「さて、次は「もういい。」……まだ残っているが…」
「これ以上は無駄だ…残りの三名に関しては本人と直接話した方が早い…そもそも本来であれば兵藤以外は専門外だ…心の問題に関してなら大人としてアドバイス出来なくも無いがな…」
……完全に能力頼みの遠距離戦闘を行う二人に関して私から戦術的にこれ以上言える事は何も無い…それに…
「私の知る歴史との違いなら尚のこと直接見た方が早い…どうせ当分は修行をつける羽目になるんだ…」
しかしこれ以上何を教えたら良いものやら…頭が痛くなって来る…
「…成程。ではこれで…?」
部屋のドアからノックが聞こえた…誰だ?こんなイベントに覚えは無いが…サーゼクスがこちらに視線を向けて来たので首を横に振る。
「…取り敢えず私が出るにゃ。」
「…ああ、頼む。」
そう言ってドアへ向かう黒歌…その間に私は黒歌にずっと抱き着かれて居て強ばった腕を回し解す…やれやれ…
「誰にゃ?」
「俺です…兵藤です…」
「イッセーちんにゃ?」
兵藤?どうしたんだ?黒歌が一応サーゼクスの方を見れば黙って頷いた…まあ私からも特に断る理由は無いが…
「待ってるにゃ、今開けてあげるにゃ。」
黒歌が念の為かけられていたのだろう部屋の鍵を外し、ドアを開けた。
「どうしたにゃ?私たちもそろそろそっちに行こうと思ってたけど?」
「…あっ、いえ、俺がと言うか…その…」
兵藤が言い淀む…何だ、一体?
「…歯切れが悪いにゃ…はっきり言うにゃ。別に私たちもよっぽどふざけた話じゃなきゃ別に怒ったりしにゃいにゃ。」
「…それがその…さっきライザーの奴がやって来て…思わず身構えたんですけど…何か俺たちでも部長でもなくてテレサさんに用だ、とかで…」
「……ライザーが…テレサに?」
どういう事だ?…何だ?この悪寒は…
「…一応部長が用件を聞いたんですけど良いから会わせろ、の一点張りで…取り敢えず俺が代表でここに…」
「そう…。」
黒歌が私に視線を向ける…
『どうするの?』
『…会うさ。あんな奴でも名家の人間だ、まさか魔王のいるこの場で暴れ出す程分をわきまえない、という事は無いだろうしな…』
『…そっ、分かったわ…』
「…分かったにゃ。なら、入っても「いや…それがその…二人だけで話したいとかで」……はっ?」
黒歌から底冷えのする様な声が聞こえた…
「どういう事?」
「そっ、それが…俺にも良く…」
「とにかく駄目よ。そんなの認められるわけ「構わない。会おう」テレサ!?」
「良いのかい?向こうは仮にも魔王である私を蔑ろにして君を指名してきてるんだ…何なら私の口から断っても「問題無い。会うだけだ…そんなに心配するな」…テレサ…」
「呼ばれたのは私だ…そこまでお前に面倒はかけられんよ…」
私は席を立つ…「テレサ…」
「…何だ、グレイフィア?」
「気をつけて…」
「…ああ。」
ドアに向いて黒歌の横を通…おい…
「離してくれ黒歌「嫌にゃ。」おい黒歌…」
黒歌が私の服を掴んでいるので動けない。
「どうしたと言うんだ?大丈夫だ、ただ会って話を「嫌にゃ!」黒歌…」
やれやれ…私は黒歌の頬に手を当てた…
「……嫌な予感がするにゃ。」
ああ…正直私も感じてるよ…いや、多分この部屋にいる全員が感じているのだろう…
「…大丈夫だ、私を信じろ。」
私はもう片方の手で黒歌の指を一本ずつゆっくり開いて行った…どれほどの力を込めたというのか、黒歌の爪が私の服を貫通し黒歌の手に血が滲んでいた…全く…馬鹿な奴だな…
「…グレイフィア、大した事は無いと思うが一応こいつの手当てを頼む、じゃあな、黒歌…行ってくる…」
私は兵藤がドアから離れるのに合わせ、部屋の外に出るとドアを後ろ手に閉めた。
「…さて兵藤、悪いがライザーの所まで案内して貰えるか?」
「はっ、はい!こっちです!」