妖力解放による限界を超える恐怖すら忘れ、私はテレサに剣を振り続けた…そして…
「…おめでとう、お前の勝ちだ。」
気が付くと私はテレサに馬乗りになり大剣を振り上げていた…
「…何が起きた…?何故私は…」
「…何だ覚えてないのか?締まらない奴だな…結論から言えばお前は私の読みを上回ったんだ…無意識に妖力解放を使いこなしたお前のスピードを追えなくなり、予想外の攻撃を受けた私は一瞬集中が乱れた…そこを引き倒された…」
「…どうしてだ?もし、お前が妖力解放をしていたら死んでいたのは私だった筈だ…」
「…私はお前に戦い方を教えに来ただけだ…それに私は途中から本気だった…普段私は基本的に妖力を解放しないからな…つまり間違いなくお前は本気の私に勝てた…という事だよ。」
「……」
「…さあこの首を取れ。それで終わりだ。」
私はテレサの首に大剣を当てがい、振り上げ…
「やらない。」
「…何?」
「私はお前を殺さない。」
剣を下ろした…。私にこいつは殺せない…何故なら…
「…思い出したんだ…私がクレイモアになりたいと言った理由…私はお前に憧れた…お前になりたかったから…。」
そうだ…それが私がこの力を望んだ理由…
「…本当に締まらない奴だな…だがどちらにしろもう時間切れだ…」
「テレサ!?」
テレサの姿が薄れて行く…消えて行く…テレサが…!
「駄目だ消えるな!私はまだお前と!」
「…人の顔で情けない表情をするな。…お前だって分かってるだろ?そもそもこの出会い自体が奇跡の様な物…本来私たちは出会う事が無かったはずなんだ…」
「頼む…!待ってくれテレサ!」
「だから泣くな…テレサはお前だろ?」
「違う!私は…!」
「お前はテレサだ。他ならぬ私が認めてやるよ。」
「違う違う違…テレサ?」
私の頬に手を当てるテレサ…
「泣くのはそろそろ止めろ…もう私とお前は出会う事が無いんだぞ?最後くらいしっかりしろ。」
「…テレサ…」
「…クレアを頼むぞ?…仮にも私を騙るなら守り切って見せろ、身体も、心もな。」
「…分かった。」
「…じゃあな、そろそろ目を覚ます時間だ。行って来い、お前を待ってる奴がいるだろ?」
「…サーゼクス…」
「…羨ましいなお前は…」
「…えっ?」
「私にはついぞ、クレア以上に大事な物は何も見つからなかった…だから守りたいものがたくさんあるお前が少し羨ましい。」
「…私にそんな資格は…」
「…さっき言った筈だ。仮にも最強の私を騙るんだ…全部守り切れ。…出来ないとは言わせん。」
「…分かった、本当にありがとう、テレサ…。」
「…礼には及ばんさ、お前は私だからな。…さあ帰れ。」
私は彼女に背を向けて歩く。…私は本当に強くなれたのか…?…いや、もうそんな事は考えない。私は…テレサだ…。