なちょすと申します。
このご時世にどうしてもグラブルを書きたくなりました。未熟な為、誤字等あったり好き放題やる傾向がありますが、暖かい目で見て頂けたら幸いです。
赤緑、須く彼を思う
暗い。
自分が目を開けているのか、閉じているのか、それすら判別出来ない程には暗い。
ふわふわと宙を浮いているかの様な浮遊感を感じるが、不思議と嫌な感じはしなかった。
俺は⋯何だ?
形有る物か、思念か。人か。獣か。或いは無か。最早自分が何なのかすらも分かっちゃいない。どれ程の時間、俺はこうしているのだろう。そもそも時間という概念が存在するのだろうか。俺には知る術が無い。
『やぁ、おはよう』
そんな声が闇の中に響いた。
───誰だ?
『僕は────。君の──を───』
───聴こえない。何だ。何を言っている。
俺の問いに答えるように、声の主はぼんやりとその姿を顕にしていく。タレ目に少しだけ出た前歯。全身緑色に染まった、『怪獣』とも言えるようなソイツは、俺を見下ろすかの様に視線を落とし、聴こえもしない言葉を続けた。
『───、遅れてしまいましたかな?』
『大丈夫だよ───。彼も今起きたから』
怪獣の隣に現れたのは、これまた怪獣である。グルグル目まぐるしく動く2つの目に、全身を赤い毛で覆われた雪男の様な見た目の巨人だ。そのプロペラはサイズ的に飛べないだろ。
『さてさて、突然だけど君には空の世界へと行ってもらうよ』
───何故だ。
『君は、自分の事が分かりますかな?』
───知らない。
『ここに来る前何をしてたかは?』
───興味無い。
『知りたいとは思わない?この空は自由⋯君の好きな様に生きて、君が望むように過ごせるんだ』
『それに、ここには居られませんぞ。ここは本来存在しない場所なのですからな』
徐々に視界よりも下⋯恐らく身体である部分が冷えてきた気がする。心無しか後方からも強風が吹き荒れ、どんどん2対の存在はその距離を離していく。
『さぁ行っておいで!空が選んだ落し子!!』
『我々からも少しばかりの力を君にあげますからな!』
───おい、ちょっと待て!勝手に───!!
必死に伸ばした手は、彼等から差し出された2つの虹水晶をその手に掴んだ。だがそれは人肌のような温かみを持っているだけで、別段命綱に変わるわけでも、赤い奴のプロペラの様な物に変わるわけでも無い。
『ここから始まるんだよ。君だけの───
そんな言葉を最後に言い放ち、2対の存在は姿を消した。
吹き荒ぶ強風に包まれながら、ただただ只管⋯俺は闇の底へと落ちていくのだった。
───。────。
声がする。耳のすぐ横を駆け抜ける突風のせいで何も聴こえやしないけど、落ち着いた雰囲気の声だ。
それにバタバタと羽根が羽ばたくような音も聞こえてくる。きっと今の俺は、鳥か何かに掴まれているのかもしれない。
薄らと目を開けた視界に映ったのは、大きな鷲だった。
「目を覚ましたか、少年よ」
いや⋯鷲と言うには余りにも人に似ている気がする。よくよく見れば、鷲の装束に身を包んだ背丈の大きい男だ。2m近くはあるだろうか。羽根の音にも聴こえたそれは、彼の装束が風により靡いている音である。
という事は、だ───俺は今落ちているのでは?
「はっはっは!!疑問に思うまでも無く、我等は今や空の下に真っ逆さまであるぞ!」
「いやいやいや!!逆に何でそんな余裕なの!?あ、もしかして何時でも飛ぶ準備が出来てるから!?なら遠慮せずバサッと羽ばたいちゃって下さい!!」
「うむ、そうしたいのはやまやまなのだが⋯実は我も空を飛べる訳では無い。そして、我は高い所が⋯その⋯少々苦手でな⋯」
口調から察するに、彼はどこかしらの国の身分が高いものでは無いかと察する事が出来る。どこかの国の王族とか貴族だろうか?
ふっ、そんな上手い事あるわけないか。大体、何で飛べない人間が、こんな辺りに何も無い真っ青な空の中で俺と一緒に落ちていると言うんだ。それに納得いかないのは、そんな鷲を象った装束に身を包んでるのに飛べない⋯つまり、助かる道が無いと言うのに落ち着いていられるのかという事だ。オマケに高所恐怖症と来た。
何か策があるとでも言うのだろうか。
「はっはっは!!まぁそう慌てる事も無いであろう。ここにはもう1人居るのだからな」
「もう1人?って⋯何だこれ」
落ちながらにして、ようやく自らの右手が何かを掴んでいることに気付いた。茶色のロープ?いや尻尾か⋯尻尾を固く、強く握り締めていることに。
如何せん人と言うものは垂れ下がってるものの正体を知りたがってしまう癖がある。誰だって握っているものが毛で覆われた尻尾だと知れば、その本体を確認したがるであろう。つまり例に違わず俺もその本体を確認したのだ。
しなきゃ良かった。
だってそうだろう?
1人の子供が、目に見える程明確な殺意を振りまいてこちらに獲物を向けていれば。
───。──────。
案の定声なんか聞こえやしない。
だから尚更怖い。俺は今何をされ───
「
「あぁぁぁぁぁぁああああああいッ!!??」
恐らく杖か何かであろう棒を空中で回し、どういう原理かそれを軸に繰り出された子供の強烈な蹴りは、俺の腹部へと命中した。と言うかしてる。何故このタイミングで『
自分が流れ星になる日が来ようとは思わなかった⋯⋯。
「ねぇっ、痛いよっ!さっきから無闇に尻尾を握ったり引っ張ったり!ボクのしっぽは玩具じゃないんだよ!?」
「ゲホッ⋯だからってこんな蹴りかますやつがあるか馬鹿っ!!」
「馬鹿じゃないですー!馬鹿って言った方が馬鹿なんですー!!」
クッソ⋯ガキみたいな事言いやがって⋯!ん!?ガキだな!!
「はっはっは!!戯れるのもいいが、そろそろ不味いかも知れぬぞ!」
「ほん?うわ⋯何あれ⋯」
視界に広がったのは、青と赤の境界線。俺達3人は一体どこまで落ちてきたのか分からないが、そんな幻想的な風景を目の当たりにしていた。だがそれよりもっと不味いのは、眼下に見える赤い空⋯そこから無数の黒い手が、こちらを誘うように手招きをしていた。
「なぁ!歓迎されてると思うか!?」
「馬鹿なのっ!?馬鹿でしょっ!!」
「テメェまた馬鹿って言いやがったな!?」
「本当の事じゃん!!それより、不味いよ⋯今から筋斗雲を呼んでもギリギリかも⋯!」
何やら厳しい顔をした子供に、何やら覚悟を決めた顔の男。
冗談じゃない。
何やら尽くしのこんな所でくたばってたまるか。まだ何もして無いし、何をしたら良いかも分かっちゃいないんだ。
何でもいい。この状況を切り抜ける『何か』が───!
「っ⋯⋯なん、だ⋯?」
「む?少年の首飾りが輝いておるな。」
「何か出せるの!?」
「知らんっ!!けど⋯何か出るなら何でもいいさ!!うぉおおおおおおっ⋯⋯!!」
俺は胸元の水晶を天に伸ばし、力の限り叫んだ。
「何か出ろぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
刹那、俺達の体は光に包まれた。
視界に広がるの銀色の巨体。その体は神々しい迄の輝きを放ち、背中には群青のストライプが刻まれている。
この世界の何を見ればそんな目が出来るのかと言うくらい赤く、優しく、されど強く⋯ただ只管に一点を見つめていた。
人間3人乗ってもまだまだ余裕があるその大きな背中に跨り、俺達は空を飛んでいた。
でも⋯俺が掴んでるこれ⋯⋯見間違いじゃなければ、だ。見間違いなんかじゃなければ⋯
と言うか⋯これ⋯⋯魚じゃね?
「⋯⋯なぁにこれぇ⋯」
「これは⋯もしやカツウォヌスでは無いか?」
「カツウォヌスぅ?」
「うむ。昔一族のものに聞いた事がある。何でもその肉は死人を蘇らせる程に美味だと聞いた」
「マジっすか⋯」
しかし何だ⋯さっきから不思議な感じがする。ウキウキとした気持ちやワクワクとした気持ちが、胸の奥に湧いているのだ。だが決して、俺のものでは無いと断言出来る。だってさっき蹴られたし。すっごい痛かったし。
だとしたら誰の───
「でも生臭いね」
俺の背中と大男の間に挟まった
つまり⋯これはきっと、このお魚さんの気持ちなのかもしれない。あははははっ!
「謝れ!今すぐこの子に謝れぇッ!!」
「うわっ、何!?急にどうしたのさ⋯?」
「良いからっ!お願いだからっ!!ご機嫌損ねちゃ駄目なんだってばっ!!」
急激に泳ぐ速度を上げたカツウォヌス様の顔は、それはもう大変怒っていらっしゃいました。鋭い歯が生え、固く身が引き締まり、一体何匹の生物を殺めてきたのか分からない程に殺意に満ち溢れた深紅の瞳───俺達は、これからどこへ連れて行かれるのだろう。
「わぁぁああああああっ!!止めてっ!止めてよぉっ!!」
「だから謝れって言ったんだよぉおおおおっ!!」
「はっはっはっはっはっ!!」
「何でこの状況で笑って───白目向きながら笑ってる!?」
これが⋯⋯全ての始まりだった。
これは、後に『カツウォ旅団』と呼ばれた俺達の物語である。
メンバー構成
主人公:名前はまだ無い。次回予定。
ネツァワルピリ:ウチの団の最古参メンバー。素敵。
アンチラ:最近お迎えした子。スキン買ったら出てきた子。
カツウォヌス:カツウォヌス。