「……」
「…あの、テレサさん?」
「……何だ?」
「…何か怒っていらっしゃいます「何でもない」…そ、そうですか…」
あれから数日経ったが特に事件は無い…嵐の前の静けさと考えるのが妥当だが、そもそも何も無いに越したことはないのは確かだ…だが…だからと言ってこのオカルト研究部の状況はいい加減目に余る…。
そして本来ならそれについて呆れるだけで済ます筈の私はつい、塔城小猫や姫島朱乃が近付かなくなるほどの殺気を垂れ流している…自覚はある…だがこのイラつきはそもそも端的に言えば欲求不満から来たるものだ…私にも抑えようが無い…
リアスにはぐれ悪魔討伐の依頼が無い事を無意識に他人事と思っていた私は今、自分の馬鹿さ加減を文字通り思い知らされている…まさか私が狩れるはぐれ悪魔もいないとはな…どうも誰かが片っ端から狩っているらしい…誰だか知らんが余計な事を…!狩りすぎたらどうなるか位分からんのか…実力は一流かも知れんが…ルールを知らん愚か者だ…!
リアス・グレモリーが冷や汗を流したり、兵藤一誠が完全に怯えていたり、いよいよ不味いと判断したのか姫島朱乃が顔色の悪い塔城小猫を背負って部室を出て行こうとするのが視界の端に映るが…駄目だ…抑えられん…!
「…あの、テレサさん…」
「……何だ?」
「…僕に剣を教えて貰えませんか?」
「……」
めげないな…。しかもこの状態の私にすら頼んでくるとはな…ふん。良いだろう…どうせそろそろ何でもいいから暴れたいと思っていた所だ…!
「……良いだろう。」
私がそう言うと今さっき出て行こうとした姫島朱乃と塔城小猫、それからリアス・グレモリー、そして何故か木場祐斗も反応する…いや、お前は何でだ?お前から頼んで来たんだろうに…
「…何だその顔は?私は恐らく二者択一だろう選択肢…平たく言えばはいかいいえで答えられる質問にただお前の希望通りはいと答えただけだが?」
「…あの…本当に…良いんですか?」
「…さっき良いと言っただろう?…リアス、悪いんだが私の家に行って私の剣を持って来てくれないか?」
「…それは構わないけど…どうしたの、突然?」
「…ちょっとな…。」
一番の理由は欲求不満の解消だが他にも理由はある。
「…先にグラウンドに行っておけ。」
「…はい。」
私は完全に冷めてしまった紅茶を飲み干した…。
「…どうしたリアス?早く持ってこい。」
「簡単に言わないで!?何この剣…!信じられない位重いんだけど!?」
「…どうしてもこちらまで運べないと言うなら投げろ…ほれ、早くしろ。」
「…あーもう!分かったわよ!受け取りなさい!」
散々重いなど、情けない事を言っていたが何だかんだ投げた剣は私の頭上を越えていく…何だやれば出来るじゃないか。
「…ふん!」
私は剣の元まで跳ぶと柄を殴り付け地上に落とす。
そして木場祐斗の足元の地面に突き刺さる。
「…テレサさん、何の真似「その剣と同じ物を作れるか?」え?」
「…初めて私と会い、戦った時…お前の剣は私がただその剣で受け止めただけで折れてしまったのを覚えているだろう?」
「…はい。」
「…技術を磨くのは戦いの基本だがまず、お前はそれ以前の問題だ…お前の剣は脆すぎる…如何に優れた剣士であっても剣が鈍なら勝てる物も勝てなくなる…だからまずお前はその剣に匹敵するものを作れ…そうだな、まずこれから私とお前の使う剣二種類をその剣を目指して作ってみろ、…あー…気負う必要無い。最初はまず、斬れ味はしょぼくて良いから硬い剣を「それは僕に対する挑戦ですか?」ん?」
「作って見せますよ…その剣程じゃなくても最低限硬さと斬れ味両方を有した剣を…!」
「ほう?…面白いな、やってみろ。」
「…行きます…!はああああ…!」
私の見てる前で時間をかけて作られて行く剣…そもそも溜めに時間がかかる以上、実用性は皆無なんだが…今言うのは無粋か…
「…ハア…ハア…!出来ました…!」
木場祐斗の前の地面に私の剣を挟むように突き立つ大剣、片手剣と言う二本の剣…ふん。さてお手並み拝見と行こう…!
「っ!…ほう?」
木場祐斗が瞬時に踏み込むと作った剣の内、大剣の方を私に向かって投げつける
「…おっと!」
顔に刺さる直前で大剣の柄を掴む…成程見れば見る程見た目はそっくりだ…さて…
「……」
剣を適当に振り回す…少し軽いが振った感じは悪くない…なかなか手に馴染む…まあ後はどれ程使えるかだな…
「…さて、こんなものでいいか…。」
私は背中の鞘に剣を納める…
「…さあ、来い木場…」
「…どういうつもりですか?」
「…私が剣を抜かないのが不服か?…良いからさっさと打って来い…」
「…行きます…!」
私に向かって来る木場…なかなか早いな…最もあくまで私の知る中で比較的早い方と言った程度だ…実際私にはかなりのスローペースにしか見えん。
「…はあ!」
「……」
遅いな…!
「ふん!」
「…なっ!?」
自分の剣が弾かれ、更に身体が浮いた事に驚く木場…今のこいつにこの技はもったいなかったな…
「…どうした?私が何をしたか分からないか?ならそのまま死ぬだけだ。」
「…ぐうっ!」
空中の木場に追撃をかける…見えてはいないようだが反射で受けている様だ…良くやる…とは言え、私が使ってる武器が重い大剣で無ければ何回死んでいるだろうな?
「…ふん!」
「…がはっ…!」
斬撃を止めると受けに回した剣ごと木場祐斗の腹を蹴り飛ばす。その一撃で再び剣は折れ、私の蹴りが木場祐斗に刺さる…やり過ぎたか?悪魔の肉体の強度がどれ位か分からんからな…まあそれで死ぬと言うなら所詮その程度かも知れんな…吹っ飛びリアスの張った結界の壁に当た…おいおい…もう罅が入っているぞ…やはりサーゼクスを呼ぶべきだったか?
地面に倒れる木場祐斗にリアスが駆け寄るのを見ながらそんな事を考えていた…。