ネタ帳   作:三和

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ハイスクールDxDにクレイモアがいたら62

兵藤の部屋に…ん?

 

「…気配…?」

 

部屋のドアに耳を付ける…防音がしっかりしてるからか音は聞こえない…しかし…

 

「…やはり気配は…ある…起きてるのか?」

 

…寝ていても気配はするが…ここまで濃くは無い…グレイフィアの仕事は疑ってない。つまり自力で起きてきた訳だ。…元々薬に耐性があったのか、それとも…

 

「…それだけ焦りを感じているか…」

 

前者ならまだ良い…だが後者ならば私は兵藤の想いをこれから蔑ろにする事になる…

 

「だがやらない訳にはいかん。」

 

兵藤には悪いが間に合わんのだ…こいつにだけ合わせてはいられん…こいつの実力そのものが伴わない以上これは必須なのだ。

 

「……」

 

そっとドアを開ける…

 

「…ふむ。」

 

ドアの隙間から見える兵藤は身支度をしている様だ…今朝のランニングには少なくとも参加するなと言ってある…この後の修行には参加する気なのか…

 

「…すまんな…」

 

ドアを一気に押し開け、妖力解放をすると即座に兵藤の背後に立ち…

 

「…がっ!?」

 

「…すまん…寝ててくれ…」

 

首に手刀を叩き込み、兵藤を気絶させると同時にドアが閉まる。

 

「……こうやって見ると顔は悪くないのだがな…」

 

念の為完全に気絶している事を確認しつつ目に入った兵藤の顔を見ながら思わず呟く…いくら顔が良くてもこいつの偏執じみた女体への執着が全てを台無しにしている…最も最近は私もこいつも忙しいせいか、あの二人と一緒に行動しているところを見ないがな…

 

「…木場よりは重いな…」

 

気絶はさせたが起きないとも限らない。先日の木場とは違いゆっくり抱き上げるとベッドに乗せる…

 

「…念には念を入れるか…」

 

閉まったドアに向かい鍵をかける…

 

「…何と言うか、まるで夜這いにでも来たかの様だな…」

 

最も今は早朝で、性別的には逆だし、私にその気は全く無いのだが…さてと。

 

「…兵藤は気絶しているが、お前は起きているのだろう…?」

 

ドアにもたれかかり腕を組み、敢えてドライグの名を口にせずそう声をかけてみる…これ以上余計に警戒されたくは無いからな…

 

『やはり貴様は俺の存在に気付いていたか…』

 

気付いていたのではなく知っていた、が正しいが今は言う必要も無いな…

 

「…兵藤一誠の神器に宿る存在だろう?名前は?」

 

『…名を尋ねるなら貴様から名乗るべきでは無いのか?…最も俺は知っているがな…ドライグだ。』

 

「…ドライグ、だな…さて、私はお前に用があったからこの様な場を整えさせてもらった…そっちに行っても良いかな?」

 

『…好きにしろ。所詮今の俺はこいつに宿る神器に封印された存在だ…何も出来ん。』

 

……警戒はされているが話も出来ないという状況はこれで回避された…まずは第一関門突破だな。…部屋にあった椅子を掴みベッドまで行くと椅子に腰掛ける。

 

『…で、この俺に何の用だ?』

 

「…単刀直入に聞く。何故お前は兵藤一誠に力を貸さない?」

 

『……何を言ってる?こいつは神器を使っているだろう?』

 

「違う。確かに兵藤は赤龍帝の篭手を使用しているがそこにお前の意思は介在していない。」

 

『…俺はこいつを認めていない。いや、これからも認める気は無い。』

 

「…何故だ?」

 

……本当は聞かなくても分かっている…こいつが見ているのはその心の強さだ。兵藤の戦う機会を尽く私が奪ってしまった為、こいつが兵藤一誠を信頼する理由が無くなっている事はな。

 

『…こいつは未熟過ぎる…才能も無い。』

 

「…決め付けが早くないか?こいつはまだろくに戦う機会を与えられてないんだ…長い目で見ても良いんじゃないか?…私もそれなりに長く生きているが、それよりも更にお前は長寿だろうに。」

 

『…そういう問題では無い。そもそも俺はこいつが大嫌いなんでね。』

 

「…ふん。ドラゴンの癖に随分人間臭い事を言うじゃないか。」

 

敢えて挑発する…仮にこいつがキレて兵藤の身体を使い襲い掛かって来たら兵藤を傷付けずに止める自信は無いが、この場ではこいつにもう少し語ってもらわなければ先に進まん。

 

『…化け物風情が。この俺を矮小な人間と一緒にするか…!』

 

「…その矮小な人間に使われるのが今のお前だろう?仮にも厄災を起こした存在が落ちぶれたものだな?」

 

『貴様…!』

 

「…怒るなよドライグ。事実だろう?…それにお前は人間を嘗め過ぎなんだよ。…英雄は大抵人間から誕生するものだぞ?」

 

『…気安く呼ぶな。…貴様はこいつが英雄に値すると思っているのか?』

 

「…いや思わん。…そうだな、お前はいつ兵藤の中で目覚めた?」

 

『…こいつがこの世界に誕生した時には朧気ながら意識はあった…が、しっかり状況を認識したのは最近だ。』

 

「…ならば…お前は知っているな?こいつが堕天使に襲われた事を?」

 

『…知っている。無様だったな。歴代でもここまで弱く馬鹿な奴を見た事が無い…何せ襲われた理由が騙されたから、だからな…実際ここでこいつがくたばるのは妥当だとすら思った…寧ろさっさと死ねとすら思った…こいつがくたばれば次の持ち主に俺は宿るだけ…幸い憎たらしい堕天使は俺を使う気が無かったようだしな…それを貴様が邪魔をした…!』

 

「…すまんな…私も知らなければ放置しただろうがこいつは家族の友人だった。助ける理由があったわけだ。」

 

『…理解出来んな、こいつにそんな価値があると?貴様程の者がそう言うのか?しかも貴様の家族は人間だろう?何故それだけの強さを持つ貴様が弱者と群れる?』

 

「…厄災の龍にそう言われるのは光栄だな…だが私は弱い…お前は人間が矮小だと言ったな?人間は強いぞ?私やお前よりもずっとな…」

 

『…何を言ってる?』

 

「…こいつは私の家族を堕天使から守った。…驚いたよ、自分の宿る物を知らず、且つ、まだ悪魔になる前、生身の人間のままこいつは身体を張ってクレアを庇ったんだ…」

 

『…貴様が来るまで一方的に嬲られるだけだったこいつが強いだと?しかも相手は手加減をしていたんだぞ?』

 

「…大切な者の為に例え勝ち目が無くても強大な敵に立ち向かえる強さを持つ者…それが人間だ…お前には弱い者が身の程も弁えずただ吠えてる様にしか見えないだろうが、同時にそれが強さでもある。」

 

『…分からん。貴様が言ってるのは単なる綺麗事だろう…強ければ生き、弱ければ死ぬ…それが自然の摂理の筈だ。』

 

…本当に人間臭いなこいつ…歴代の所有者達がこいつに影響を与えているのか?

 

「…それが全てじゃない。それでも抗い、チャンスがある限り何度も挑み、そして最後には強大な存在を打ち破る…それが英雄と呼ばれる者達だ。…私は信じているんだよ…こいつにも英雄としての資質は今のところ感じられないが、そうなれるかもしれない強さがある、と。」

 

『……』

 

「家族を守ってくれた贔屓目もあるかもしれないがな、だからこそ私はこいつを買っているんだ。」

 

『…成程な。ならば証明して見せろ。…こいつにそれだけの強さがあると言うのならば。』

 

「…どうしろと?」

 

『…今だけ…今だけ俺がこいつに全面的に力を貸す。お前はこいつと戦え。それでもし、こいつがお前に勝てるならば…こいつを認めてやっても良い。』

 

…漸くここまで来れた。この展開は私の望むところ。この状況で必要だったのは兵藤一誠がドライグに認めて貰う可能性を作る事。

 

「…良いだろう。だが知っての通りこいつはまだ未熟。私は多少手を抜かせて貰うぞ?」

 

『…それでいい…だがお前がわざと負ける様なら…』

 

「やるからには必要以上に手は抜かん…そうだな、こうしよう…もしこいつが本気の私に一撃でも入れられたら…その時はこいつの勝ちだ…それで良いか?」

 

『…お前の思惑に乗ってやる…ではこいつを叩き起すぞ?』

 

「…分かった。」

 

…兵藤、お膳立てはしてやった。後はお前次第だ…私を失望させてくれるなよ?…勝手に発動した篭手で殴り付けられ、文字通り叩き起された兵藤を見ながら私はそう考えていた…

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