10分後
ヒーロー側の二人はテリーが立てこもるビルの前に立つ二人
「急遽組む事になったけどよろしくな!
おれ、切島 鋭児郞。早速作戦なんだが・・・。」
「作戦なんざ必要あるか!
俺が突っ込んであいつぶっ倒してそれで終いだ!」
そう言ってまともに取り合わずズンズンと歩を進める爆豪
「あっ、おい。待ってくれよ。」
その後を仕方なしについて行く切島
ピタッ
「・・・チッ!」
ビルの出入り口に近付くと爆豪が立ち止まり舌打ちをした
二人の視線の先に本来あるはずの出入り口にはバリケードが張られていた
「あっ、あれ!」
「ッ!?」
二階の窓から姿を見せたテリー
ビュン
「ウワッ!?」
「くそ!」
おもむろに二人に向けて何かを投げつけてくるテリー
ボゴッ
手頃なサイズの瓦礫だったようだがテリーの腕力にかかればそれは十分な速度と威力になる
二人は追撃に備え素早く立ち上がりテリーを見るも
「なッ!?」
「・・・・・・・・。」ニヤッ
チョイチョイ
人差し指を曲げる動作を繰り返していた
完全な挑発
こちらの反応を楽しんだのか満足げに部屋の中へ引っ込んでいった
ブチッ
「あ・の・野・郎~ッ!!」
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「ヒイイイイイイ!」
モニター室に映し出された爆豪の顔にクラスで一番小柄な峰田が悲鳴をあげる
他の者もあまりの迫力に息を飲んでしまった
「爆豪ちゃん、この顔じゃどっちがヴィラン役かわからないわね。」
「し、しかしテリーくんはどういうつもりなのだろうか。あれでは爆豪くんは激昂してしまうことなどわかっているだろうに。」
「ああ、更に言えば核の置き場もかなり危うい、意表を突いたつもりかもしれないが諸刃の剣になりかねんぞ。」
蛙吹、飯田の会話に常闇も加わる
(・・・・・・。)
障子もまた一人で静かに見守っていた
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テリーに挑発され完全に頭に来ていた爆豪
「上等だ!今すぐ乗り込んでやるから首を洗って待ってやがれ!!」
「お、おい!一人で行く気かよ!罠とかあったら・・・。」
切島が制そうとするも
「だったら罠ごとぶっ殺してやるよ!
てめぇは後から入って来やがれ、その間に俺があいつを伸して終いだ!!」
そう言い切ると爆豪は自らの個性を使い二階に単身で乗り込んでいった
「あっおい!
・・・チクショウ、マジかよ!」
呼び止めようとした甲斐もなく、仕方なく出入り口のバリケードの除去に取りかかるはめになった切島だった。
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「よぉ、てめぇ!
さんざん人をおちょくりやがって!
覚悟は出来てんだろうな、金髪野郎!!」
BOM!! BOM!!
「四の五の言わずにかかってきな、ボンバーマン!」
ザッ
カウボーイハットとベストを脱ぎ捨て入学初日と同じようにファイティングポーズを取るテリー
「死ねや!」
爆豪が声をあげ飛びかかるが
「フッ!」
BOOM!
素早くステップを切り回避するテリー
その後も爆豪が連続攻撃を仕掛けるも悉く避けていくテリー
「どうした、どうした!
避けてばっかか?
チキン野郎がぁ!」
しかし
「そこだッ!」
ガッ
「ぐはっ!?」
爆破を叩き込むもうと腕が伸びた瞬間
逆に懐に入り込みタックルをお見舞いしテイクダウンを奪うテリー
そこから素早く立ち上がり爆豪の右足を持ち
「ここからはテキサスの風が吹く時間だ!
くらえ!!」
『スピニング・トゥ・ホールドーーーーー!!』
ガッシイイイイイン!
自らの足に巻き付かせるように捻りあげた
「ぐぅああああっ!?」
ギリギリ ギリギリ
「まだまだいくぜぇ!!」
グワッ ガシッ
グワッ ガシッ
激痛のあまり悲鳴をあげる爆豪に追撃とばかりに回転を加え捻りを強くしていくテリー
一回転、二回転・・・
「なめんなぁ!」
BOOM!!
三回転目の途中で爆豪が引き剥がす
「ヌワ!くそ、極めきれなかったか!」
「甘ぇんだよ!金髪野郎!!」
しかし技をかけられた足のダメージによりなかなか立ち上がれない爆豪
好機と構えるテリーだったが
「くそが!足が少し動かなくても俺の個性ならカバー出来る!」
『爆速ターボ!!』
個性の力で足を着かずに浮きながら戦闘を再開する爆豪
「まだ終わらねぇ!」
BOM!!
「ハッ!」
スライディングで回避と同時に右足を取り足首に腕を絡めてアンクルホールドを極める
「グギャアアアアアア!」
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「ふぅ~っ、ようやく中に入れたぞ。」
バリケードを突破してようやく一階に入れた切島だが息つく暇もなく
「グギャアアアアアア!」
上の階から絶叫が飛び込んで来る
「なっ、大丈夫か!?
今行くぞ!!」
急いで階段をかけ上がると
そこには両手と片足だけで這いつくばって右足首を捻りあげられている爆豪がいた
「おっと、動くなよ!
少しでも不審な動きをしたらこのまま足首潰すぞ!」
ギリリッ
「があああ!」
テリーが腕に力を込めるとそれに合わせて爆豪から苦悶の声が絞り出される
「なっ、卑怯だぞ!」
「おいおい、今の俺はヴィランだぜ。
それに2対1なんだからこれくらいしたっていいだろ?」
「おい、くそ髪!
早く核爆弾取ってこい!」
額に脂汗をかき苦痛に顔を歪めながら爆豪は切島に怒鳴った
「な、なにいってんだよ!?
そしたらお前が!」
「フンッ!」
ググググッ
更に強烈に絞り上げる
「いぎぎぎ、こんくらい・・・こんくらい屁でもねぇわ!」BOM!!
「なにっ!?」
爆豪が両手から爆破を放ち生まれた上半身と地面の隙間に腹筋を一気に丸めて体を折り畳む
「ッ!!」
「食らいやがれ!」
BOOM!!
テリーと目があった瞬間手を突きだし爆破を見舞う
「グハッ」
たまらず両手を話して距離を取るテリー
「はあはあ、わかったろ!
だから早く核取ってこいって!」
「けど、バクゴー・・・。
お前その足じゃあ・・・!」
集中的に攻められた右足のダメージは深刻でありこの戦闘中にベストコンディションに戻すのは不可能に見えた
「俺の個性ならカンケェねぇ!
俺があいつを抑え込んどくから早く「誰を抑え込むってぇ!」チィ!!」
爆豪が目を切った隙にテリーが距離を詰める
ガシッ
そのままロックアップの体勢になる
ググググ
「くっっっそがぁ!
今のうちに行きやがれ!」
「くっ、すまんバクゴー!」ダッ
切島は背を向けて駆け足で階段を昇っていった
「切島残して二人で戦えば楽だったんじゃねぇか?」
「なめんじゃねえ!こんくらい、俺一人で押し返してやる!」
ググググ・・・。
強気な発言も虚しく純粋な力比べではやはり体格で勝るテリーに押し込まれて跪く姿勢になってしまった。
「くっっっそがぁああ!」
「ヘイヘイ!どうしたボンバーマン!」
BOM!
「はあっ、はあっ・・・。」
堪らずに力勝負を諦め至近距離から爆破を放つ爆豪
しかしそれは力比べにおいて自分が敗けた事を肯定してしまったようなものだった
「まだまだ、こんなもんじゃ俺は怯まないぜ。」
爆破を受けロックアップを解いたものの地に倒れることなく爆豪に挑発的な笑みを向けるテリー
「・・・うがああああああああ!」
これまでNo.1を勝ち取り続けてきた自身の力を全て受け止められている
その事実を認めきれずに堪らず無策で突っ込む爆豪
「甘い!!」
爆豪の体を受け止め股の下に腕を回し担ぎ上げそのまま前方へ体を浴びせるように叩きつける
『オクラホマ・スタンピート!!』
ドシンッ
「ガハッ・・・。」
背中に強烈な衝撃を受け前はテリーの体で抑えこまれる
爆豪は肺の空気が全部押し出された様な錯覚に陥ったあと、痛みから逃れる様に意識を手放した
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爆豪とテリーの戦闘の結果など知るよしもない切島は
「はあっはあっ、ようやく四階だ!」
爆豪を信じて進んだものの四階に向かう階段はまたしてもバリケードにより封鎖されていた
爆豪の思いを無駄にしまいと急ぐ心と罠を警戒する葛藤に焦れながらもようやく通路を確保した切島
しかし
「あ、あれ?核がどこにもねぇぞ!?」
「探し物はあったかな?」
ギョッとして切島が振り返るとそこにいたのはテリーだった
「なっ、バクゴーがやられたのかっ!?」
「ああ、今頃下でおねんねしてるよ!」
ザッ
ビキビキビキ
テリーのファイティングポーズに覚悟を決めた切島も自身の〈硬化〉の個性を使う
「先手必勝!!」
切島が拳を振るう
「こっちはもうウォーミングアップは済んでんだ!
ハナから全力で行くぜ!」
テリーが素早く避けると切島の視界に入ってきたのは先程自分が昇ってきた階段
「うおおッ!?」
勢い余って転げ落ちそうになるもギリギリで踏みとどまった切島だったが
ゴチッ
「あだッ!」
後頭部へ衝撃を加えられ堪らず前に落ちていく
「お前が相手でよかったぜ!
これなら多少無茶でも耐えてくれるからな!」
切島の後頭部へ膝を叩き込み押し当てたまま髪を掴む
切島が慣性に従い階段を何段も飛ばして踊り場へ突っ込む
『
ゴギャン!!
「カハッ・・・!」
切島が意識を失うと共にテリーの勝利がオールマイトより高らかに告げられた
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その一部始終を見ていたモニター室では
「す、すげぇ!」
「2対1で勝っちまいやがった!」
不利な状況下で勝利を掴みとったテリーに驚愕の声が挙がるなか
「なるほどな、どうやら俺らは既にあいつに一歩先に進まれた様だな。」
一人静かに観戦していた障子がポツリと呟いた
「どう言うことだ?」
その言葉を聞いた常闇がその真意を問う
「全て計算されていた事だったんだよ。
あの爆豪に対する挑発も、
そして恐らくテリーは今、このクラスのなかで一番のアドバンテージを得ている。」
「「「「「「はっ!?」」」」」」
障子から放たれた言葉に一同は耳を疑った
「テリーの個性は決して特出すべきなにかがあるわけではない恐らくシンプルな増強的なものだろう。
だからこそ一人で挑むのは本来不利であると考えるはずだ、事実俺もそう思っていた。
しかし・・・。」
「順番か。」
いきなりそこに口を挟んできたのは我関せずと静かに振る舞っていた轟だった
「ああ、そうだ。
あいつはオールマイト先生に自分の順番が最後と告げられるや俺らの観察を始めたんだろうな。
俺らの個性、性格、連携、思考の癖・・・。」
「なるほど、だからあの隠し場所も計算のうちだと。」
常闇も納得そうに同調する。
「ああ、爆豪の我の強さ、切島の優しさ・・・。
そしてそれを遂行するに足る純粋な戦闘能力。
まったく大した奴だ。
恐らくオールマイト先生もそういった事を教えるために順番を最後にしたんだろうな。」
「そしてテリーちゃんはそれを見抜いたと。」
(し、しかしそんなたった一回見ただけであそこまで計画を立てるまで観察するとは
いや仮に出来たとしても実践するなんてなんて度量だ・・・。)
飯田も驚愕のあまりの背中に冷たいものを感じた
(なんて、なんて冷静で的確な判断力ですの・・・!
さすがは最高峰、既に私たちの今の思考は読み取られてると見ていいですわね。更に研鑽を積み磨き上げねば百戦百敗は免れませんわ!)
推薦で入学した八百万もまたテリーという男の登場に心に火が灯り決意を新たにしていた
そして
(えっそうだったの!?)
単純に最後を命じただけだったオールマイトは障子の考察に驚いていた
頑張れ新米教師。
有識者によると
スピニング・トゥ・ホールド
か
スピニング・トー・ホールド
に別れるそうなのですが読みやすい方に脳内変換してお読みください
ちなみに作者の隙なプロレスの間接技は鎌固めとサソリ固めです