初の妖力解放をしての戦闘を行った翌日…私は何時も通りの用務員業務をしていた…
「おっ、降ろしてくれ~!」
「かっ…あっ、頭に血が上って…!」
「…お前ら学習能力が無いのか?」
最も今やってるのは用務員業務とは全く関係無いがな…駒王学園名物の三馬鹿の内、天井から逆さ吊りにされる二人を見ながら溜息を吐いた…。
「…ところで今日はお前ら二人だけか?兵藤一誠はどうした?」
「…あっ、そっ、それが何か今日のイッセーはノリが悪くて…」
「…そうか。」
まああんな事の後にそんな事が出来る程肝っ玉が座った奴には見えなかったからな…ここもある意味原作通りか…。最もあのタイミングで私が介入したせいで兵藤一誠が悪魔に転生してないからもう完全に原作ブレイクしてしまっているが…。
「いた!テレサさ~ん!」
「ん?来たか…。後はあいつらに任せるからな。」
「…あっ、そっ、そんな…!」
「てっ、テレサしゃん…おっ、お慈悲を…!」
「自業自得と言う奴だろ?…まあその、何だ…死ぬなよ?」
二人にそう声をかけ、女子たちの元へ向かう
「ありがとうございますテレサさん!毎回こいつら逃げ足早くて捕まえるのが大変で…。」
「構わんさ…毎回毎回廊下を走り回られても困るからな…。」
「本当にありがとうございます!また用務員室に甘い物持って遊びに行きますね!」
「…あそこは一応遊びに来て良い場所じゃないんだがな…」
そもそも私も一応味覚はあるし、甘い物が嫌いな訳じゃないが…とても食いきれんから困るのだが…まあ家に持って帰ればクレアが嬉嬉として平らげたり、黒歌がカロリーがどうのと文句を言いつつ結局食べるから無駄にはならんが…。
掃除用具などの凶器を持って目をギラつかせながら二人の元へ向かう女子たちに軽く引きながら私は業務に戻った…。
放課後、オカルト研究部のドアをノックする。
『どなたですか?』
姫島朱乃か…。
「テレサだ。」
『…どうぞ。』
「…失礼する…ん?リアスはどうした?」
今部室にいるのは塔城小猫と姫島朱乃だけだ…。木場祐斗は兵藤一誠を呼びに言ってるんだろうが…。
「今、シャワーを浴びてますわ。」
「…この後兵藤一誠が来るんだよな?」
「ええ。」
「……」
原作知識で分かってはいたが…改めて考えるとな…正直あの馬鹿にこんなサービス要らんだろ…。
「突っ立って無いで座ってくださいな、今お茶を淹れますから…」
「ん?ああ、頼む…?」
先程から何か姫島朱乃が浮ついているというかソワソワしていると言うか…何だ?…まあ今は良いか。
「……」
「…塔城、邪魔なんだが…」
ソファから下りると椅子に座った私の足の上に無言で座る塔城小猫…重くは無い…寧ろ私がクレイモアである事を鑑みても異様な程軽い…こいつちゃんと飯食ってるのか?
「…下りたくないです…。」
「……」
そんな悲しそうな声で言われるとキツく言う気にはならんな…元々そんなに困っては無いし…良いか。…全く。黒歌、お前がちゃんとフォローしないからお前の妹は色々拗らせているようだぞ…?
「…どうぞ。」
「ん?ああ、ありがとう姫島「朱乃」ん?」
「朱乃と呼んでください…リアスばかり名前で呼んでずるいです…」
「……」
あの日より私に対する対応はかなり柔らかくなったが…今のこいつは何時ものそれとは明らかに違う…目元が潤んで熱に浮かされた様な…まるで恋でもしてる様な…まさか…!
「姫し…朱乃、すまないが…私に加虐趣味は無い…お前のそれには応えられない…。」
「……え?」
「公園の惨状と痛めつけられたレイナーレを見て私なら自分を満足させられる…そう思ったんだろう…?」
「…どうして…?」
これはどっちなんだ?単純に隠していた筈の自分の秘めた想いに何故気付いたのかと聞いてるのか?それとも…自分の期待に応えられないと言われた現実に対して零した言葉か?
「…勘、かな?…お前良く男子にはまるで女王様に対するそれの様な願望を向けられるし実際そういう想いに応える事もある様だが…お前、どちらかと言えば被虐願望持ちだろう…?」
原作や二次創作では姫島朱乃は良く加虐趣味として描かれるが…原作を丹念に読んでいくとどちらかと被虐趣味の方が大きい様に見えて来る…私の偏見と言えばそれまでだが…少なくとも目の前の姫島朱乃は明らかにそれを求めているように見える…。
「…すまない…。」
「…残念です…貴女なら、と思ったのですが…。」
目に見えて暗い雰囲気を出し始める姫島朱乃にさすがに罪悪感が生まれてくる…仕方無い…。
「…まあ、その何だ…何時でも家に遊びに来ると良い…」
「……え?」
「…クレアが喜ぶし…私も相談にくらいは乗る…それと、もう一人の同居人なら多分お前のそれにも応えられると、思う…。」
こいつの事は黒歌に任せよう…姫島朱乃は母親がいない…そもそもこいつのこの歪な関係性を求める感性は愛情に飢えてることから来てるのかもしれん…黒歌なら愛情を与える事も、こいつの劣情を満たす事も出来る筈だ…うん。それが良い…悲鳴を上げ、頭を抱える同居人の姿が過ぎったが私は無視した…。
「…ずるいです…私も名前で呼んで欲しいです…」
「…分かった、子猫。…これでいいか?」
「…はい。」
機嫌が良くなって何よりだよ…姫島朱乃の様に劣情は向けて来ないから扱いやすい…もう少ししたら黒歌に丸投げ出来るから気も楽だしな…そう打算的な事を考えながら私はすっかり冷めてしまった紅茶を飲んだ…。