「……」
「テレサ?どうしたにゃ?」
「…黒歌、少し出かけてくる…」
「え?あっ、ちょっと!?」
私は布に包んだ大剣を掴むと家を飛び出した。…感じる…!今まで一度も感じた事の無いはずの感覚だが…分かる。…これは…妖気だ!…しかも…私の様な半端者に分かるという事は…
「…誘っている…」
一体何のために…?そもそも今の私にはこれが果たして妖魔の物なのか、それともクレイモアの物なのか…或いは覚醒者の可能性もある…
「…妖魔なら可能性があるかもしれないが覚醒者では恐らく勝ち目が無いな…クレイモアだとしても果たしてまともに話が出来る相手かどうか…」
まずは行ってみるしか無いか…それで答えは出る…
「…誰もいないな…。」
妖気を感知した場所は普通の住宅街の一角で特に問題は無い…人気が無いのが気になると言えば気になるが…今が夜間である事を考えるとそこまで不思議な事でもない……!
「こんばんは!」
私は咄嗟に大剣を抜き振り向…!
「…ぬぐっ!」
抜いた大剣を挟むようにして横薙ぎに首を狙って来る大剣を受け止める…くっ!…何て力だ…!押し切られる…!
「…がはっ!」
相手が私の腹を蹴る…勢いを利用し後ろに下がる…衝撃は多少逃がせた筈だが思いの外ダメージがある…!
「…あら?少しはやるわね、貴女。」
私は突然攻撃して来た人物の顔を見ようと目を凝らす…クレイモアは闇夜でも人間と違い、ある程度は見えるがさすがに相手の顔の識別は出来ん…だが分かることもある…
このシルエットに大剣…!こいつもクレイモア…!
可能性は考えていたもののやはり衝撃は大きい…私は今何故か味方に攻撃されているのだからな…!その時良いタイミングで雲が晴れ、月光に照らされて相手の姿が見えて来る…!…こっ、こいつは…!?
「…オフィーリア…!?」
よりによって何故こいつなんだ…!?
「あら?私の事知ってるの?…う~ん、顔に覚えは無いわね…貴女名前は?」
言わないと言う選択肢は無さそうだな…まあいい。このまま会話に持ち込んで奴の目的を確認しよう…
「…テレサだ。」
「テレサ?…何か聞き覚えあるわね~…う~ん…何処だったかしら…?」
…一見無防備に見える…が、駄目だ…奴から隙を見つけられない…!これでは攻撃は元より逃げる事も出来ん…そもそも私は絶対にこいつには勝てない!真っ向勝負など以ての外だ…!
「…ああ!貴女もしかしてあの微笑のテレサ?歴代最強のNo.1だって言う?」
「…同名の別人だよ。私は彼女の足元にも及ばないさ…。」
「そうなの?残念ねぇ…どうせなら一度戦ってみたかったんだけど。…最も私の知る限りじゃ死んだって聞いてるけど。…仕方無いわ。貴女、どうも期待外れみたいだけど頑張って私を満足させてね?」
その言葉と共にオフィーリアの姿が消え…!違う!奴は今私の周りを高速で動いている…駄目だ!動きが見えない…!
「…うがっ!?」
次の瞬間顎を打ち上げられその勢いのまま私は後ろに吹っ飛んだ…。
「…くっ!先程といい…!何のつもりだ!?」
「何って決まってるじゃない。…私、退屈なのよ。この町のはぐれ悪魔は大した事ないし、そしたらある時お仲間がいる事に気がついたのよ。それでちょっと手合わせをお願いしたくてね…もちろん貴女の事よ?まあ本当に暇潰し以上にはならなさそうだけど。」
言葉だけなら模擬戦をお願いされてるだけだ…思いっ切り舐められているがそれも仕方無い…私はこいつに勝てないだろうしな…だが…こいつはさっき首を狙って来た…!あの時もし、私が奴の攻撃を防げなければ私の首は飛んでいた…さすがのクレイモアも首を刎ねられれば死ぬ…こいつはそれを知らんわけでもあるまい…つまりこいつは私を殺す気だ…!
「…断る。お前は私を殺す気だろう?」
「ごめんなさいね、貴女に選択肢は無いの。やらないなら貴女はどっちにしろこの場で私が殺すだけよ。」
つまりこのまま棒立ちでも私は殺される…やるしか無いという事か…