廊下を歩く…来たか。
「…木場、気配を消すのが上手くなったな…だが、攻撃の瞬間に殺気が漏れてる。」
近くの教室のドアを破壊して飛び出して来た木場の剣を腕で受け止め、弾く。
「…くっ。もっと努力します…!」
「…その意気だ。お前の強みはスピードとその剣技だ。腕力は多少足りないが十分に補える範囲だ。それはそうとだ…」
「…そんなっ!?」
背後から殴りかかって来た小猫の拳を振り向きざま、手で掴み投げ飛ばす。
「…私が木場に集中している間に奇襲をかけてくるのは良いが、お前も殺気が漏れてる…いきなり気配やら殺気を消せと言われても分からんだろうがこういうのは経験の問題だ、必ず分かる時が来る。」
「「…はいっ!」」
「…良い返事だ。では…!」
床に叩き付けられた小猫の腹を踏み付け、木場の首に肘を叩き込む。
ダメージが許容量を超えたのだろう…二人の姿が光に包まれ、消える…
私がグレイフィアに頼んだのは予行演習の準備だ。私を敵対勢力に見立て、実際のレイティングゲームで使う空間に入り私とリアスたちが戦う。…グレイフィアからは苦言を言われたが本番の空気を体験しておくのは悪くない筈だ。
「…さて、時間内迄にあいつらは私に勝てるのか…面白くなって来たな…」
あいつらの勝利条件は制限時間である四時間の内に私に三発分攻撃を当てる事。私の勝利条件は生き残る事だ…あいつらは何をしても構わないし、やられても休憩後にまたこの空間の何処かに転送される…要するにいくらでもチャンスはある。
「……」
時計を見る…既に一時間が経過していた。
「…失望させてくれるなよ?」
私はまた廊下を歩き始めた…
私の記憶が曖昧だから若干の勘違いがあったが、特に問題は無い…記憶違いの内容はレーティングゲームの異空間の規模だ…旧校舎では無く、駒王学園全体がフィールドとなる。
「…広いな…さてと。」
グラウンドに出れば頭上に気配…思い切った事をするな。
「…兵藤、その高さからそのスピードで落下してくるなら確かに気配を感じても手遅れかもしれないが…」
「げっ!?」
私はその場から飛び退く…校舎の屋上から飛び降りた兵藤の拳が地面に叩きつけられ、一帯が砂煙に覆われる…
「…くそっ!何処「……」んぎっ!?」
兵藤の背後に立った私は兵藤の襟を掴み近くの木に向かって投げ付ける…
「うわぁ!?」
兵藤の当たった木はへし折れ、更に…
「…きゃあ!」
木の影に居た朱乃に当たる…近付いて行けば二人とも気絶していた…二人が転送される…
「…大丈夫か?こんなんで?」
未だに私は一切ダメージを受けてはいない。先が思いやられるな…