時を期末試験に戻し
「あとちょっとやのにーーーッ!!」
「大☆ピンチ。」
ゴールを目前に青山・麗日コンビは相手役のプロヒーロー13号により足止めを食らっていた
「ほらほら、吸い込んじゃうぞ!僕は戦闘は苦手だけど捕り物には一家言あるんだ。」
個性を使用し動きを止めたまま確保に向けて距離を詰めてくる13号
(あかん、捕まる!
考えろ、考えろ考えろ考えろ!
こんなときデクくんなら…………)
「ねぇ」
「ちょっと待って、今」「緑谷出久なら、って考えたろ」
「ッ!?」
「君、彼のこと好きなの?」
「はあっ!?」
唐突かつストレートな質問に麗日は試験中であることを忘れ動揺し
「「あ」」
「わわっ!?」
結局それが功を奏し試験合格へと繋がったのだが………
(うぅぅ、青山くんのバカ
デクくんとはそんなんちゃうのに、たぶん………。)
「オチャコさーーん!」タタタッ
一人でぐるぐると思考が散らかる麗日にポニーが追い付く
「ポ、ポニーちゃん………。」
「ヤット、オイツキマシタ。」
自分を追いかけて来てくれたとわかると麗日は自分の行いを恥じた
「ご、ごめんね。急に走ったりして………。
デ、デクくんとテリーくんにも悪いことしてしもうたわ…」
「…………オチャコさん、チョット落ち着きマショウ。
ワタシもテリーとイズクくんも大丈夫デス。
さぁモドリマショウ。」
ポニーに促され来た道を戻る麗日
(そうだ。戻ったら謝らんと……うん、そう別におかしな事なんかないもん
別に一緒にお買い物とかそういうんと違うし、テリーくんとポニーちゃんもおるし
そもそも同じヒーロー志望としてすごいなってだけやし)
麗日はどうにか自身の中で整理をつけようと考えを巡らせるが
「オチャコさん、イズクくんって凄いデスヨネ。」
「へ?」
「ワタシはテリーの強さをシッテイマス、それに合わせて動けるイズクくんはカッコいいと思いマス。」
「う、ん。そうだね。」
「それに海外から来た私たちにも優しいデスシ、オールマイトや日本のプロヒーローについても詳しく教えてくれマス。」
「………。」
「テリーもイツモ、イズクはスゴイ!って言ってクルンデスヨ。
ワタシも一度、イズクくんとチームを組むか対戦するかしてミタイデス!」
(うん、そうだよね。ポニーちゃんはあくまでもデクくんのヒーローとしての素質の部分を評価しているだけであって
そもそもポニーちゃんにはテリー君っていう素敵なボーイフレンドがおるわけで
……………って、うちはなんでポニーちゃんがデクくんの事をしゃべる時にこんな複雑な感情が湧くんだろう?)
楽しそうにしゃべるポニーの後を追いかけながら麗日は答えのない感情の正体を探るべくモヤモヤとした気持ちのまま歩くのだった
「おっと、妙な真似をするなよ。俺の個性は五指で触れたものを崩して塵にするんだ。
この指を落とせばお前らは1分と経たずに塵になるぜ。」
「こ、こんなところでそんなことをすればすぐにヒーローが来るぞ!」
「…………ハハッ、そしたら来るまで暴れ散らしてやるよ。
見ろよ、行き交う誰もが笑顔を絶やすことなく群れていやがる。
法やルールなんてのはつまるところ個々人のモラルが大前提だ。互いに"するわけない"って思い込んでいるからさ。
こんな中で暴れれば2、30人は殺せるだろうな。」
「ッ!!」
「落ち着くんだイズク。
それで?敵の大将がこんなところで俺たちに接触してくる目的はなんだ!?」
「まぁそう焦るな。そこに座ってゆっくり話そうじゃないか。」
場所を移し死柄木を真ん中にして腰かける3人
「そもそも気に入らねぇことなんざ腐るほどあんだけどよ。
一番気に入らねぇのはステインの野郎の事だ。」ギリッ
「な、仲間じゃなかったのか?」
「俺は認めていないが世間ではそうなっている、そしてそこが気に入らねぇ。
なんもかんも話題が奴に喰われた。
誰も俺を見ない、何故だ?どれだけ能書きを垂れようが俺もあいつも気に入らないものを壊しているだけなのに何が違う?」グググ
語尾と共に二人に置かれた指に力が込められていく
「………そんなのは簡単な話さ。」
「ああ?」
「お前とステイン、破壊という"手段"をとったのは同じだ。
それ自体はどちらも納得出来ないが少なくともステインは"理解"できた。」
「僕もステインも始まりはオールマイトだったから………
僕たちはステインに助けられた。それでわかった、あいつは壊したいがために壊したんじゃないって。
お前のように途中で諦めて徒に投げ出したりもしなかった……。
やり方が間違っていようとも、それでも己の理想に生きようとしていた。」
「俺に言わせればお前の振り上げた拳は軽いんだよ、暴力で訴えるにしても指し示す未来が見えなければそこに人は惹き付けられないだから感情だけしかウエイトが乗らない、そんなものは人に何かを刻むに至らないんだよ。」
(理想、未来………、そして信念。)
逡巡する死柄木の頭にいくつもの言葉や記憶が渦巻き
シナプスが稲妻の如く全身を駆け巡る
ゾアアアアアアアッ
「「ッ!!」」
「あぁ……スッキリした。点と点が線で繋がったような気分だ。」
一見すると穏やかな口調と笑みを浮かべる死柄木
「そうか。そうだよな、簡単な話だった。
このイライラもそうだ。始まりは全部
オールマイトだ。」
しかしその
その笑みの奥にある底知れないどす黒い感情が今まさに堰を切った様に溢れ出ていた
「ああ。やっぱりお前らと話して正解だった!感謝するよ!
俺は何も変わる必要なんてなかった!
こいつらがヘラヘラしてるのも!全部!全部
まるで救えなかった者などいなかったかのようにヘラヘラ笑っているからだ!」グギギギ
バジッ
「勝手に悦に入ってもらうのは結構だが力を抜いてもらえないか?
イズクの首が絞まっている。」グググ
一人語りを始めた死柄木の手首を掴みテリーが声を上げた
(テ、テリーくん………ッ!!)
水を刺され我に帰る死柄木とテリーの目が合う
状況的には圧倒的に不利ながらも抗議したテリーと死柄木の間に緊張が走るが
「テリー、イズクくん………。」
「その人、お友達じゃ……ないよね?」
そこに割って入ったのがポニーと麗日
「手、放して?」
「……………….。」
不意に死柄木が脱力する
(こいつ、ここから何か動く気か?)
(せめて、せめて二人だけでも!)
テリーと緑谷も覚悟を決めて動こうとするも
「なんだ、連れがいたのか。ごめんごめん。」サッ
死柄木は一転して笑顔で両手を離して答えると素早くその場からも立ち上がり
「いい話が聞けたよ。じゃあな、お二人さん。
追って来るなよ、来たら わかってるな?」
足早に群衆のなかへ歩を進める
「ま、待て死柄木…………。
オール・フォー・ワンの、目的はなんだ……?」
「え、死柄木!?」
「知るねぇよ、それよりもお前らも気を付けろよ。
今回の礼だ、お前らはお前らの土俵でもって懇切丁寧に潰してやる。
次会う時はその準備ができた時だ。」
こうして三人の邂逅は幕を閉じた
死柄木にとっては大変実りある時間となり
「大丈夫デスカ?テリー、イズクくん!?」
「もしもし、警察ですかッ!?ヴィランが!」
彼らにとっては楽しい思い出になるはずが最悪な形となってしまった
「ただいま。」ガチャ
「おかえりなさい、死柄木弔。
どうですか、少しはリラックス……されたようですね。」
バーに帰ってきた死柄木のを見て察した
(予想よりも早いですね。目覚めた、いや元来持っていたものが花開いたといったところでしょうか。)
「ああ。素晴らしき休暇だったよ、俺は何も変わらない!
しかしこれからの行動はすべて一つに繋がる!
オールマイトのいない世界を作り正義がどれ程脆弱なものかを暴く!
これこそが俺の描く理想であり信念!そのためならいかなる艱難辛苦も飲み干してやる!」
声を大にして語る死柄木を成長した子供を見るように暖かな視線を送る黒霧
「さっそく義爛に連絡をしとけ黒霧。
あの二人はとるがまだ足りないとな!
兎に角腕っぷしに自信がある奴は歓迎すると伝えろ!」
「わかりました、では早速。」
(さぁ忙しくなるぜ!
緑谷出久、翔野テリー!貴様らも俺の描く未来の贄にしてやる!)
決意新たに滾る死柄木を
「フフフ。」
モニター越しに眺める影もまたほくそ笑むのであった
まだ未定ですが、ゆで次元の介入により連合メンバーの変更、及び増員があるかもしれませんご了承下さい