奮い立てテキサス・ブロンコ   作:遊人

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激突、神野の長い夜 の巻

 

 

オールマイトやエンデヴァーに見劣りしない巨躯

 

大気を震わす咆哮は本能的恐怖を呼び起こさせる

 

 

突如飛来したこの者はその存在感一つで周囲の空気を飲み込んだ

 

「せ、先手必縛!」

 

『ウルシ鎖牢!!』

 

得体の知れない相手だがマトモではないと一瞬の空白を経て思いたったシンリンカムイは個性を使い速やかに拘束するが

 

「…………?」グンッ

 

 

ブチブチブチ

 

 

「なっ、あんな容易く…………ッ!!」

 

「シンリンカムイ!もう一度だ、今度は俺が奴を気絶させる!」

 

 

『忍法 千枚通し!!』ヒュン

 

自身の個性を使い薄く細い槍の様になった身体で突撃するエッジショット

 

その速度は音速に達し並の相手では視認することなく意識を落とす

 

 

「…………。」シュルシュルシュル

 

「エッジショット!危ない!!」

 

 

塚内が叫ぶも遅かった

 

『ブラインドアリー・イヤー!!』パァン

 

隠していた巨大な両耳が展開されエッジシットの身体を挟み潰した

 

「カハッ………っ!?」

 

開かれた耳から現れたのは圧力によりズタボロの姿に変えられたエッジショット

 

「コノオオオォォォーーーーッ!!」バッ

 

それに激昂した一人のプロヒーローが突進するも

 

『ノーズフェンシング!!』ズオッ

 

「ぎゃああっ!?」

 

鋭く伸びた鼻に無残にも貫かれてしまった

 

 

「貴様ら全員下がれ!ここは俺一人で相手する!」ゴォォ

 

 

エンデヴァーが炎を放つが

 

「パオ~~~ンッ!!」

 

強力な鼻息と

 

『イヤー・ガスト!』バサッバサッ

 

巨大化した耳から産み出される風の壁に阻まれてしまう

 

 

ボオオオオッ    ボガンッ

 

 

(くっ、遠距離攻撃では埒があかん!ならば!!)ダッ

 

防がれた火炎が脳無との戦闘で破損したパトカーから漏れ出たガソリンに引火し要らぬ被害を生み出し始めておりそれに気付いたエンデヴァーは近接戦へ切り替えて距離を詰める

 

 

 

「うおおおっ!」

 

「……。」パシッ

 

エンデヴァーの拳を軽く受け止め

 

「くあぁ……つまらん。これじゃあこの"マンモスマン"のウォーミングアップにすらならないぞ。」

 

No.2ヒーローとして幾多の凶悪犯罪者を倒してきたエンデヴァーを相手にして欠伸をしながらウォーミングアップと言ってのける

 

 

周囲の警察やプロヒーロー達は開いた口が塞がらなかった

 

 

「なめるな!」

 

エンデヴァーはすぐにもう片方の手で殴りかかるが

 

「はぁ……。」パシッ

 

あっさりと受け止め

 

「もうお前の相手は飽きた。」グググク…

 

エンデヴァーを凌駕する膂力で持って

 

「フンッ!」ブンッ

 

エンデヴァーの身体を空中に放り投げると自身も後を追い空中でアルゼンチンバックブリーカーで捕らえると

 

「これで終わりだ!」

 

『マッキンリー雪崩落としーーーッ!!』ゴガンッ

 

 

そのまま身体を横向きにしてエンデヴァーを頭から地面に叩きつけた

 

「ゴブフォッ!?」

 

マンモスマンが技を解くとエンデヴァーはそのまま地面に力なく横たわったまま動けなくなってしまった

 

 

「エ、エンデヴァーが……。」

 

「そんな、こんなことがあっていいのかよ!?」

 

 

No.2ヒーローが殆ど相手に傷を負わす事ができず倒されるというショックに周囲の警察やプロヒーロー達は絶望する

 

 

「………ん?」ゴプォ

 

そんな周囲の事など歯牙にも掛けずマンモスマンは口から溢れ出た黒い液体に飲まれてその場身体を姿を消した

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「随分と遅かったじゃないか、オールマイト。脳無達を送り込んでからゆうに30秒は経過しているよ。あの程度の脳無に手間取る訳はないだろうし、どこで道草を食ってきたんだい?」バシッ

 

オールマイトの拳を振り払い軽口を叩くAFO

 

(あの、オールマイトの攻撃を軽くいなしやがった!?)

 

 

驚愕する爆豪をよそに

 

 

「貴様こそ、なんだその趣味の悪い工業地帯のようなマスクは!?だいぶ無理してるんじゃあないか!?」

 

オールマイトは気にすることなく構える

 

「前回のような過ちは犯さん。

 

爆豪少年を救出し、敵連合もろとも貴様を刑務所にぶちこむ!」ダッ

 

「それはやることが多くて大変だな。 

 

お互いに」グワッ

 

ズッ

 

突進したオールマイトの身体を不可視の衝撃が襲い幾つものビルをぶち破りながら吹き飛ばされる

 

 

 

「空気を押し出す、筋骨発条(バネ)化、瞬発力×4、膂力増強×3

 

この組み合わせは楽しいな、もっと増強系を足すか。」

 

 

No.1ヒーローとして君臨する男が意図も容易く視界から消し飛ばされるという異常事態に爆豪は言葉を発することすら忘れてただ呆然としていた

 

 

「先生ッ!!」

 

 

「弔、

 

ここは逃げろ。その子を連れて」

 

 

 

 次にオール・フォー・ワンは右手指から赤い爪のようなものを伸ばして気絶して倒れている黒霧の体に突き刺す。

 

 

 

「黒霧。皆を逃がすんだ」

 

「ちょ!あなた!彼、やられて気絶してんのよ!?よく分かんないけど、ワープを使えるならあんたが逃がしてちょうだいよ!」

 

「僕のはまだ出来たてでね。マグネ。転送距離は酷く短いうえに……彼の座標移動と違い、僕の元に持ってくるか、僕の元から送り出すしか出来ない。それに送り先は人。なじみ深い人物でないと機能しない」

 

 

 

 すると、黒霧の頭部と両手の靄が巨大化する。

 

 

 

「さぁ、行け」

 

「せ、先生は……!?」

 

 

 

 死柄木がオール・フォー・ワンに声を掛けた瞬間、遠くで何かが飛び上がる。

 

その影は瞬く間にオール・フォー・ワンのすぐ横に降り立つと

 

 

 

「逃がさん!」ゴゥッ

 

「常に考えろ。弔。君はまだまだ成長できるんだ」

 

 

 

影の正体であるオールマイトが死柄木に飛び掛かるがオール・フォー・ワンが割り込む。

 

 

 

「行こう死柄木!あのパイプ仮面がオールマイトを食い止めてくれている内に!」

 

 

 

 コンプレスが同じく倒れている荼毘に触れて圧縮する。

 

 そして爆豪に顔を向ける。

 

 

 

「駒持ってよ」

 

「めんっ……ドクセーッ!!」

 

 

 

爆豪が構えると同時にヴィラン達が一斉に襲いかかる

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「こ、このままじゃあかっちゃんが……。それにオールマイトもッ!!」

 

「あの野郎共ッ!!」

 

 

ガシッ

 

「緑谷くん、テリーくん……ッ!!」グウウウ

 

6人は到着時に見た凄惨な現場、倒壊したビルの壁に隠れている筈なのに感じるオール・フォー・ワンの放つ圧倒的な空気

 

更にはオールマイトの登場と終止呆気にとられていたが救出すべき爆豪の発見により正気を取り戻したが

 

「放せ!委員長!!」

 

「い、いいや離さない!!最初に言った筈だ!僕も"覚悟"を持って君達を止めると!」

 

 

いまだに拭えぬ恐怖を必死に抑えながらテリーと緑谷が戦場に馳せようとすることを引き止める飯田

 

 

八百万もその後ろでなんとか視線だけでも送り制止を促す

 

 

 

(こんなピンチなのに!すぐそこにかっちゃんがいるのに、僕らには戦闘することが、出来ない!)

 

悲観的になる心を必死に打ち砕きなんとか思考を張り巡らせようとする緑谷

 

しかし戦場は刻一刻と動き始めている

 

「もう一度っ!」

 

「そう何度も食らうかよ!」ボンッ

 

「おとなしくしやがれ!暴れろ!」

 

 

取り囲まれながらも天性の戦闘能力で掻い潜り打開策を模索する爆豪

 

しかし時季に行き詰まる可能性は大いに考えられる

 

(どうにか、でも時間が!)

 

「くっそぉ!」グググ

 

フラストレーションが限界に来ていたテリーが飯田の腕を無理矢理にでも引き剥がそうとした時

 

「ここは俺に任せてみんなは救出する方法を考えるんだ!」ブオッ

 

そう言い残し何者かが6人の横を駆け抜けて戦場へと躍り出た

 

「取ったぜ!」バッ

 

「ぐっ!?」

 

一瞬の隙を見計らいコンプレスが腕を伸ばす

 

その場のヴィラン達はようやく終わると思ったが

 

 

「チェアアアーーーーーーッ!!」ゲシッ

 

颯爽と現れた豪脚がその手を蹴り退ける

 

 

「ぐあっ!?」

 

「コンプレス!?くそ!!」

 

「ええいっ!!」

 

突如現れた新手に得物を構え突進するトガとトゥワイスだったが

 

猛虎拳嵐(もうこけんらん)!!』シュババババ

 

 

「アダダダダダダダっ!?」

 

「きゃああああああっ!?」

 

高速の連続チョップを叩き込まれ返り討ちに合う

 

「ちぃ、オールマイト以外のプロヒーローが来たか!?」

 

「じゃ、じゃか何者じゃこいつは?」

 

見ればその者は何一つ己を主張するようなコスチュームには身を包んでおらず上下共に赤い服にフードを被り顔すらもわからない

 

 

だが

 

(ありゃあ……尻尾か……?それにあの服の上からでもわかる筋肉の盛り上がり……こいつはただ者じゃねぇな)

 

コンプレスは蹴られた手を押さえながらも相手を見る

 

「てめぇは……!?」

 

助けられた形とは言え素性もわからない相手に警戒する爆豪だったが

 

「…………もうすぐ君の仲間が君の救出の為にアクションを起こす。君はそれに合わせて動くんだ。

 

それまではこの"救世主(メシア)"が貴様らの相手をしよう」ザッ

 

 

男は顔を明かさぬまま爆豪に言葉をかけるや構えを取り啖呵を切る

 

「メシアかメシヤか知らんが勝手な真似はさせんわい!」シャ

 

『サブマリンタックル!』

 

バリアフリーマンが低空タックルを放つも

 

「なんの!」グアッ

 

両足で飛び上がり背中から地面に倒れていくメシア

 

「ほえっ!?」スカッ

 

突然標的がなくなり驚くバリアフリーマンの頭上を

 

「はあっ」バインッ

 

強靭な尻尾で体を地面から押し返したメシアが飛び越え

 

飛翔龍尾脚(ひしょうりゅうびきゃく)!』

 

「グハッ!」

 

その飛び越えた後頭部に強力な両足蹴りを打ち込む

 

「この!!調子に乗るなよ!」グググ

 

スプリングマンが飛びかかろうと自身の体を縮めると

 

「させない!」シャアアア

 

尻尾の先に生えた毛が伸びてスプリングマンの胴体に巻き付いていく

 

「がっ!?体が伸びねぇ!?」

 

 

身体が収縮した状態で固定されてしまったスプリングマンを

 

「てりぁあ!!」ブンッ

 

尻尾を振り生み出した遠心力で振り回し連合のメンバーが固まっているところで投げ飛ばす

 

「わあああああっ!?」

 

「ぎゃあ!?」

 

「ぐえっ!」

 

 

 

(…………ッ!!)ギリッ

 

自分一人では手一杯だった相手をまとめてあしらう目の前の男に爆豪の自尊心は燃え上がったが

 

 

突如近くの壁の一部が吹き飛び、巨大な氷が出現する。

 

爆豪が驚いてそこに目を向けると

 

 

氷の上を高速で移動する影が

 

 

「来いッ!!」バッ

 

 

手を伸ばし爆豪に向けて叫ぶ

 

 

その正体が飯田に背負われた切島だとわかり、導き出される最善手を理解した爆豪は

 

 

「バカがよっ!」ガシッ

 

 

個性を使い飛び上がり切島の手を掴む

 

 

「よし!このまま離脱する、爆豪君俺の合図に合わせて爆風を……。」

 

「いきなりでしゃばってきて指図すんじゃねぇ!お前が合わせろや!」

 

 

「ちょおっ!?今言い争うなよ!」

 

戦場から遠ざかる卵達を追う余裕のある者は誰もおらず安全区域まで姿が遠退いていき

 

 

「……………。」シュオ

 

そこに全員の視線が向いた隙にフードの男も戦場から離脱していった

 

 

「まったくあの子たちは……だが!これで心置きなく戦える!」ズオッ

 

 

救出すべき爆豪と倒すべきAFOの板挟みにより集中力が分散していたオールマイトだったがこれにより遂に全身全霊を注げる状況になった

 

更に

 

「おい、俊典!お前の教え子達はなに考えてんだ!」

 

オールマイトの師匠であるグラントリノも到着

 

「やられたな、完全に形勢逆転だ。」

 

 

 

オール・フォー・ワンは爪を伸ばして、倒れているマグネに突き刺す。

 

『個性強制発動』

 

 

 するとトガに向かって倒れていたヴィラン連合のメンバーが次々と引っ張られていく。

 

 

 

「「!?」」

 

「イタタタ……って、え?やー!そんな急に来られてもぉ!ぐぇ!?」

 

どうにか立ち上がったトガの元に気絶した男達が押し寄せて激突しその勢いのままに霧の中へと吸い込まれていく

 

 

 

「ダメだ、先生!その身体じゃ・・・・・あんたは!」

 

 死柄木弔には幼いころに手を差し伸べてくれた時の記憶がフラッシュバックした。

 

「俺はまだ戦える!だから!!」

 

「俊典!」

 

「はい!」

 

黒霧の個性に飲まれまいと必死に踏ん張る死柄木目掛けてグラントリノとオールマイトが確保に動くが

 

「やらせはしないさ!」バッ

 

「AFOッ!!」

 

ガシイイィィィッ

 

AFO がオールマイトとロックアップを組む

 

 

 

「おおおっ!」

 

個性を使いそこを通過したグラントリノが一気に肉薄し死柄木村に蹴りを放つ

 

「くっ!」

 

そこにどうにか迎撃しようとする死柄木だったが

 

 

 

 

 

 

バシャ

 

 

 

 

 

 

 

「ヌオ!?」ガシッ

 

「パオ~~~ンッ!!」ブンッ

 

割って入る様に現れたマンモスマンにグラントリノの蹴りは捕まれ、そのままぶん投げられて倒壊したビルに激突した

 

 

ズズズズ……

 

呆ける死柄木を無視し黒霧の個性が更に強まり強引にゲートへと引きずり込もうとする

 

「っ!?先生!だめだ!?俺も一緒に!」

 

「弔、君は戦い続けろ。大丈夫だそこの彼も君の助けとなるはずだ。

 

ここは僕に任せて行きなさい弔。

 

……マンモスマン、頼んだよ。」

 

 

無駄だとわかりながらも声の限り叫ぶ死柄木と共にマンモスマンは黒霧の個性によって何処かへと転移していった

 

「さぁ、これで僕も心置きなく暴れられる!オールマイト、君にも教えてあげるよ!敗北の味って奴を!」ゴォォォ

 

「AFO !!貴様だけはここでケリをつける!!」ズォォォォ

 

 

 

 

 

 

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