兵藤の案内で駒王学園旧校舎の廊下を歩く…兵藤がかなり緊張している様だ…そんなに厳しくした覚えは無いのだが…黙っているのもなんだし、少し話でもしてやるか。
「…しかし意外だな?」
「えっ?」
「いや、お前がこうしてライザーの為に私を呼びに来た事だよ。」
「…すみません…無理を言って…」
……いや、本当に原作と違い過ぎるだろ…何でこんなに卑屈になるんだ?
「…気にするな、呼び出したのはライザーだろ?お前がそんなに気に病む事は無いさ…そもそも用があるなら私の所へ直接来れば良いというのに「いや、難しいんじゃないですかね?」…ん?」
「実はあいつ、妹に支えられながら俺たちの所に来まして…どうもテレサさんにボコられたのと更に俺の攻撃の影響で再生が間に合わなかったらしくて…」
「……成程。そもそも私のせいだったか…すまなかったな…」
「いっ、いえ!それなら俺のせいでもありますから…」
まさかそんな状態になってるとは…やはりやり過ぎたか…?…いや、奴には良い薬という気もするが…
「…まあ…そんな状態ですから実を言うとこっちも毒気抜かれちゃいましてね…頭まで下げられましたし…」
「……」
そこまで劇的に変化があるとはな…
「それで…さっきの質問の答えですけど…部長をライザーのいる部屋に行かせることになるのも抵抗があったし…そうなると直ぐに動けるレベルの軽症の奴は俺しかいませんし…それに…」
「それに?」
「…ライザーの気持ちも…まあ、男として少しは分かる気がしたんで…」
「どういう意味だ?」
「…詳しくはライザーの奴に直接聞いてください…元々俺の推測でしか無いですし…どちらにしても俺から口に出すわけにはいきませんから…」
「…来てくれたか…あー悪いな、呼び出して…」
「構わんさ…こういう事情なら私にも責任がある…」
「取り敢えずかけてくれよ…まっ、つっても俺の部屋じゃないけどな。」
私はベッドに身体を横たえるライザーの向かいに置かれた椅子に座った…
「…で、何の用なんだ?…身体が動かないなら何も、今でなくても良かっただろ?…まあどうしても今恨み言が言いたいとかなら「いや、そういう事じゃ無いんだ」ん?」
「これは報いさ…アンタやリアス、そしてその眷属たちの力を侮った…その結果がこれだ…納得こそすれ、俺がアンタやリアスたちを責める事は絶対にねぇ。…もちろん、これは俺の眷属も共通しての意見だ…」
「…ますます分からんな…そういう話じゃないなら何だ?」
「どうしてもアンタに今この場で言っておきたい事が有ってな…」
「…ここまで来たんだ…聞いてやる、何だ?」
「…俺はアンタに本気で惚れた。…俺と添い遂げて欲しい。」
「はっ?」
何を言ってるんだ、こいつ…
「…言っておくが…これは嘘でも気の迷いでも無いぜ?俺は本気だ。…まあ眷属たちを手放す気は無いがな…俺が一番愛してるのはアンタさ…」
「虫のいい話だな…まあ、しかしだ…仮にもし、お前がこの場で眷属たちを私の為に放逐するとほざいていたら…間違いなく私はお前をさっき以上の力で殴っていただろうよ。」
女として見ればクズの論理だろうが…私一人を愛するために仮にも全てを捧げて着いてきた眷属たちをあっさり放り出すようなら最早ただの畜生だ。それこそ塵芥にも劣る…
「…さて、私の返事だが…あの時と一緒だ…他を当たれ。」
「…やっぱ振られちまったか…何せ出会いも最悪だったからな「勘違いするな」ん?」
「もしも今回の様な出会いじゃなくても私はお前を選ばない…お前に教えといてやるよ、一般的に気が多い男を選ぶのは極小数なんだよ…誰もがお前を選ぶと思わない事だ。」
「…肝に銘じて置くさ。…まあ…でもさ、想うのも、アタックするのも俺の自由じゃないか?気に入らないならアンタが俺を袖にし続けりゃ良い。」
「…好きにしろ…今回のゲームの結果にも、お前との個人的な賭けの内容にも…そんな条項は含まれてない。」
「…良かったよ、言わなくて。…まさか俺の方がアンタに本気になるなんて思ってもみなかったからな…本当にツイてるぜ…」
「…但し節度は守れよ?…約束出来るなら…二人で出かける位はしてやる。」
「マジか?…俄然やる気が出て来たぜ…」
…そう言って獰猛な笑みを浮かべるライザー…やれやれ…嫌な予感の元はこれだったのか…また厄介事を背負い込んでしまったな…
「…さて、私はもう帰る…あー、そうだ…携帯位は持っているんだろ?…私の番号だ…落ち着いたら一度連絡して来い…まあ暇だったら出てやるよ。」
手帳に番号を書くと千切って渡す…何もここまでしてやらなくても良い気はするが…まあ今回、気に入らない相手とはいえ、やり過ぎたと思わないでも無いからな…これぐらいなら良いか…
「…ありがとう。今度連絡させて貰うよ。」
そう言って爽やかな笑顔を浮かべるライザー…
「止めろ。寒気がする…」
「…参ったな…これで大抵の女は堕ちるんだが…やっぱアンタ手強いよ…本当に堕とし甲斐があるぜ…」
「生憎私はお前が嫌いだがな…まっ、精々頑張れ…じゃあな。」
私は席を立った。