「よぅ、テレサ。」
「…ああ。…そう言えば顔を合わせるのは久しぶりだったか?アザゼル?」
ワゴン車を私の横に停め、助手席のドアを開けて来るアザゼルにそう返しながら私は車に乗り込む。
「そういやそうだったか?…つっても結構頻繁に連絡は取ってたからそういう気もしねぇなぁ…」
「……単純に考えても一年は顔を合わせてないと思うのだがな」
「何だかんだ昔より忙しいからな…戦闘なら歓迎だが、実際は書類仕事ばかりで嫌になるぜ…」
「……もし今…この場でお前が暴れたら少なくとも人間界は影も形も無くなるだろうよ。」
実際問題こいつが暴れ出したら私では止められまい…
「……今更こっちから喧嘩ふっかける気はねぇよ。…最も抑止力は必要だと思ってるがな。」
「渦の団、か?」
「そういうこった……暗い話は止めるか。さて、何処行きたい?」
「……お前がエスコートしてくれるんじゃないのか?」
「……そう思ったんだが…まともなコース決める時間なくてよ…それにお前の場合、サプライズで堅苦しい店予約しても下手すりゃ店着いた瞬間帰るだろ?」
「……まあな。」
予約したアザゼルには悪いがそんな高い店を奢ってもらう謂れは無い。最も…
「…ホントもったいねぇよなぁ…お前今でも綺麗なんだから着飾ったら絶対に映えるだろうによ…」
「……身体に醜い傷の有る私に露出の高い装いをしろ、と?」
「…いんや、普段は露出控え目な奴が良い。…俺はお前の肌を他人に見せたくねぇ。それは二人っきりの時、部屋でじっくり見てぇ。」
「……本当に物好きだよ、お前は。」
……まあ、一回位はこいつに付き合うのも悪くないかもしれん…。
「それはそうと何時出発するんだ?」
「ん。」
「何だ?…あっ…」
アザゼルがミラーを指差すので見れば見覚えのある三人が…
「…連れて来ても良いぜ?多分こうなるだろうと思ったからこいつにしたのさ。」
そう言ってアザゼルがダッシュボードを指で叩く。
「…すまんな、行ってくる。」
私は車のドアを開けた。
「よぅ…久しぶりだな、クレア?」
「…はい、アザゼルおじさん…」
「…で、何でお前らここにいるんだ?」
……件の三人とはクレアに黒歌、それにアーシアの事である…一応三人には何も告げなかったんだがな…
「…勘にゃ。何となくアンタの事が気になったから後をつけたにゃ。」
「…私は面白そうだったから…ごめんなさい。」
「わっ、私は二人を止めようと思って…!ごめんなさい、テレサさん…」
……言い訳はともかく…きちっと謝っているし、取り敢えずクレアとアーシアに関しては良い…ただ…
「…お前は他に言う事は無いのか?…黒歌。」
「無いにゃ!私はアンタが心配だっただけにゃ!」
……まあ野次馬根性でこんな事をするタイプじゃないしな、こいつは。
「まあいい…取り敢えずお前らも来るだろ?何せアザゼルが今から私たち四人に何でも奢ってくれるそうだからな。」
私は運転席のアザゼルの肩に手を置いた。
「…構わねぇが飯だけな。そもそも今日は俺もあんま時間ねぇからな」