課後

 

 

「やあやあ、集まってくれてありがとう。」

 

根津校長を中心に会議室には雄英高校のプロヒーロー教師達が集まっていた

 

 

「今回の議題は他でもない、次の期末テストの実技の部分なのさ。」   

 

 

例年ならば入試と同じロボットを用いた実戦訓練の予定だったが……

 

「ヴィラン活性化の動きが今後考えられる中で、ロボット相手では足りないと思われるのさ。」

 

 

「なるほど、それでこの内容ですか。」

 

「ふーん、生徒の二人一組(ツーマンセル)対教師一人ね。」

 

根津校長の話に手渡された書類に目を通しながらセメントスとミッドナイトが納得する

 

 

 

 

「それにA組に関しては既に実戦を経験済み、ましてや二名は大物ヴィランを打ち破る活躍を見せてるのさ。

 

これくらいしないと意味がないと思うしね。

 

ただ、B組には少し過酷なものになってしまうけどね。」

 

 

「いえ、校長先生。お気遣いは感謝しますがB組も日々鍛練に勤しみ成長しております。

 

逆にこのようにA組と同等のレベルを与えれていただき感謝いたします。」

 

B組担任ブラドキングはきっぱりと返す

 

「しかしA組の組み合わせですがどうするんですか?

 

21人で奇数だし………。」

 

 

「ああ、それなら心配要らないのさ。」

   

13号疑問に根津が答えようとしたとき

 

ガチャ

 

「失礼するぞ。」

 

 

 

「「「「「「ッ!?」」」」」」

 

 

「ちょうどよかったのさ。()()()()。」

 

「まったくこんな年寄りをでしゃばらせんでくれよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

伝説が現れた




次回、期末テスト編
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