期末テストの存在が間近になり雄英高校は生徒、先生問わず準備に慌ただしく動き始めた
「まったく勉強してねぇーーー!」
「あっはっはっは。」
そんな中でA組ドベ2である上鳴と芦戸は片や悲痛の叫びを片や諦めの乾いた笑い声をあげるのみだった
「中間テストは範囲が狭いのもあってなんとかなったが……
体育祭や職場体験ってイベントが重なるときついよな。」
「…………。」コクコク
「更には演習試験もある。受難が多い過酷な道のりとなりそうだ……。」
「まぁ、僕はそんな中でも変わらず輝いているけどね!」
二人以外にも中間テストで半分より下になってしまった者は口々に不安を吐き出す
「しかも演習試験の内容は不透明……まったくつらいなぁー。」フゥー
峰田は口では言うが表情に余裕が見える
「あんたは同類だと思ってたのに!」
「お前みたいのはバカで愛嬌があってなんぼだろ!どこに需要あんだよ!」
「ふっ、世界かな。」
ドベ2コンビの悪態も強者の余裕か受け流す峰田
そんな峰田にやきもきする二人に
「あ、あのお二方。座学でしたら微力ながらお力添えできるかもしれません。」
救世主が現れた
「ヤオモモ~!」
「女神様~!」
中間テスト1位の八百万の言葉に他の面々も少しでも向上しようと集まる
「………これが人徳の差って奴だな。」
「俺もあるわ!教え殺してやろうか!」
こうして座学の不安を各々乗り越えようと決意を新たにした
「………とは言っても。」
時は昼休み
「演習試験の内容が不透明なのが気になるなぁ。」
「お米、おいしい!」
緑谷達は食堂で卓を囲み、話す議題はもちろん演習試験の内容
「さすがに突飛なことはしないと思うが。」
「ケロ、相澤先生も教えてくれないだろうし。」
「Oh、それならわかりますよ。」
「「「「えぇッ!?」」」」
唯一B組のポニーから発せられた言葉に他の面々は驚愕する
「なになに?教えてポニーちゃん!」
「う、うちも教えてほしい! 」
「えぇとデスネェ、確かロ「おやおやおやおや、感心しないねぇ!天下のA組様がB組を脅迫するなんてねぇ!」
聞き出そうとする葉隠と麗日に答えようとするポニーを遮るように現れたのは
「えっと、B組の物間くん!」
「その情報は僕たちB組が君たちA組を出し抜く為の大事なアドバンテージ!
体育祭、職場体験となにかと目立ちまくっているA組にこれ以上デカイ顔をさせたくないからね!
せいぜい演習試験の内容がわからず赤点の恐怖に怯えながら過ごせばいいさ!
ハァーッハッハッハッ「みっともないことすんな!」グエッ!?」
「ワォ、一佳!Wonderfulデスネェ!」
高笑いを響かせる物間を鮮やかな手刀で制したのはB組委員長・拳藤だった
「アハハ、相変わらず拗れてるね。」
「こんな人目の多いところで騒げるこのメンタルはもはや賞賛するノコ。」
「おお主よ、いつかこの者に心の平穏を与えたまえ。」
「ん。」
「もはや何か憑いてるとしか思えないわ。」
拳藤に続きB組女子達が集まる
「ああ、さっき言いそびれた演習試験の内容だけどね。入試と同じ対ロボットの実戦訓練みたいなんだよね。
うちの知り合いに先輩がいて教えてくれたんだ。」
「そうか、先輩に聞けばよかったのか。」
「盲点だったな。」
確実性の高い情報を得た飯田と轟は納得の表情を浮かべる
「ねえねえ、それよりもさ!」
それを遮るように興奮した声が響く
「私達も一緒に座っていい?テリーの横とか空いてるしさ!あ、私はB組の取陰。テリー以外の人ははじめましてだね。」
「ちょうどいいや、私も一緒にいいかな。言いづらいこととかあると思うけどさ、聞きたいんだ"あの保須市"での出来事をね!」
「て、テリーくん………。」
「………まぁ話せる範囲なら。」
こうして取陰、拳藤の提案によりB組女子達を交えての昼食会になった
余談だがB組の女子と話す時に緑谷は終始赤面しており、それを見ていた麗日の機嫌が少し悪そうだった
あと物間はほっとかれてた、南無。
「なんだぁ!ロボをぼこせばいいだけか!」
「やった、やったぁ!」
放課後、A組にも演習試験の内容が伝えられると喜びをあらわにする面々
「まぁ確かに対人だとお前らは個性の調整が難しそうだしな。」
「よっしゃ、ロボ無双だぁ!」
「それよりもそのうらやまけしからん昼食会になぜ俺を誘わないんだぁぁぁ!」
「いや、冷静考えて誘うわけないだろ…………。」
放課後と試験内容の判明と言う二重の解放感により浮かれた空気が一部に流れるが
「けっ、下らねぇ……。」
「おい爆豪、そんなカリカリしなくても………。」
「うるせぇなクソ髪!人でもロボでも関係ねぇだろうが!調整なんざ出来て当たり前だろうが!
なぁデク?
職場体験では大活躍だったな!相変わらず俺の神経を逆撫でするのが上手いなぁ!」
爆豪の脳裏に映し出されるのは職場体験のある日に見たニュースの特集
爆豪は更なる強さを求め現場経験が積めると踏んでランキング3位のプロヒーロー・ベストジーニストの元に職場体験に来ていた
が
さすがと言うべきかベストジーニストの事務所がある地域はベストジーニストの治世で非常に治安が良く特に目立った事件事故なく、毎日治安維持の為のパトロールで1日が終わると言う日々が流れていた
完全にアテが外れたと鬱憤が溜まる爆豪の目に
『アドレナリン・ブリッジーーーッ!!』
保須市で起きた事件とその顛末、そして巷で噂のヴィランを倒した高校生コンビの活躍が飛び込んできた
そして職場体験が明けてのヒーロー基礎学、
路傍の石ころと歯牙にもかからない存在だと思っていた者は
今や何段飛ばしで自身に追い付き、まもなく追い抜かさんと眩い光を纏い駆ける者へと様変わりしていた
「今回のテストは体育祭とちげぇ、はっきり白黒がつく!完膚なき迄の差でてめぇを叩き潰す!
それとお前もだ金髪野郎!今ふんぞりかえって座ってる玉座、俺が奪い返してやる!」
並々ならぬ闘志を振り撒き爆豪は教室から出ていった
「か、かっちゃん……。」
「やれやれ、有名人料だな、イズク。」ポン
その熱量に呆気に取られていた緑谷の肩に手を置くテリー
「テ、テリーくん………。」
「だが俺たちはもう立ち止まる暇はない。わかってるだろ?
あの日のステインの言葉を、そして俺たちが背負った物を。」
「……………うん、そうだね。」
「おいおい、青春してんじゃん!」
「くぅぅぅ、漢らしいぜ二人とも!」
「うむ、僕たちも負けてはいられないな!」
爆豪の宣戦布告から一気に緊張が走ったクラスだがテリーと緑谷の職場体験を経て得た決意を見てクラスの男子一同もやる気を出し
「………なんかさ、男子ばっかり熱くなってんのもアレだしさ。うちらも頑張ろうよ。」
「おっ、耳郎ちゃん熱いねぇ!でもサンセー!私もそろそろ一番になりたいし!」
「ケロケロ、そうね。ここまで緑谷ちゃんやテリーちゃんに独占されてるしそろそろ私たちの名前がのってもいいわよね。」
「うちも爆豪くんへリベンジや!」
それに釣られて女子一同も捲土重来を狙い士気を高めていった
さらに
「栄光なるB組のみんな、この期末テストこそ全員合格でもってA組の鼻を明かしてやろうじゃないか!」
「それはいいんだけど、一番心配なのはお前なんだよなぁ。」
B組もまた物間主導のもと打倒A組と息巻いていた
そしてテスト当日
筆記を終え各々スーツに着替えたA組の前で
「さて筆記はご苦労だったな、ここからは演習試験だが」
「ロボットでしょ!」
「早くやろ~!」
前情報から赤点回避を確信したドベ2コンビの言葉を否定するように
「例年ならそうだが今年は違う。」ゴソゴソ
「ここからはぼくが話すのさ。」ピョン
相澤の捕縛布から姿を見せた根津校長が語りだす
「君たちも薄々勘づいてると思うけど近年のヴィラン活性化、多様化、及び組織化の動きに伴い、従来の方法では君たちの成長に繋がらないと判断したのさ!
そこで今回の演習はズバリ!
生徒
のガチンコ潰しあい
なのさ!」
突如発表されたテストの内容変更
完全に不意をつかれた一同
しかも内容はとんでもない代物だったため驚きの声をあげる隙さえなかった
「言った筈だ、雄英高校はお前達に壁をぶつけ続けると。
これもその一つだ、理不尽だと嘆くようならこの先未来はないぞ。」
有無を言わさず組み合わせ発表が始まる
「まずは………。」
次々とコンビと対戦するプロヒーローの顔合わせが告げられていく中
「爆豪と………緑谷。」
「なっ!?」
「えっ!?」
「そして相手は」
「私だ!」ズオォォォ
驚天動地の組み合わせに驚く隙すら与えず明かされる対戦相手はオールマイト。
「全力でかかってきなよ!お二人さん!」ニィッ
「そして最後、翔野。お前は一人だ。対戦相手は………喜べ、とびっきりの人を用意した。」
ザッ
「あまりこんな年寄りを持ち上げんでくれ、むず痒くてたまらんわ。」
「……………なるほど俺の相手ってのはあなたでしたか!
プリンス・カメハメ!!」
雄英高校前期末試験
テキサスブロンコヒーロー"テリーマン"
VS
伝説のハワイアンヒーロー"プリンス・カメハメ"
「で、でもどうして?あなた様はヒーロー免許が失効してしまった筈なのに、」
「HAHAHA、飯田くん。それについてはぼくが答えよう。
初めてお逢いする人たちも多いだろうから紹介しよう。
この度雄英高校の用務員兼特別個性育成顧問として配属されたのがプリンス・カメハメくんなのさ!」
「雄英高校の敷地内及び遠征等、特定環境下ならワシも個性の使用が許可されるという訳だ。よってこの試験、もう一度お主の前に壁として立ち塞がろうぞ!」
こうしてあるものは有意義な青春を
あるものは己の捲土重来を
あるものは自らの歩みを誇示するための闘いの火蓋が切って落とされた
次回、開戦
No.1ヒーローの牙城を崩せるか