サーゼクスに肩を借り…というか身体に力が入らなかったので途中から背負われながら帰る(誰にも見られてないと思ったが実はリアスたちにしっかり見られており揶揄われこそしなかったが生暖かい視線を送られ、私は羞恥に悶える事になる…)
…私を見て焦ったグレイフィアに言われるまま昼食の残りを適当にパク付き、宛てがわれた部屋のベッドに横たわる…
私が黒歌を連れ帰って来た日から、黒歌は家では人間態で過ごすようになった。献身的にクレアの世話をする黒歌を見て、勝手に安心した私はより一層はぐれ悪魔狩りに勤しむ様になった…
……当時私はテレサを演じる事に躍起になっておりクレアを引き取ったのもその延長線上にあるという想いが強かった…もちろん大事な存在ではあった…が、引き取られたその日からろくに優しい言葉をかけることも無い私に笑顔を向けてみたり、初日から家事をしてみたり、アパートの他の住人に挨拶してみたりと、色々しっかりしてるクレアに気後れしていたのは確かで…平たく言えば当時私はクレアとどう接したら良いかなんて分からなかった…
…長い付き合いの人間とすらコミュニケーションの取り方が分からないのに新たな住人との距離を詰め方なんて分かる筈もない…所か私は黒歌がいるのを良い事に今までは最長で一週間位だった家を開ける時間が二週間になり、三週間と…だんだん家には帰らなくなった。
これに黒歌がキレた。
どんな伝手を使ったのか私を探し出し、路地裏で野宿をしていた私を無理矢理家に連れ戻し説教を始めた。
『あんたが私を家に連れ戻したくせに何で今度はあんたが帰って来なくなるの!?あんたはクレアの家族なんじゃないの!?』
……その時の私は何も答えられなかった…最終的には折り合いを着けたし、今ならはっきり私はクレアと黒歌、そしてアーシアの家族だと言えるのだがな…今思えばクレアにも黒歌にも悪い事をしたと思う。
…結局黒歌の言葉に何も返せないまま私ははぐれ悪魔狩りに出かける頻度を減らし、勝手にサーゼクスと話を着けた黒歌に言われるまま駒王学園の用務員の職に就く。
……この頃からだ、黒歌と言い合いが絶えなくなったのは。怒号飛び交う家の中(主に私が挑発して黒歌がキレる)は決して健全とは言い難いがお互いに言いたい事を言う様になり多少私たちの距離が縮まったのは確かだ…クレアを泣かせる事にはなったが。…とにかくあの日からまだ家族とは言えないが私と黒歌…お互いに縁が出来たんだ…そしてこれを契機にクレアとの関係性を考え直す事にもなった…今でもつい揶揄う事はあるが黒歌には本当に感謝している…本人には言えないが。
「…懐かしい夢だ。」
目が覚める…先程黒歌との出会いを思い出していたせいかその後の事も思い出した…やれやれ…あの頃の私は本当に酷かったな…正直記憶から消し去りたいが…それはいけないな。あの頃の私がいるから今の私がいるのだから…
「…テレサ?起きてますか?」
「…グレイフィアか。ああ、起きてるぞ?で、何だ?」
「夕食の支度が出来ました。…起きるのが辛いなら部屋に運びますけどどうします?」
「…いや、起き上がれない訳じゃない。そっちで食う。」
「そうですか。では外で待ってますので。」
「…分かった。」
先に行っててくれて構わないんだが…まぁいいか。待たせるのは悪い、急ぐか。