奮い立てテキサス・ブロンコ   作:遊人

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タッグの形 の巻

遂に始まった演習試験

 

プリンス・カメハメの闘いを生徒及び先生達も観戦したいとの理由から一番最後に回された翔野テリーを除くメンバー達は各自順番に設定された演習場にて試験を行うことになった

 

生徒側の勝利条件は二つ

 

・どちらか一人でも演習場から脱出すること

 

・先生にハンドカフスをかけること

 

先生側はハンデとして体重の約半分の重量を装着すること

 

 

これにより力の拮抗が生まれる

 

しかし

 

 

(それはつまり逃げか攻めかの判断を常に迫られるということだ。

極限下での判断力とそのヴィジョンを共有するコミュニケーションが求められる。さぁどうする緑谷少年、爆豪少年?)

 

 

開幕するや生徒側はいきなり芦戸・上鳴組、砂糖・切島組が続けて見せ場なく早々に失格になり改めてプロヒーローの本気を見せつけられる形となり

 

迎えた緑谷・爆豪組

 

見学するものも固唾を飲んで見守る

 

幼なじみだと言うのにどこかわだかまりを感じ、事あるごとに相容れない雰囲気を隠すことなく撒き散らす二人が果たしてまともにタッグとして機能するのだろうか?

 

「かっちゃん、作戦なんだけどやっぱり無難に戦闘は避けたほうが……ッ!!」ビュン

 

「うるせぇ!イライラするからこれ以上口開くなクソデクが!」

 

やはり噛み合う筈もなく脱出によるクリアを主張する緑谷と

 

「あの金髪野郎と組んで目立って調子がいいからってごちゃごちゃ口だすな!

 

俺がぶっ殺して終わらせりゃいいだけだろ!!」

 

 

はなから制圧によるクリアを、更に単騎でもっての攻勢を仕掛けようとする爆豪

 

 

タッグとして名手テリーと組み経験値を積む緑谷としては試験クリアへの道筋を描く上でパートナーとの協力は必要不可欠

 

なんとか説得しようと試みるものの

 

「おいおい、敵がいるのに口喧嘩かい?」

 

建造物の向こうから声が聞こえてきたと同時に暴風と破壊されたコンクリートの欠片達が二人を襲う

 

 

「今の私はヴィランだ!周囲の影響なんてくそ食らえと力を振るうぞ!

 

だから二人とも!真心込めてかかってきなさい!」

 

姿が現れるや放たれる堂々たる風格

 

 

「上等だああああああああッ!!」

 

 

「かっちゃん、だめだ!」

 

 

 

しかし其処に臆することなく突撃する爆豪

 

「HAHAHA、元気がいいな!だがッ」キャッチ

 

突撃してきた爆豪の頭を鷲掴みにして押さえ込む

  

「その程度じゃ、簡単に怯まないぜ!」

 

「わはってふよッ!!」

 

BBBBBBBB ッ!!

 

「い、痛たたたたたた!」

 

(顔を捕まれているってのに至近距離からの爆破連打、なんつー胆力だよ!本当に私を倒す、)

 

ドゴッ

 

(つもりしかないようだな!)

 

「ぐふぁっ!」

 

オールマイトは意に介さないとばかりに爆豪を力任せに地面に叩きつける

 

背中から叩きつけられ脳は揺さぶられる爆豪

 

「そんな弱攻撃じゃあどれだけ連打しても倒せないぜ。」

 

「ぐうううッ!!」

 

「かっちゃんを離せ!」ビュン

 

「うおっと!」パシッ

 

爆豪を救出しようと飛び込んできた緑谷の拳を空いている手で防ぐオールマイト

 

「HAHAHA、逃げの一手を主張していたのに打って来るか緑谷少年!」

 

「………"死中に活あり"。ぼくがこの間の闘いで得た教訓の一つです。」バッ

 

防がれるやすぐに距離をあけファイティングポーズに構える緑谷

 

「なるほど、なるほど。君も成長してるってことか!なら君も精一杯叩き伏してあげよう!」ゴウッ

 

爆豪から手を離し次の標的に狙いを定めたオールマイト

 

幾多の敵を屠り栄光を積み上げてきた拳が緑谷に襲いかかる

 

「今こそ体現するとき!これが保須の闘いで得たもう一つの教え!」

 

百獣王之心得(レオ's・ナレッジ)ッ!!』

 

「SMASHッ!!」

 

NO.1ヒーローとして名を馳せるオールマイトの拳が振り抜かれモニターを見ていた生徒達も耐えきれず目を反らす

 

………が

 

 

「…………ムゥゥゥッッ!」

 

吹き上げた砂煙が晴れると拳の先に倒れた緑谷の姿は無く

 

「な、なるほど……確かに君は強くなってるね、緑谷少年!!」

 

オールマイトの前腕部分で倒立をしている緑谷がいた

 

「まだまだッ!!」バッ

 

そこからオールマイトへと飛びかかり

 

ギュルウウウ

 

「ムウッ、これは………ッ!!」

 

「やああああああッ!!」ギリギリ

 

素早く後ろに回り込むと首に腕を回すチョークスリーパーを敢行、しかも回していない腕で目を覆うブラインド付きで視界も奪う

 

 

(な、なるほど……私の攻撃に対し力任せに真っ向から対抗せず、脱力からの柔軟な動きで回避と次の行動への布石を打ったか。

 

だが!)

 

「フフフフ、その程度の力じゃ私は止まらないぜ!

 

こんなもの、すぐに引っ剥がしてやる!」

 

 

「ええ、わかってますオールマイト。これであなたを止めれるなんて思ってません。

 

だから、こうするんです!」サッ

 

 

不意にオールマイトの視界が開かれると

 

 

閃光弾(スタングレネード)ッ!!』

 

今度は強烈な光が瞳を焦がす

 

「ぬおおッ!?」

 

「ぶっ飛べや!!」ピンッ

 

 

BOOOOON!!

 

 

爆豪は籠手のピンを外し個性をフル解放した一撃を見舞う

 

 

オールマイトの姿を覆う程の轟音と爆炎が放たれる

 

「ぬううう、やるじゃない二人ともッ!

 

……ってあれ?」

 

オールマイトは黒煙を振り払うが二人の姿は既になくなっていた

 

 

 

 

 

「はあっ、はあっ、なんとか脱出できた。かっちゃんこの後なんだけど「…………ぇ。」え?」

 

「うぜえぇぇぇんだよおぉぉぉッ!!」ゴズッ

 

「うごぉっ!?」

 

 

爆豪は内から溢れる激情を抑えきれなかった

 

孤高であることを良しとし最強の"個"こそ至高であると考える自分が連携を()()()()()()、それも一番気に食わない奴にタクトを握られお膳立てされた上でだ。

 

 

「てめえは俺より上になったつもりか!?あの金髪野郎から学んだ技で俺の手綱をとるな! 

 

俺は一人でもやれるんだ!てめえが端っこでうろちょろされると気が散るんだよ!」

 

 

「そ、そんな言い方ないだろっ!

 

第一、無策で突っ込んで一方的にやられかけていたのはそっちじゃないか!」

 

「うるせえええぇッ!」BON!

 

「ぶあッ!?」ズザァァ

 

怒れる爆豪は緑谷に個性を見舞う

 

「俺はやれるんだ!俺一人の力で最強を証明するんだ!

 

てめえの力を借りるくらいなら、負けたほうがましだ!」

 

 

「……………ッ!」

 

ふっ飛んだ緑谷に背を向け決別を吐き捨てた爆豪だったが

 

「ま、待てよ………!」グググ

 

「ああッ!?」

 

ガシッ

 

「君が軽々しく"負けたほうがいい"なんて、言うなよ!」ゴッ

 

「がぁっ!?てめぇ何しやがるクソデク!!」

 

 

「ぼく一人じゃ、勝つ算段も逃げ切る算段も見えないんだ。

 

けど!二人なら、わずかな可能性を手繰り寄せれそうなんだ!

 

ぼくの知るかっちゃんはどんな時にも勝つことを諦めなかった!

 

だったら、どんな手でも勝利に手を伸ばせよ!それでぼくの案が気に入らないなら、僕を使ってみろよ!

 

出きるだろ!君なら!」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

演習場・脱出ゲート付近

 

「HAHAHA、どうせ脱出ゲートはここしかないからここで待ってればいつか来るだろ!

 

っと思ったけど思いの外来ないな!もうストレッチのやりすぎで汗かいてきちゃった!」グイッ グイッ

 

 

笑顔を崩さず伸び伸びとストレッチをするオールマイトの前に

 

ザッ

 

「お待たせしました、オールマイト。」

 

「余裕ぶっこきやがってよぉ!ぜってぇぶっ飛ばす!」

 

 

「HAHAHA、意気込むのは良いが時間内にクリアできるかな?」ダッ

 

 

 

「やったるわッ!!合わせろクソデク!!ミスったら殺す!」

 

「うん!」

 

 

 

『『幻惑・陽炎飛び!!』』ダダダダッ

 

 

「オオッ!?」

 

 

爆豪と緑谷が縦に並びオールマイトの前で高速移動を繰り返し撹乱させる

 

 

(ま、まったく…伊達に幼なじみじゃないってことか。

 

爆豪少年のパターンに捕らわれない無茶苦茶な動きも流石だがそこに息を合わせて一緒に動ける緑谷少年もまた見事だ。

 

緑谷少年の観察力と長年の付き合いが活きているな!

 

だが!)

 

 

「いまだっ!行け!」

 

「やあぁぁっ!」バッ

 

 

(そう、確かに撹乱させるとこまでは見事。だが!)

 

「いつまでもそれでは勝てない、故にどこかで攻勢に転じなければならない。

 

ならばそこを狙い打てば良いだけだ!」

 

「ええ、わかってますよオールマイト。」チャキ

 

爆豪の後ろから飛び出てきた緑谷に対し、待ってましたとばかりに迎撃しようとするが

 

「あんたをそう簡単に出し抜けるなんてはなっから考えてねぇよ!」

 

「イッッッけぇ!」ピンッ

 

BOOOOONッ!!

 

爆豪の籠手を装着していた緑谷がピンを抜き二度目の大爆発がオールマイトを襲う

 

「よし、今のうちにゲートへ!!」バッ

 

「指図すんな!」ダッ

 

 

爆炎により倒れはせずとも怯みはする

 

その間に二人でゲートを突破する

 

そしてそれはまもなく完遂する筈だった

 

 

 

 

 

 

ゾアッ!!

 

「「ッ!!」」

 

 

 

 

だがそれは相手が並の者だったらという話

 

二人の相手は現役No.1ヒーローにして現在"平和の象徴"と崇められる生きる伝説(リビング・レジェンド)

 

「甘い甘い!」ゴウッ

 

 

爆炎を一瞬で搔き消し一瞬で二人との距離を詰めるオールマイト

 

(チィッ、ギリギリ届かねぇ!だったら!)

 

 

爆豪が個性を止めて自らを囮に時間を稼ごうとした時

 

「かっちゃん!止まらずに行って!!」

 

先に動いたのは緑谷だった

 

「だあああああ!」

 

「緑谷少年。」

 

 

ゴズンッ

 

オールマイトはこちらに突っ込んできた緑谷を上から掌底で叩き潰す

 

 

「確かに君は強くなっている。だがそのような自己犠牲がすぎる闘い方を私も教師としてこれ以上見過ごす訳にはいかない!」

 

 

 

 

 

ギュルウウウ

 

「なっ!?」

「そ、それでも僕は貴方を止める!止めて勝つんだ!かっちゃんに自分の道を曲げさせたんだ!落ちこぼれでなにも出来ない木偶の坊に道を譲らせたんだ!

 

なら僕は勝つために捨て石にでもなってやる!」

 

緑谷掌底の下に押し潰されながらもその人差し指に指固めを極め両手で関節の逆方向に曲げようとする

 

(な、なんという反骨魂!緑谷少年、ここまで君の心は成長していたか!だが!)

 

「構わん!次は爆豪少年を追わなくて「オールマイトォォォォォ」なっ!?」

 

榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)ッ!!』

 

体育祭で見せた大技で特攻してくる爆豪

 

「おいおい!緑谷少年の犠牲を無駄にするつもりかい!爆豪少年!」

 

(緑谷少年のせいで腰が入らないがそれでも爆豪少年に打ち勝つ位なら訳ない!)

 

「SMASHッ!!」 ゴッ

 

ベキャ

 

「ブガアアアアァァァーーーッ!?」ズザァァ

 

 

オールマイトの拳をモロに食らい吹き飛ばされる爆豪

 

「残念だよ、爆豪少年。

 

他人の心を慮る(おもんぱか)心が君に芽生えればきみは"ヒーロー"として更なる高みへと行け「緑谷・爆豪組クリアだよ。」……へ?」

 

見ればオールマイトの繰り出した腕の手首にはカフスが巻き付かれていた

 

「く、クソデクに借り作られて施された勝利なんざ……いら、ねぇ……ッ!!」ドサッ

 

この言葉を最後に爆豪は気を失った

 

(な、なるほどね。それが君なりの意地とケジメって訳か。だとするならば、半歩前進ってとこかな。)

 

こうして緑谷と爆豪のテストは合格で幕を閉じた

 

 

 

 

 

 

 




次回、
ハワイの英雄
VS
テキサスの荒馬

開戦
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