「ゴタゴタして聞きそびれていたが…君は怪我は無かったかね?」
「…足に祓魔弾を食らったくらいだよ…私には影響は無いし、もう弾も取り除いた…とっくに傷も塞がってる…」
……頭に蹴りを食らった事については特に語る必要は無い…せいぜい痣が出来る程度だしもうそれも消えた…最もあの蹴りを食らったのが仮に普通の人間であれば首と胴が泣き別れしていただろうが…
「…クレアたちはどうだった…?」
「…クレアとアーシアは軽傷だよ…クレアは身体のあちこちに傷が出来ていたそうだがそれ程酷くは無いし、傷自体も数日もあれば消えるそうだ…アーシアは君の証言通り殴られていたが…一応相手は加減をしたのか顔が多少腫れたくらいだ…こっちも跡は残らない…ちなみにかなり取り乱していたが今は落ち着いている…現在は別室にてグレイフィアを介して二人で話している事だろう…」
「…黒歌、は…」
声が震える…分かっているさ…本来なら聞くまでも無い…クレアの傷は見る暇が無かったが私は彼女の姿に関しては確認出来ていた…
「…重傷だ…恐らくクレアを庇ったんだろう…具体的な傷の詳細は省くが…万が一の事はあるかもしれない…もちろんこちらも手を尽くしているが助かるかは五分五分だそうだ…」
「…助かるさ。」
「…何故、そう言い切れるんだ?」
「あいつが…黒歌が妹を残して死ぬわけが無い…何だかんだせっかく再会出来たんだ…小猫ときちんと話をするまで死なないさ…」
……それは要は話し終えればそのまま黒歌は息絶えると言っているわけだ…
「…彼女を信頼しているんだね…」
「……長い付き合いだからな…」
違う。私がそう一方的に信じたいだけだ…でなければ私は罪悪感に押し潰される…!
「…アパートの…他の住人は…」
あの時間何人かの住人は部屋に残っていた筈…
「…軽傷が二名、重傷者四名…そして死者が二名…」
「…そう、か…」
それについて出てきた言葉は自分でも驚く程に感情は乗っていなかった…そうだ…私にはアパートの他の住人がどうなろうと本当はどうでもいいんだ…偶に会えば挨拶くらいはするが私はほとんど交流を持っていないからな…名前も知らない…最もクレアと黒歌はそれなりに付き合いのある住人はいたという…死者が二名、か…二人は悲しむんだろうな…私は少なくともクレアと黒歌がこの場では無事で良かったと思っている…あいつは死なない…私はそう信じ…て…
「…テレサ、本当は心配なのでしょう?黒歌の事が…ちゃんと助かるか不安で仕方無いんでしょう…?」
リアスの指摘に私は何故か慌てて反論していた。
「違う。私はあいつを信じている…それに私はクレアが無事なら…」
「でも…貴女とても辛そうな顔してるわ。」
「…行ってくるといい。詳しい事情はまた聞くとしよう。」
「良いのか?行っても私にはどうせ何も出来ないぞ?」
……まだ理由を付けて黒歌の元へ行くのを渋る自分がそこに居た…
「…こちらはもう手を尽くした。後は親しい者が声をかけて引き戻すしか無い。…今の状態ではとてもクレアや小猫君には会わせられないが君なら良いだろう…行ってあげると良い…」
「…そう、か…なら行って、くる…!」
そう言うと私は思わず駆け出していた…生きてくれ黒歌…!私はお前に伝えたいんだ…!お前が同居人でも、居候でも無くクレアと同じ家族だと…!だから死ぬな!