「僕は君が憎くて憎くて仕方がない。本当は弔の為にも君の止めは取っておくべきなんだか……どうやらそこまでこの感情を我慢できそうにない。
まったく僕もまだまだ未熟だな。」グググ……
ロックアップの力比べでオールマイト相手に圧力を強めていくAFO
「ぐううぅぅぅ……っ!?」バッ
オールマイトは押し込まれると察するやすぐにロックアップを解き
「ぬおおおおおっ!」
幾多の凶悪犯罪者達を屠ってきた拳を繰り出そうとするも
『転送』+
オール・フォー・ワンは個性をマンモスマンによりビルの壁に打ち付けられていたグラントリノに発生させると自分の前に出し
「っ!?」
『衝撃反転ッ!!』
更にその衝撃をオールマイト自身に食らわせる
幸いオールマイトは自身の超反射神経で力を可能な限り落とした為、なんとかダメージ軽減できたがそれでも決して無視できない程にその右腕は痛々しい姿になっていた
「まったく相変わらず情緒のない下品な戦い方だ。その拳で僕の仲間を次々と潰し回り、いつしかお前は平和の象徴と謳われた。僕達の犠牲の上で成り立つその景色、さぞやいい眺めだろう。」ムククッ
先ほどオールマイトを吹き飛ばしたのと同じ個性を今度は超至近距離から発動させる
「DETROIT SMASH!!!」
オールマイトは痛めた腕で素早くグラントリノを救出し無事な拳で迎え撃ち強引に相殺する
……がその影響により衝撃波が生まれ、周りの建物に被害が出る。
「僕は好きに戦わせてもらうよ。ヒーローは多いよな、守るものが。」ニヤッ
マスクの下でほくそ笑むオール・フォー・ワン
「黙れ。」ガシッ
オールマイトはオール・フォー・ワンの片腕を右手で掴むと骨を握り折る。
「お前はそうやって人を誑かし、弄ぶ!奪い!壊し!付け入り支配する!」グワッ
(マズい、転送をッ!!)ゴポ…
離れようと転送を発動させようとするが
「日々暮らす方々を!
理不尽に嘲り笑う!
私はそれが!
許せない!!」
ドゴォッ!!
その前にオールマイトの痛々しい姿になった左拳がオール・フォー・ワンの顔に炸裂しオール・フォー・ワンのマスクが木っ端微塵に破壊される
シュウウウ…
その直後でオールマイトから聞こえる音に気付いたグラントリノの目に右半分がトゥルーフォームに変わっていくオールマイトの姿が映っていた
「俊典!」
(マズい・・・・・・・活動限界が・・・・・!)
オールマイト自身も察していた、自身に残された時間はもう多くないと
「嫌に感情的じゃないか、オールマイト。」
「っ!?」
そしてそれを見抜いたかのようにゆったりと言葉を紡ぐAFO
そして思い出したかのように口を開く。
「あぁ、同じようなセリフを前にも聞いたな。確か、ワン・フォー・オールの先代後継者である志村奈々から。」
「貴様の穢れた口で、お師匠の名を口にするな!」
オールマイトは怒りで体を震わせる。
「理想ばかり先行して実力が伴わない女だった。ワン・フォー・オールの生みの親として恥ずかしくなったよ。実にみっともない死にざまだった。どこから話そうか?」
「Enough!」
オールマイトは黙らせようと今一度左の拳叩き込もうをとするが
ドウッ!!
怒りに飲まれたオールマイの隙を突いてAFO は個性を発動させてオールマイトを上空へと弾き飛ばす。
同時刻 各局の報道ヘリコプターが付近に集結しており神野区での一部始終をカメラに収めようと奮闘していた
その内の一台が偶然ここを通っていた
そこへ突然オールマイトが吹き飛ばされて来たため慌ててカメラを向ける
(ッ!!)
「俊典!」
なんとかトゥルーフォームになっている右側が見られる前にグラントリノがオールマイトを地上に戻し事なきを得た
「師匠!」
「六年前と同じだ!落ち着け!!そうやって挑発に乗って、奴を捕り損ねた!腹に穴を空けられた!」
グラントリノはオールマイトを地面へ降ろす。
「ゴホッ!すみません………。」
「お前の悪いところだ。奴と言葉を交わすな!」
オール・フォー・ワンはゆったりと立ち上がり、自らのスーツに着いた汚れを払い落とす。
「前とは個性も、戦法も違う!前からは有効打にならん!虚をつくしかねぇ!まだ動けるな!?ここが正念場だぞ!!」
「………はい!」
グラントリノの言葉にオールマイトは歯を食い縛り全員に力を溜める。
「まったくしぶとい男だよ、いくら痛めつけようともなにかと下らない精神論に結びつけて自らを奮い立たせる。
もはや一種の変態だな。だったら二度と立ち上がれないよう徹頭徹尾無様に惨めに叩き潰してやらないとなぁ。」
AFO の左腕がさっきまで以上に膨らみ個性を発動させて二人に放とうとする。
「マズい!でかいのが来る!ここは避けて反撃を!」
グラントリノは個性を発動し射線から外れるも
「避けていいのかい?」
「っ!?」
「ううぅ……。」
オールマイトは後ろの瓦礫の中にいる人に気づき、その場に立ち止まった
「俊典!」
その直後、オール・フォー・ワンからの攻撃が放たれる。
オールマイトは先程と同じように左拳を突き出し攻撃を相殺させようとするが
「マズい!」
グラントリノが叫ぶと同時に先程よりも強力な衝撃波が発生し周囲に拡散されていく
やがて景色がはっきりとしてきたところを上空のカメラマンは必死にカメラを向ける。
オールマイトの周囲の地面は自身の後ろを残して大きく抉られていた。
だがそれ以上に衝撃的な映像がテレビを見るすべての人間の前に現れた。
平和の象徴と讃えられ、頼りになるムキムキボディのオールマイトが……
「まずはケガをおして通し続けてきたその矜持、みじめな姿を世間に曝せ
平和の象徴。」
ガリガリにやせ細り骨と皮だけのような骸骨のような姿になり全身から血を流した状態で拳を突き出したまま立っていた
「ご、ご覧ください……!オ、オールマイトの体が、えっと、体がしぼんでしまっています……。」
アナウンサーが改めて言葉にするが誰もがその現実を受け止めるのに時間がかかっていた
誰もが疑わない平和の象徴
現在の日本において欠かせない平和の支柱が
こんなにも弱々しい姿で自分達の目に映し出されていることに
「頬はこけ、目は窪み!!貧相なトップヒーローだ。だが恥じるなよ?それが本当のキミなんだろう?」
「………ああ、確かにそれは事実だ。この状態では否定の仕様もない。
だがっ!!
私の心は、依然として平和の象徴!
どれだけ体が朽ちたとしても一欠片とて奪われはしない!!」
全身に傷を負い、自身の隠し通そうとした姿が晒されても尚、その目に宿る光は煌々と燃えていた
「素晴らしい!まいった。強情で聞かん坊なことを忘れていたよ。
………なら、
「…………?」
「あのね、死柄木弔は志村奈菜の孫だよ。」
淀みなく発せられたその言葉にオールマイトは先ほどまでの戦闘で乱れた息がいや世界の時間が止まるような錯覚に陥る
「君が嫌がることをずぅっと考えていた」
表情こそわからないがその声色から楽しそうな様子が伝わってくる
「君と弔が会う機会をつくった。君は弔を下したね。何も知らず、勝ち誇った笑顔で」
自身がかつて打ち倒す前のあの趣味の悪い笑顔が思い出させれる
「ウソを・・・」
「事実さ、僕のやりそうなことだ。」
オールマイトにはその一言で十分だった
「そうだろ?君はそういう僕を倒したんじゃないか」
過去に一度、命の取り合いを経ている者だからこそ多くを語らずとも互いの事がよくわかる
「あれ?おかしいな、オールマイト」
ぐいっと、オール・フォー・ワンが自らの頬に手を当て、持ち上げる仕草をした。
「笑顔はどうした?」
それはオールマイトの師である志村奈菜が愛用していた仕草
頬に指を当て笑う、在りし日に自分に言葉をかけてくれた人生の恩師の姿がフラッシュバックする
「き、さ、まっ・・・・!!」
「ははっ、やはり楽しいな・・・!良い顔だ。一欠片でも奪えただろうか。君から」
ようやく沸々と沸き上がる怒り、それも後悔や自責の念よるものがオールマイト自身の体を一気に塗り潰していく
ボロボロで極限状態の体を支えていたヒーローとしての精神すら、今まさに決壊の時を迎えようとしていた
その時
「負けないで………。」
「………ッ!!」
「オールマイト………お願い、
AFO が放った衝撃波から身を挺して守った女性が今にも消えそうな程、か細い声で…だが確かにオールマイトに助けを求めた
「ああ、もちろんさ。お嬢さん!」
いまだに瓦礫の隙間にかろうじて挟まっている女性に笑みを見せる余裕すらないオールマイトだが、その声に宿る力は正にマッスルフォームの時と遜色ないものだった
シュバッ
「グオオオッ!行けるか!?」
「大丈夫ッ!!さぁ掴まって!」
更に女性の元に救援に駆けつけた者が現れカメラがそれを映すと
「あ、あれは……この間の保須市で"
「き、君たち……なぜ……!?」
その正体は緑谷出久と翔野テリー
爆豪救出に成功し他の皆がこの場を去るなか殿を務めると二人は少し離れた所で残ったのだ
「僕たちは戦闘は出来ません!だけど貴方の教え子として、貴方の背負うものを少しでも支えることならできます!」
「おやおや、涙ぐまし話だね。オールマイト、君が先生として未熟なばかりにこんな勝手を押して無茶をする子どもが現れてきてしまったよ。」
「シャラップ!
おい、そこの薄気味悪いのっぺらぼう!俺たちを未熟な学生と侮るなよ!俺たちが今できる精一杯をお前に見せてやる!」ビシッ
「………へぇ、それは楽しみだね。一体何が見れると言うんだい!?」
余裕たっぷりに立つAFOに対し二人は拳を上に突き
「「オールマイト!オールマイト!オールマイト!」」
声を張り上げてオールマイトの名を叫ぶ
「………………?」
その行為にまるで意味がわからないと拍子抜けしているAFO
だが
(オールマイト!貴方はどんな姿になったとしてもアメリカまで名前が届くほどの、日本が誇るNo.1ヒーローだ!
どんな強敵もその拳一つで乗り越えてきた!
その姿にポニーも、そして俺も憧れて海を越えてきたんだ!
だから……!)
(オールマイト、あの日貴方に出会う前から貴方はみんなの心にいるんです!
僕も、かっちゃんもどんな困難も最後は乗り越えてテレビの先にいる僕たちに笑顔を見せてくれる
そんな貴方が目標なんです!
だから………!)
『『オールマイト!オールマイト!オールマイト!』』
そんな二人の大声をカメラのマイクは拾い映像と共にメディアにも流れていた
「………そうだよ、オールマイト。」
「あんたが勝てなきゃ、誰があんな化け物倒すんだよ!」
「いつもなんとかしてきたじゃないか!」
「姿が変わってもオールマイトはオールマイトなんでしょ!」
「頑張れー!オールマイトーーー!」
二人の熱は伝播して日本中の人間が心の底から画面に映るオールマイトを応援する
「「「「オールマイト!オールマイト!オールマイト!オールマイト!」」」」
もちろんオールマイトにはその声は届いていないだが二人の必死に応援する二人の後ろに何千何万という人が拳を上げ喉が枯れる程に声を震わせて自分の名前呼ぶ姿が浮かんでくる
(八木俊典?)
(面白い奴だよ。
いわく、犯罪が減らないのは国民に心の拠り所ないからだと
この国には今"柱"がないんだって、だから自分がその柱になるんだって)
戦闘に参加し負傷していたグラントリノは若き日に志村奈菜と交わした会話を思い出す
(俊典………聞こえているはずだ。日本中のお前の勝利を願っているこの声が………。
今一度、限界を越えるんだ俊典ッ!)
「ああ、多いよ。ヒーローは守るモノが多いんだよ……
だからッ!!」バチバチバチッ
オールマイトの右腕に閃光が迸り
「負けないんだよ!」ズムッ
パンプアップされた豪腕へと再び姿を変えた
「煩わしいッ!!」ズオッ
その幻影をかき消すように周囲に衝撃波を飛ばすAFO
「精神の話はよして、現実の話をしよう」ザッ
苛立ちを含み静かに声を上げ距離を一歩詰める
「『筋骨発条化』『瞬発力』×4『膂力増強』×3『増殖』『肥大化』『鋲』『エアウォーク』『槍骨』今までのような衝撃波では体力を削るだけで確実性がない」
ゴキゴキ!と音を立てて、右腕が膨れ上がって変形していく。
「本当は手負いのヒーローが一番恐ろしいと言う事を他ならぬ僕自身が身を持って知っているからね。
用心に用心を重ねて2、3発は打ち合えるようにしといた方がいいんだけど、
気が変わったよ!いつまでもそんなチープな茶番劇に付き合わされてちゃたまらないからね!
確実に殺すために。今の僕が組み合わせられる最高・最適の『個性』達で……君を殴る!!」
巨大な上に所々棘や岩のようなものが生えている異形な腕
その放つオーラと声色からも先ほどの様人を小馬鹿にし見下した態度は消え失せ濃厚な殺気がありありと見受けられる
「大変名残惜しいがこれで終わりにしよう、さようなら。
"
「ヌンッ!!」
一気に肉薄し放たれた拳に合わせオールマイトも自身の渾身の右ストレートを叩きつけた。
が……
「衝撃反転」
ボソリと声が聞こえた瞬間腕に衝撃が走る。
抜かりなく個性を使用して確実にオールマイトを亡き者にしようと毒牙を向けるAFOに対し
「ヌウウウウウウウウウッ!!」ブシュゥ
骨が折れるような音が鳴り腕がグシャグシャに歪みながらも力を込めなんとか迎撃するオールマイト
ガガガガガガガッ
だが踏ん張ろうとするオールマイトの体はAFO の圧力に負け地面を抉りながら滑るように後退していく
「まったく哀れな男だ。先ほどの手合わせでもう僕は気付いているよ。君の中には既にOFA はない、今君が使っているその力は譲渡した後の残りカス。吹かずとも消え行くその火をなぜこんな無駄なことに使う?」
「グウウウゥゥゥ………ッ!!」
AFO の問いかけにもオールマイトは呻くような声を絞り出すしかできない
「緑谷出久、譲渡先は彼だろう?
可哀想に資格もなしに戦いの場に引き入れて、まるで制御できていないじゃないか。おまけに戦いに関しても翔野テリーが居なければ児戯同然じゃないか。
勝利を確信し饒舌になりそれに比例するように圧力を強めていくAFO
だが
「……ふっ、まるでわかっていないな、AFO ッ!!」ニヤッ
「何が可笑しい!?この状況に気でも狂ったかい!!」
「違うさ!!私は何もおかしくなってやしない!」グググ
オールマイトの後退するスピードが徐々に緩まっていく
「私は
オールマイトの目がしっかりとAFO を捉えた
「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」グググ……
「ヌウウッ!?」
滑っていた足が止まる
「それに
すかさず押し込まれた腕のワン・フォー・オールを解除する
バキボキッ
当然圧力に耐えきれずに右腕が悲鳴をあげるが無視して巨腕をかわしながらがら空きの懐へ踏み込む。
『正面からはまず有効打にならん!虚をつくしかねぇ』
バズンッ
グラントリノの言葉に従い、死角から左フックを叩きつける。
だが……
「らしくない、小細工だ。誰の影響かな、浅い!それにその"力"とやらは一体なんだい?オールマイト!」グググ
AFO は顔をへこませながらも攻撃しようと左腕に力を溜める
左腕も同様に凶悪化させオールマイトへ打ち込もうとした時
「!」
AFO はオールマイトの右腕に気付く
「そりゃあ!!腰が入ってなかったからなああ!!!」
オールマイトは血を吐きながらも歯を食い縛り全身を捻じって右腕を振る。
「オオオオオオオオオ!!!!!」
そしてオールマイトの拳が、オール・フォー・ワンの顔に突き刺さる。
「そしてAFO !その"力"の正体はこれからゆっくり考えるといい!たぶん答えにたどり着く事は無いと思うがなぁ!」
『UNITED STATE OF SMASHッ!!』
腕を振り抜いて、地面にクレーターが出来る程の威力でオール・フォー・ワンを地面に叩きつける。
「カブファアッ……!?」グブシャァ……
オールマイトの下で仰向けに倒れたAFO はピクリとも動かなくなり
「………………。」ズオッ
立っていたオールマイトの全身は再びマッスルフォームになり血まみれの拳を天に向けて掲げた
それは人々に勝利を知らせるポーズであり
(さらばだ……OFA………。)
一人の英雄の最期の雄姿でもあった