奮い立てテキサス・ブロンコ   作:遊人

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闇の枝葉 の巻

試験翌日

 

 

「み、みんな………お土産ヒッグ、だのじみにしてるからエッグ………ウウッ。」

 

芦戸の嗚咽混じりの声が響く

 

 

期末試験の実技をクリアできなかった4名はこの世の終わりのような顔になっていた

 

 

 

「み、みんなまだわかんないよ!まだどんでん返しがあるかも………。」

 

 

「やめとけ緑谷、それ言うとなくなる奴だから。

 

ってか俺もある意味ヤバイんだよなぁ………。

 

クリアしたけど寝てただけ、兎にも角にも採点基準がわからないことには………。

 

それによぉ、」チラッ

 

瀬呂が視線を向けた先には

 

 

「…………………………。」

 

 

「テリーくん………。」

 

 

静かに腕を組み瞑想するテリーの姿があった

 

 

 

 

「おら、予鈴なったぞ。席つけ。」ガラッ

 

 

そんな悲喜こもごもな教室も担任の到着と同時に静寂を取り戻す

 

 

「あー、期末テストだが………残念ながら赤点が出てしまった。」

 

 

「「「「………………。」」」」ズーン

 

 

 

「よって林間合宿は………………

 

 

 

 

 

全員で行きます!!」

 

 

 

 

「「「「大どんでん返しキターーーー!!」」」」

 

 

相澤の言葉に先ほどまで意気消沈していたメンバーは歓喜の叫びをあげる

 

「筆記の赤点はゼロ。

 

実技で芦戸、上鳴、切島、砂藤そして瀬呂。

 

あとは翔野も……と言いたいところだったが流石に相手が相手だ、今回は合格だ。」

 

 

 

「………………ありがとうございます。」

 

 

合格を告げられたとは言え完敗を喫したテリーの表情がほころぶことは無かった

 

 

 

 

 

昼休み

 

 

「いや~、それにしても良かったね、テリー!赤点じゃなくてさ!」バシバシッ

 

 

「あ、ありがとう。」

 

取陰に背中を張られるテリー

 

 

昼休みにもはや見慣れた光景、テリーとポニーwithB組女子によるランチタイム

 

 

「うちらも全員合格したし、良かったノコ。」

 

 

「だけど、物間サンだけ落っこちてしまいマシタ…………。」

 

「あれだけ息巻いて周りに発破をかけて自分だけ落ちるなんて、やはり何かに憑かれてるわね。」

 

「ん。」

 

 

 

「……だが今回の戦いで気づかされたな。どうやら俺は知らず知らずの内にいい気になっていた。

 

今回は完敗だったよ。」

 

 

「いやいや、今回の場合相手はむちゃくちゃだって!」

 

 

「とんでもない強さだったノコ!」

 

 

「それでもだ、プロになればそんな言い訳は通用しない。まだまだ研鑽を積まなくてはな。」

 

「テリー……。

 

…………そうデスネ!私も頑張って強くなりマス!二人でもっともっと強くなりまショウ!」

 

 

「ああ、そうだな!ポニー!」

 

 

「あーあー、アツい、アッツい。」

 

 

「うらめしさも吹き飛ぶほど眩しいわね。」

 

 

「ん。」

 

 

 

こうして決意を新たに昼休みは過ぎていった

 

 

そして放課後

 

 

「あー、終わった終わった!」

 

「てか、林間合宿の準備しなきゃじゃん!」

 

「結構な荷物になるな……。」

 

「じゃあさ、明日休みだしみんなで買い物行こうよ!」

 

 

期末テスト終了の解放感と来る林間合宿に向けた期待で盛り上がり

 

明日、爆豪と轟を除いたA組での買い出しを行うことになった。

 

「あ、もちろんポニーちゃんも連れて来ていいよ!」

 

「なんならB組女子全員連れて来ても!」

 

「邪心が見え見えよ峰田ちゃん。」

 

 

 

こうして話が纏まり各々が教室を後にするなか

 

 

 

「あっ、デクくん!」

 

「あっ、えっと、ご、ごめん。麗日さん、僕ちょっと用事があって帰るの遅くなるから先行ってて!

 

ほ、ホントにごめんね!」ガラッ

 

 

 

「う、うん………。」

 

 

 

 

あわただしく教室を出ていった緑谷が向かった先は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、今日の仕事もあらかた片付いたかな。」

 

「あ、あのっ!!」

 

 

「ん、お主は?」

 

 

 

「ぼ、僕と………今から、戦闘訓練をしてください!

 

お願いします!!」

 

 

「…………ワシは空彦のように甘くはないぞ。

 

覚悟はできているか、

 

 

 

 

 

緑谷出久よ。」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「邪魔するよ。」ガチャ

 

 

「義欄さま、いらっしゃいませ。」

 

 

 

ヴィラン連合の拠点に訪れたのは闇のブローカーである義爛

 

 

「…………何しに来た?それと後ろに連れてるのはなんだ?」

 

 

 

「相変わらず機嫌が悪いなぁ、この前話したろ?

 

お宅らの活躍を耳にして連合に入りたいって奴を連れてきたんだよ。

 

ほれ自己紹介。」

 

 

 

 

「トガです!トガヒミコ!生きにくいです!もっと生きやすい世の中になってほしいものです!

 

ねぇここにいればこの間の保須市の二人と|闘()えるんだよね!

 

私、めちゃくちゃ強いから入れてよ弔くん!」

 

まくし立てるように一方的に話始めたセーラー服の少女・トガ

 

 

「言動は今時って感じでちょっと軽いが実力は保証するよ。

 

顔も名前もメディアに守られてるが連続失血死事件の容疑者として追われていて、まだ2、3人の若手ヒーロー程度だが返り討ちにしている。」

 

 

「なんと、その年で既に実績があるとは心強い!」

 

 

 

「…………確かに凄そうだが大丈夫なのかよ、だいぶ人格に難ありだぞ。」

 

はしゃぐトガの横で悠然とフードを被り黙っていた男がポツリと呟くと

 

 

「お前はその人格難ありにも劣るぞ、まずは顔を見せて名乗ってから話すべきじゃないか。」ギロッ

 

苛立ちを隠すこと無く死柄木が問いただす

 

 

「今は荼毘で通してる。」バザッ

 

フードを下ろすと同時に名乗るのはつぎはぎだらけの男・荼毘

 

 

 

「通すな、本名を言え。」

 

 

 

「時が来れば教えるさ。

 

とりあえずステインの意志を継ぐ為にここに来た。

 

今言えるのはそれだけだ。」

 

 

 

「まぁ、こいつはまだ目立った犯歴はないがステインの意志にえらく固執していてな。

 

だが目や風体を見てもらえばわかるがただ者ではないってのはわかってくれるだろう?」

 

 

 

 

 

「確かにそんじょそこらのチンピラじゃないってのはわかるが、クソガキと礼儀知らず。

 

 

俺の嫌いな奴ツートップだ。

 

 

黒霧、そこら辺に捨ててこい。」

 

 

 

「し、死柄木!?」

 

 

ぶっきらぼうに言い放った言葉により室内の緊張が一気に張り詰める

 

 

「おいおい、こんなだだっ子ちゃんがリーダーの組織とか大丈夫かよ?

 

よくステインはこんなのと組んだな。」

 

「うふふ、私は別にいいですよ。私よりも弱っちそうな人の下に着くつもりもありませんし。

 

それこそステインやあの二人みたいなギラギラしたものが見受けられませんし。」

 

 

 

 

その言葉は死柄木の逆鱗に触れた

 

 

「………ステインステインって、てめえらは口を開けばそれしか出さねぇな。

 

気に入らねぇな、まったくもって気に入らねぇ。

 

だから、塵に還れ!」ゴウッ

 

 

 

「ッ!?」

 

 

「アハッ!」

 

 

「いけない、落ち着いてください死柄木弔。」

 

 

溢れた感情が交差するかと思われた刹那、三人の繰り出した腕は黒霧の個性により空振りに終わっていた

 

 

 

「あなたの望むままを目指すなら組織の拡大は必須。

 

奇しくも注目されている今、そこらの有象無象とは一線を画す猛者が我々に興味を示している。

 

 

これはチャンスです、死柄木弔。

 

どうか排斥ではなく受容の心を。」

 

 

静かに諭す黒霧

 

 

「…………チッ、興ざめだ。」

 

 

そう吐き出すと死柄木は拳を収め上着を取り店から出ていってしまった

 

 

 

「…………フゥー、あまりおせっかいは焼きたくないがお宅の大将は若いねぇ、若すぎるくらいだよ。」

 

 

「…………気色悪。」

 

「…………あの殺気、凄かったです。ちょっと、ほんのちょっとだけ"ドキッ"ってしちゃいました。」ゾクゾク

 

 

 

「皆様、せっかくご足労頂き恐縮ですが

 

返事は後日でもよろしいでしょうか。

 

 

彼自身ももう自分がどうすべきかわかっているハズです。

 

必ずや皆様のご納得頂ける解答を出してくれることでしょう。」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「県内最多店舗数を誇るナウでヤングな最先端、木椰区役ショッピングモール!」

 

 

「「「イエーイ!!」」」

 

 

休日ということもあり大にぎわいな中にA組の姿はあった

 

 

 

轟、爆豪は不参加だったものの代わりにB組からポニーが参加することになりショッピングをすることになったのだが

 

 

「アハハ………。」

 

 

「いやアハハじゃねえよ緑谷!」

 

「なんで試験の時よりキズやら湿布やらが増えてんだよ!?」

 

 

なぜか試験後よりも体がぼろぼろな緑谷の登場に一同は騒然となっていたが

 

「皆、ここは公共の場だ!大声を出してはしゃぐのは周りの皆様に迷惑だぞ!

 

それに緑谷くんは転んだと証言しているんだからいい加減やめないか!」

 

 

賑わうショッピングモールで誰よりもハキハキと通る声で制する飯田

 

 

結局各々買うものがバラバラの為、集合時間と場所だけ決めそれぞれに別れてショッピングをすることになった

 

 

次々と目的が近い者達で別れていく中

 

 

 

残ったのは緑谷、麗日、テリー、ポニーの4名

 

 

「えっと、僕はトレーニンググッズを見に行くけど麗日さんは………。」

 

「う、ウチは虫よ、ッ!?」

 

 

 

不意に今の状況を俯瞰した麗日は

 

 

 

 

ーーー君、彼のことが………。

 

 

「む、虫除けーーーーーーッ!!」

 

「虫ッ!?」

 

 

 

その言葉と同時に人混みのなかへ進んでいってしまった

 

「い、いったいどうしたってんだ?」

 

 

「………テリー、オチャコさんの事は私に任せて二人は先にショッピングしてきてクダサイ。」

 

 

そう言うやテリーの隣を離れるポニー

 

 

「こういうのはレディー同士じゃなきゃダメなのデス。大丈夫時間には戻りマスヨ。」

 

「………わかったよ。頼むなポニー。」

 

テリーに見送られてポニーもまた麗日を追って人混みのなかへ入っていった

 

 

「なんだっただろうね、麗日さん。」

 

「さぁな、女の悩みってのは時に男ではどうにもならん領分があるかな。

 

ま、ポニーが付いて行ってくれたし大丈夫だろ。」

 

 

こうして二人でモール内を練り歩くが

 

 

「なぁ、あれって………。」ヒソヒソ

 

「ステインを倒した………。」

 

 

「"稀代の名タッグ"と呼び声高い………。」コソコソ

 

「なんか既に貫禄あるな。」

 

 

 

「なんか凄い噂されてるね。」

 

「まぁまぁ、言い寄られないだけましさ。」

 

 

群衆の中には既にテレビでヴィランを倒す瞬間を放送されている二人の存在に気付いた者もおり、少しだけ好奇な目を向けられていた

 

 

 

同時刻

 

「……………………。」

 

 

バーを飛び出した死柄木はアテもなく歩き回り、賑わいに引き寄せられるままにショッピングモールに行き着いていた

 

 

ワイワイ

 

ガヤガヤ

 

 

(どいつもこいつも暢気に過ごしてやがる。

 

なぁステイン見てみろよ。お前が騒ごうがこいつらには何も響いちゃいない。

 

だが、同時にお前の知らない所でお前の闘争に心を動かされた者達がいる。

 

この差はなんだ?

 

俺とお前、何が違う!?

 

互いに気に入らないものを壊しているだけなのに!)ギリッ

 

 

ザワザワ

 

コソコソ

 

「?」

 

 

 

自問を繰り返す死柄木だが周囲の微かなざわめきにふと我に帰る

 

そして

 

 

(ああ、そうか。

 

あいつらになら何かわかるかも知れない、敵連合(俺たち)を退け、ステインを破ったお前らなら!

 

恥も何もない、この沸き上がる靄を取り除くためならなんだっていい!)

 

「やあやあ、奇遇だな。こんなところで有名人に出会えるなんてな。」ポン

 

 

 

 

流石の二人も油断していた

 

往来の多いショッピングモールの中にとんでもない不穏因子が紛れているなど霞も考えていなかった

 

 

二人の肩に置かれた不自然に中指だけ浮かされた手

 

誰かと思い顔を見て驚愕する

 

「てめぇは………ッ!!」

 

「し、死柄木 弔…………ッ!?」

 

 

 

「ゆっくり話をしようぜ。最強コンビ様。」

 

 

再びの邂逅、それが何をもたらすのかは声をかけた死柄木にすらわからなかった

 

だがこの問の答えに近く鍵は間違いなくこの二人にあると確信していた

 

 

 

 

 

 




静かなる緊張が二人を襲う!
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