「ま…まさか、マスキュラーがやられるなんてね。」
「トップロープが顔面、セカンドロープが大腿部を押し潰し更には自身が弾丸の如く背骨に突き刺さる。
見事だ、あれではいくら筋繊維を肥大化したとて防げまい。」
「はぁ、はぁ、はぁ………。」
新必殺技を披露した緑谷だが体は既に満身創痍だった
「緑谷くん!」
飯田がリングに上がり緑谷のもとへ駆け寄る
「ぼ、僕は大丈夫だから……洸汰くんは?」
「マグネ。」
「ハイハイ、わかったわよ。」
激闘の決着を見届けたスピナーの声に反応したマグネが洸汰の拘束を解いていく
「ほら、よかったわね。さっさとお行きなさい。」
「ッ!!」ダッ
解放された洸汰は一目散にマンダレイの元へと走っていった
「洸汰!!」ダキッ
走ってきた洸汰を受け止め安堵するマンダレイ
「本当に解放するとは、ヴィランながらにも戦士としての矜持は捨てるほど落ちぶれてはいないようだな。」ザッ
「無論、この戦いに水を指すほどこちらも無粋ではない。
だが!我々の計画はまだ完遂していない!
故に、我々はまだ捕えられる訳にはいかないのでな!」チャキ
「ちょっと余興を挟んじゃったけど私達もそこまでお利口さんじゃないのよね。」バッ
虎とピクシーボブが構えると同時にマグネとスピナーも自身の得物を取り出し抵抗の構えを示す
「みんな!」
「テリーくん!?」
そこへ宿舎側からテリーが現れた
「えーいっ!!」グオッ
「なんのッ!!」シュバッ
それを合図にプロヒーローとヴィランが激突する
ピクシーボブが『土流』の個性で攻撃しようとするがスピナーがナイフを投げつけこれを阻止
「ぬうん!」
「きゃ!危ないわねぇ。」
虎とマグネもぶつかり合う
「こ、ここは私たちプロに任せて貴方たちは宿舎に!」
「マンダレイ、先生から言伝が!」
テリーが担任から託された言葉をマンダレイに伝えると
「そう、いいんだねイレイザー!」
『A組B 組総員ーイレイザーヘッドの名に於いて戦闘を許可する!』
テレパシーを用いて森にいる全生徒へ戦闘許可がおりる
「俺とポニーは森へ行ってみんなの救援に行く!みんなは戻って先生達の援護を!」
「ま、待って!テリーくん!僕も行く!」
「な、無理だ!緑谷くん!君の体は既に満身創痍だ!これ以上は命に関わるぞ!」
「それでも、行かなくちゃ!
ここで動かないと僕は絶対後悔する!
だから!」
「……OKだ、イズク!お前ならそう言うと思ってたぜ!」ガシッ
緑谷の覚悟を受けたテリーは緑谷を背負う
「テリーくん!」
「……お前らは早く宿舎へ、委員長引率頼むぜ!」ダッ
そう言い残しテリーは緑谷を背負いポニーを引き連れて森へと入っていった
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「あはは、強いですねぇ。」
「はぁ、はぁ、危なかった。」
「流石ね、お茶子ちゃん。」
ナイフをかざして突っ込んできたトガに対し麗日は職場体験で身につけた
「梅雨ちゃんベロで拘束できる!?」
「わかったわ。」
「テレビで観た時より強くなってますね、さしずめ愛の力って所ですかね」
地に倒れ付し押さえつけられている筈のトガは不気味に余裕を崩さず喋り続ける
「あなた、好きな人がいますよね。」
「ッ!?」
「わかるんです、乙女ですから。貴女から同じ匂いがするの。」
「何を言ってッ!?」ズキッ
喋るのを止めないトガに恐怖と苛立ちを感じた刹那、麗日に痛みが走る
「お茶子ちゃん!!」
麗日が痛みを感じた方を見ると
自らの足にトガから伸びた注射器が刺さっていた
「ちゅうちゅう……。」バッ
トガは麗日が痛みに怯んだ隙に拘束から抜け出す
「ごめん梅雨ちゃん!離してもうた!」
「謝らなくて良いわ、お茶子ちゃん。それよりも貴女の足は大丈夫!?」
「アハハ、好きな人ができるとその人みたくなりたいって思いますよね!
その人と同じに成りたくなるよね?その人と同じものを身に付けたくなるよね?そして最後にはその人そのものに成りたくなっちゃうよね。」
立ち上がりながらも言葉を止めないトガに二人は恐怖で顔が歪む
「
でも、まだ足りないの。
よりそのものに成る為にはやっぱりその人自身がいるの。
だから、
トガが取り出したの色々なきらびやかなデコシールが貼られた刀の鞘
「ナイフなんてもう使わない、だって温もりが伝わらないもの。だからこうするの、これで切ればよりわかるの。だから貴方に成れるの!」
そこにトガは右腕を差し込む
『妖腕刀。』
そこから再び腕を抜くと右腕自体が刃へと姿を変えていた
「今の二人、スッゴくいい表情です。
だから二人の面、ちょうだい。」ダッ
「「ッ!?」」バッ
再び突進してくるトガを二人は左右に別れて回避する
「アハッ!」スパッ
ズル、ズルルルルル
ドサッ
トガの刃は木を綺麗に切断してしまった
「う、嘘やろ……。」
「ケロ……。」
あまりの切れ味に二人も言葉を失う
「アハハ、外しちゃいました。」
振り向くトガの姿に二人は悪鬼羅刹を見た
間違いなく本物のヴィラン
年齢も変わらないほどの少女が放つにしては禍々し過ぎる殺意に麗日と蛙吹の足は本能的にすくむ
その一瞬が命取りだった
「隙ありです!」バッ
距離を詰め刃を振りかざすトガ
完全に虚をつかれた二人は反応できずこのまま凶刃の餌食かと思われたが……
ヒュンヒュンヒュン
「ッ!?」バッ
突如飛び退くトガ
さっきまで自身がいた場所には無数の角が突き刺さっていた
「オチャコさん、ツユちゃん!」
ポニーの声に二人も我にかえる
「あは、邪魔されてイラッとしましたけど、またまた女の子!
しかも貴女も恋してますね!これは楽しい女子会の始まりですね!」
「お茶子ちゃん、ポニーちゃん。明らかに相手はマトモじゃないわ。戦闘許可が出ているとはいえ無理に闘う必要はないわ、ここは後退戦の構えで行きましょ。」
3対1となるも笑いながら刃となった右腕をきらめかせるトガ
戦いは次の局面を迎えようとしていた
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「だあぁぁーーーッ!!くそがぁ!当たらねぇ!」
爆豪が自身の個性を使い攻撃をするも
「よっ、ほっと、なんのッ!!」
バネがすごいどころか全身がバネなヴィラン・スプリングマンの前に悉く空振りとなっていた
「爆豪!!」
轟が援護しようと個性を使い地面を凍らせていくが
「むんっ!」ビョン
スプリングマンは素早く飛び上がると
『トペコンバズーカ!!』ボンッ
そのまま近くの木の幹に足を乗せ自身の体の特性を生かして水平に飛んで行った
「くぅぅ!」(爆豪を巻き込むかもしれないから使いたくなかったが!!)
たまらず轟が氷塊で壁を作るが
「甘い!」ボゴッ
なんとスプリングマンはその氷塊をぶち破って突撃してきた
「くッ!?」ズゴッ
咄嗟に腕をクロスさせて受ける轟だったが余りの勢いに吹き飛ばされてしまう
「まだまだぁ!!」ビョンビョンビヨーン
その轟を追いかけるように自身も着地の勢いを殺すことなく跳躍を続け
「ケケケ~ッ!!」
一気に飛びかかり轟の体を自身のバネの中央部分に入れてしまった
『デビルトムボーイ!!』ギシギシギシ
「うわぁぁぁーーっ!?」
「半分野郎!!」
「おっと、動くなよ。このデビルトムボーイはてめぇらみたいなもやしっ子位ならあっという間にバラバラに出きるんだぜ。
てかお前、よく見たらターゲットの写真の奴だな!」
「「ッ!?」」
(ば、爆豪が……ターゲットだとッ!?)
「こりゃ棚ぼただな。お前、俺に着いてこい!嫌とは言わせねぇぞ!」
「ば、爆豪ッ!俺に構うな!逃げッ「勝手に喋るなよ!」グウウウッ!!」
スプリングマンは自らの体を伸ばし絞りをきつくしていく
「……チィッ、わかった!!わかったから半分野郎を離せやバネ野郎!!」
ーーーーーーーーーーーーーーー
「断……面……。」
「ふん、やっと沈んだか。」
「あ、ありがとうございます。カメハメさん。」
「俺の
「なーに、たまたまランプを持ってたのが功を奏したまで。
兎に角、お主らが無事でよかった。」
脱獄中のヴィラン・ムーンフィッシュに襲撃された常闇と障子はムーンフィッシュの個性『歯刃』による奇襲を受け
障子の複製腕の一部が切られ出血
それを見て常闇が怒りの感情に支配され個性が暴走仕掛けるもそこへランプ片手に合流したカメハメにより沈静化
そこからカメハメ主軸の攻勢により瞬く間にムーンフィッシュは倒されるのであった
「とりあえず歯を全部折ったとは言え油断は禁物。
さっさとコイツの口を縛………ッ!?」バッ
「ど、どうされたのですか?」
「まさか、まだヴィランがっ!?」
不意に視線を別のところに向けたカメハメを見て一気に緊張感が高まる二人だったが
「………、いや驚かせてすまない。勘違いだったようだ。
それよりも二人とも手伝ってくれ。」
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カメハメが視線を向けた先では
「はぁ………はあっ………。」シュコーシュコー
「や、ヤオモモ………。余り無理したらダメだよ。」
「そ、そうそう!私と耳郎ちゃんもいるんだし!」
「す、すまねぇ。男の俺が……もっと踏ん張らなきゃいけないのに……。」
八百万、葉隠、耳郎はガスマスクを着けて森に取り残されたB 組の救助を行っていた
森で倒れているB 組を見つけ次第八百万の個性でガスマスクを生成し煙の影響がないところまで引き上げてくる
しかし、女子3人ではこれはかなりの重労働であり特に個性の関係上一番消費が激しいのは八百万だった
今もB 組の男子
「ここら辺なら大丈夫かな?」
ようやく煙がない場所まで来た一行はマスクを外す
「ちょっと待ってね、今ウチの個性で周囲を探ってみるから」
耳郎は個性『イヤホン=ジャック』で地面にプラグを刺して索敵を行うが
ヴィイいいいいいいいッ
「な、なに!?この音っ!?気をつけて何か近くにいる!」
「「「っ!?」」」
ようやく一息つけるかも、という甘い思考は
「ねほひゃん。」
儚くも打ち砕かれる
ヴィイいいいいいいッ
現れたのはUSJ や保須市の戦いでも確認された怪人・脳無
しかしその手は増設・改良が加えられチェーンソーのように高速回転する刃やドリルのようなものが取り付けられていた
「ねほひゃんッ!!」バッ
「ッ!!逃げろみんな!!」
有無を言わさず切りかかってくる脳無に反応した泡瀬が力を振り絞り八百万達を逃がそうと押し飛ばす
が
ズバッ
「グハアッ!!」
その代償として泡瀬の背中が切られてしまう
「あ、泡瀬さん!!」
「だ、大丈夫だ!八百万!!そ、そこまで深く切られてない!」
「でもあんた!血がッ!!」
「お、俺のことはいいからお前ら三人だけでも逃げろ!」
背中から出血している泡瀬はうつ伏せに倒れながらも逃げろと促す
「そ、そんな!そんなこと出きるわけありませんわ!」
「この出血じゃどの道これ以上は足手まといに成るだけだ!だったらお前らだけでも逃げてくれ!」
「そんなッ!?」
泡瀬の言葉に葉隠と耳郎も悲痛な声をあげる
「………あんまり関わる時間なかったけど最期くらい男らしいことさせてくれ!頼む、早く「ネホヒャン!!」ッ!!」
言葉をかける泡瀬に振りかざされる凶刃
もはやこれまでと覚悟を決めた泡瀬だったが
「させません!」バッ
なんと八百万がその上に覆い被さってきたのだ
「な、何してんだ!早く逃げろ!」
「出来ません!ここまできて誰かを見捨てて逃げるなんて、ヒーローを目指す者としてそんな事出来ません!」
「ヤオモモッ!!」
「危ない!」
そんな事は関係ないと凶刃を振り落とそうとする脳無だったが
「ホエッホエッ、止めなされ。脳無ちゃんや。」
「…………ネホヒャン?」
自分に止めろと声をかける者に疑問を感じ脳無が振り向くとそこにいたのは
「あれは………?」
「おじいちゃん?」
「殺しを命令されたのは構わんが何もこんな別嬪さんを無残な姿に変えてしまうこともなかろうに。狙うなら他にしなさい。」
と森から出てきた老人が声をかけるが
「………ネホヒャン!!」バッ
聞く耳を持たぬとばかりに再度凶刃を振り上げるが
「まったく、色香の"い"の字もわからんもんを作りおってからに!てぇいっ!!」バッ
すると老人はその見かけとは裏腹に軽やかに脳無の背中に飛び付き
「ホエ~~ッ!!」
そのままチョークスリーパーで脳無を締め上げる
「ネボビ……ッ!?」
急に気管を締められた脳無は動揺したのか動きが止まる
「ホエッホエッホエッ……さて、お嬢様方。」
「な、なんでしょうか!?それよりも貴方は一体?」
「ワシはその昔『ジージョマン』として活躍したヒーローじゃ、今は訳あって敵連合に所属しておるが……。
お主らのようなナイスバディのかわいい娘達がピンチとあらばそんなものは関係ないわい。
それでじゃお嬢ちゃん、ワシと取り引きせんか?」ニマーッ
危険度MAXの取引……。