マネージャーの掛け持ちは大変です!   作:しゅ〜

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お久しぶりです、しゅ〜です
ガルパでりんりんイベで出た☆3花音のイラストに書いてある背伸びしている千聖さんが可愛すぎて悶えましたね。
多分俺だけじゃないでしょう笑

それでは3話スタートです


過去

「それじゃあ!かんぱーい!」

「「「かんぱーい!」」」

 

夜のファミレス内に元気の良い女性の声で乾杯の音頭が、それに続いて4人と女性と2人の男性の声が響く。そのテーブルには

Pastel*Palettesの面々とマネージャーの悠司、機材担当の俊一郎の計7名の姿があった。

 

「練習終わりというのに元気ですね、彩さんは」

「今日はこれが楽しみだったからね!練習も張り切っちゃった〜!」

「あぁ〜!だから彩ちゃんいつもよりるんっ♪てしてたんだ!でもその分いつもよりミス多かったよね〜!」

「ひ、日菜ちゃん!それは言わないでよ〜!」

 

彩と日菜のコントが始まり、みんなが笑いや苦笑いを浮かべていた。千聖なんかは「彩ちゃん…」と落胆した声を上げていた。

 

「でも彩さん、最近のMCは噛むこと少なくなりましたよね。それはいつもの練習の成果じゃないっすか?」

「ま、麻弥ちゃん〜!ありがと〜!」

 

麻弥に褒められ今度は嬉しそうにパッと明るくなる彩。「コロコロ変わって犬みたいだな」と前に俊一郎に言われたことがある。

 

「そういえば全然関係無い話なんだけどさ…」

 

彩が普通の表情で切り出す。

 

「悠司君と俊一郎君って、お仕事休みの日とか何してるの?2人とプライベートな話ってあんまりしないからわからなくって…」

 

休日、という単語に悠司と俊一郎は深く考えるが、2人とも同じ結論に至った。

 

「俺はそうだな…事務所で機材弄ってるか新しい機材パーツ買い足しとかかな」

「んー…大体千聖さんのスケジュール管理や他事務所との打ち合わせ行ったりですね」

 

俊一郎と悠司が答えるがパスパレメンバーは全員「休みの日まで…?」とでも言いたそうな顔をしていた。

 

「そう考えると2人ってほとんど休みが無いわよね。私たちにあってマネージャーに無いってどうなのかしら?」

「まぁ俺は好きでやってる事だし別にいいんだよな。ただ悠司、お前はもっと休めよ」

「休んでる暇なんかありませんよ、今が踏ん張り時ですから」

「ははっ、果ての見えない踏ん張り時、だな」

 

千聖さんの仕事が安定するまでの辛抱です、と付け足す悠司に日菜がド直球な質問を叩きつける。

 

「ねー、悠司君。悠司君って千聖ちゃんと付き合ってたりしないのー?」

 

あまりに不意を突かれた質問だったのか、聞いた途端に悠司が咳き込む。その姿を見て俊一郎はケラケラ笑っていた。

 

「付き合ってませんよ、あくまでマネージャーです」

「えぇ〜?ほんと〜?」

「何でそこ疑うんですか…。仮に付き合ってたとしたら問題になるでしょう?」

「まぁそうなんだけどね〜。2人を見てるとるんっ♪てするんだ〜!」

「日菜ちゃん、それ昨日も言っていたわね…」

 

日菜は「お似合いだと思うけどなー」と言いながら思い立ったかのように席を立ち、コップを持ってドリンクバーの方へ走っていった。

 

「日菜ちゃんは自由だね…。そういえば2人には言ってなかったけど今日は2人の事色々教えて貰うために集まったんだよ!」

「へぇ、その心は?」

「えっとね、いつもマネージャーとして支えてくれる悠司君と楽器の手入れしてくれてる俊一郎君。2人にはパスパレを支えてもらってるのにプライベートとか謎のままだったから…それを知ろうと思って!」

 

そんな事聞いてないぞ、と悠司は心中で思いながら千聖を見るも千聖は言ってなかったわねとでも言いたげに口角を上げていた。

 

「いいんじゃない?…って言ってもさっきも言ったけど休みの日も特にやる事変わんねーぞ?」

「だから、昔の事聞こうと思って!俊一郎君なら麻弥ちゃんと知り合ったきっかけとか、悠司君なら千聖ちゃんのマネージャーになった時の話とか…」

「俺と麻弥の話は特にエピソードなんてないぜ?な、麻弥」

「そうですね、家が近所で昔から遊んでたので幼馴染になったっていうか…」

「じゃ、じゃあ悠司君は…?」

「自分も特には…」

「あら?悠司と私の間には色々あったじゃない?」

 

話題から避けようとした悠司を逃がさんとする千聖。顔は笑っていながらも悠司には悪魔の笑みに見えていた。

 

「へー!何があったの??」

 

いつの間にかドリンクバーから戻ってきた日菜に急かされ千聖が口を開く。

 

「ち、千聖さん?何を話す気ですか…?」

「別になんでもいいじゃない♪」

 

変なこと言わないよな…という悠司の焦りの目を尻目に千聖は続ける。

 

「これは…丁度高校に入学した時の話…かしら」

 

 

■ ■ ■

 

 

 

「ねぇ悠司」

「ん、どうした?」

 

2人きりの車の中、千聖は悠司に悩みを打ち明けた。

 

「最近、学校の帰り道に跡をつけられている気がするの」

「…ストーカーってやつか。いつからだ?」

「入学式の日からだから1週間程前ね」

「何でもっと早く言わないんだよ、目付けられてるだろ」

 

千聖は学校の登下校だけ自分の足で行っていた。そこに悠司は付かず友達何かと登下校する、と言うの千聖からの要望でそれを受け入れたのは悠司だった。

 

「じゃあ登下校は少しの間車にするか?」

「いえ、大丈夫よ。仮に何かあっても飛んできてくれるでしょう?」

「当たり前だ。あ、そうだ…これ、持ってろ」

 

そう言うと悠司はポケットからピンバッジのようなものを取り出して千聖に渡す。

 

「これは?」

「小型の発信機だ、俊一郎に作って貰った。真ん中の小さいボタンを押すと俺の携帯に連絡が来る仕組みになってる。何かあったら迷わず押してくれ」

「そう、ありがとう」

 

千聖は発信機を制服の襟元に付ける。

 

「中々センスいいわね、流石俊一郎ね。悠司よりも私の好みが分かってるわね」

「俺だってわかってるよ、てかそれは俺のチョイスだ」

「…そ、そう。ありがとう…」

 

悠司には見えないように顔を赤らめる千聖。それを見ていない悠司はすぐに続ける。

 

「ほんと、何かあってからじゃ遅いからな」

「わかってるわ。私が悠司に遠慮でもすると思ってる?」

「ははっ、確かにそうだな」

 

そんなやり取りをしながら車を走らせる。今日は何事も無く仕事をこなして1日を終えた。

 

 

ある日の学校帰り、千聖は自宅に向かって下校していた。普段は友人である松原 花音(まつばら かのん)と一緒に帰っているのだが今日花音は用事があるらしく千聖1人での帰り道だった。

そしてこの日も、千聖は後ろからあとを付けられているのに気づいていた。「今まで何もしてこなかったから大丈夫だろう」という少しの余裕が心の中にあり発信機には手を付けなかった。だがこの日だけはその余裕が不幸を呼んだ。

 

「きゃっ……むぐっ……」

 

背後から急に手で口を塞がれたのだ。何が起きたのか解らず千聖はただ焦ることしかできなかった。

 

「まさかあの白鷺千聖ちゃんがうちの学校だったなんて…ふふふ」

 

相手の声が自分の耳元で聞こえる。その声に恐怖を感じいよいよ千聖は動けなくなってしまった。

そのまま路地裏に引っ張られ抵抗も出来ずドンッと押され、尻もちをつく。そこで初めて千聖は相手を見た。少し小太りで血走った目、服は花咲川の男子用制服の男が座り込んだ千聖の目の前に立ちはだかっている。

 

「いや…やめて…」

 

いつものような毒舌なんて出る訳もなく小さな声しか出すことが出来ない。だがこのままだと危ないという思考も残っていて、震える手で襟元の発信機に手をかける。押す直前、千聖は考えてしまう

 

「(押したらすぐに来てくれるの…?もし間に合わなかったら…私…)」

 

そんな不安が込み上げてくるが相手に気づかれず発信機のボタンは押すことが出来た。悠司がすぐに来てくれる、ぎゅっと目を瞑りながら何度も自分に言い聞かせた。

だが相手も待ってはくれない。1歩ずつゆっくり近づいてきて無抵抗な千聖に馬乗り状態になり両手を片手で掴む。

薄目を開くとすぐそこには男の顔がじっと千聖を見つめていた。

 

「ふふふ、ち、千聖ちゃん…僕、ずっとファンで…」

 

相手の言葉一言も恐怖に変えられ脳内に響く。そして男は空いているもう片方の手で千聖の制服のボタンに手を掛けた。ボタンが外され、ワイシャツが露わになる。

 

「(もう…ダメ…)」

 

千聖が諦めかけたその時、何とか空いていた薄目で見えたのは人影だった。人影は蹴りで思いっきり男を横に吹っ飛ばす。

 

「大丈夫ですか!千聖さん!!」

「千聖!!」

 

現れた人影の正体は悠司と俊一郎だったのだ。悠司はすぐ様千聖に駆け寄り、俊一郎は男を確保。あまりに不意打ち過ぎたのか男は嘔吐いていた。

 

「大丈夫ですか、千聖さん。」

「ゆ、悠司……?」

「はい、私です、もう大丈夫ですよ」

 

悠司の言葉に安心したのか千聖は自然と涙を流していた。

 

「怖かったわ……とっても…」

「遅れてすみませんでした、俊一郎に連絡していたら遅れてしまって…」

「ほんとよ…ばかっ……」

 

余程怖かったのか千聖は悠司に抱きついた。いつもなら驚く悠司だが千聖の頭を撫でながら宥める。

 

「もう大丈夫ですよ。安心してください。…俊一郎、警察にも連絡してくれ」

「あぁ、了解だ」

 

俊一郎は男の身柄を抑えたまま携帯で警察に連絡をする。しばらくして警察が到着した。男は警察に引き渡され今日は帰宅させてもらう流れに。後日聴取や検査を行うらしい。

帰りの車の中、2人切りの千聖と悠司は暫く無言だった。あんな事があった後だ、いつも通りの雑談なんて出来るわけがない。

無言のまま車を走らせ、千聖の家の前に到着する。2人は車を走らせる降り千聖が家に入るのを見届ける。

 

「明日の仕事は事務所の方に許可を頂いて休みになりました。今はゆっくり休んでください」

「…えぇ、ありがとう。そうさせてもらうわ」

「それと…今日は私が不甲斐ないばかりに千聖さんを危ない目に遭わせてしまいました。本当に申し訳ございません」

 

千聖に向き合い深々と頭を下げる悠司。

 

「…悠司が来てくれた時、本当に安心した。それだけで救われた気がしたわ?だから頭を上げて頂戴?」

 

悠司はゆっくり頭をあげ千聖と向き合う。千聖の表情はまだ少し不安が残っているものの、笑っていた。

 

「私の方こそ心配かけてごめんなさい。悠司から貰った発信機が役に立ったわ、ありがとう」

 

千聖は襟元の発信機に手をかけてお礼を言う。もし悠司が発信機を渡していなかったら自分はどうなっていたのか、そう考えると想像すらしたくないような光景が千聖の脳内に過ぎる。それを払拭するかのように悠司に抱きついた。

 

「本当に…ありがとう…!」

 

その行動に悠司は驚いたのか動けずにいたが程なくして千聖が離れる。

 

「それじゃあ失礼するわね、お疲れ様」

「はい、お疲れ様でした」

 

千聖は悠司に背を向け家の中に入っていく。その様子を見届けた悠司は再び車に乗り込んだ。

 

 

 

■ ■ ■

 

 

「えぇー!?千聖ちゃん、そんな事があったの!?」

「ジブン、初めて聞きましたよ…」

「わたしも初めて聞きました!」

「まぁ誰にも話してないもの。そりゃあそうでしょう?」

 

驚愕するメンバーに普通の表情で返す千聖。悠司と俊一郎は「あったなぁ…そんなことも」と、過去を思い出す年配の様な声を出していた。

 

「花音さんには前に話してましたよね、彼女、顔真っ青になって今にも倒れそうにしてましたけど」

「そういえばそうだったわね」

 

日菜を除くパスパレメンバーは千聖の話に未だ驚愕が尽きず、日菜は「ふ〜ん、そんな事あったんだ〜」と他人事の様にはしながらもしっかり話を聞いていた。

 

「やっぱり人気が出てくるとそういう事もあるのかなぁ…私も気をつけなきゃ!」

「大丈夫よ、彩ちゃん。何かあったら悠司がすぐに駆け付けてくれるわ」

「…まぁそうですね」

「でもさー?悠司君より俊一郎君の方が強そーじゃない?」

 

良い雰囲気にも関わらずご最もな意見を刺してくる日菜。

 

「ははっ、まぁ対人なら悠司より俺の方が強いかな。必要ならパスパレ全員分の発信機でも作ろうか?」

「おー!流石俊さん!ジブンも何か手伝えることがあれば…」

「楽器メンテナンスとは訳が違うぞ?まぁ機材って点では一緒だが」

 

より一層盛り上がったメンバーは各々また雑談に入っていた。

そんな中、悠司の隣に座っている千聖は悠司に椅子を近づける、そしてこっそりと耳打ちで話す。

 

「あの時はありがとう♪」

 

あまりに不意打ちだったのか悠司はビクッと体を反応させる。

 

「ち、千聖さん…?」

 

悠司が千聖の方へ顔を向けるが千聖はコップを持って席を立った。その後ろ姿を悠司は長い事見つめていた。

 

「…悠司?顔真っ赤だぞ?」

「……何でもねぇよ…」

 

少し素が出た悠司は顔を真っ赤にして答えた。




ありがとうございました。次回もよろしくお願いします!

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