昼食を食べ、本を読み、夕食…そして、部屋に戻らないオフィーリアと敢えてどうでもいい話をしながら生徒がいなくなる時間まで待つ…
「オフィーリア。」
「何?」
「今日が最後で良いな?」
「…ええ…本当は分かってたわ…意味は無いって事くらいね…」
「…なら何で今日まで続けた?」
たった二週間で今更私たちの実力が上がるわけは無い…あいつなら伸び代があるかもしれんが…私は既に用意されたカードで勝負するしか無いし、それはオフィーリアも同じ事。…他に私たちに出来るのはルールが無い、若しくは私たちには守る必要が無いと意識するだけ…当日まで何が起こるかはっきりとは分からない今、少なくとも二人で戦う理由が無いのだ…なのに…
「私ね…ずっと戦いたかったのよ、本物の貴女と…あの子の身体だから傷付けたくないと思ってはいても…抑えきれなくて…」
「そうか…」
実は私が本当にこいつや、あいつが思う本物かは分からないのだがな…本来私の意識はあの世界で戦士となったクレアと共にある筈…本当に私はテレサなのだろうか…
「…それで?ここでやるのか?」
「サーゼクスと話は着けてあるわ…冥界でやりましょう…」
オフィーリアがグラウンドの隅を指差す…魔法陣…
「…やはりお前も魔力持ちか。」
「ええ…でも、貴女たちと同じよ…私もせいぜい転移が出来る程度の魔力しかない。」
魔法陣に近付くと木の影から見覚えのあるメイド服の女…
「疲れてるのにごめんなさいね…」
「ここで暴れられるよりマシですから…久しぶりね、テレサ…いえ、今の貴女は初めましてかしら?」
「そうなるな…だが、あいつもどうせこの場で話を聞いてるし、記憶は共有しているからな…どっちでもいい…テレサの為に聞いておこう…三人はどうしてる?」
「最近は三人とも眠ったままです…食事も取ってませんから衰弱が酷いですね…やっぱり貴女は別人なのね…」
「ん?」
「テレサなら…三人の状況を聞けばきっと…取り乱すから…」
「そうだろうな…」
「ごめんなさい…貴女に何かを求めても無駄よね…」
「そうだな…さっさと始めてくれないか?」
「ええ…」
魔法陣が光り、私とオフィーリアは足を踏み入れる…
「冥界の山中に転移しました…一応結界もかけておくのでご存分に。」
グレイフィアが魔法陣に入り、消える…
「…始めましょうか。」
「ああ。」
オフィーリアと向かい合い、構える…
「見届け人がいないのが残念だけど…」
「必要無いさ。当事者である私たちが結果を知っていれば良い。」
「…そう言えば私たち、どうやって帰るのかしら?」
「今更だな…だが、今はどうでも良いだろう?」
「涼しい顔して…貴女も乗り気じゃない…!」
「本当に戦うのが嫌いなら戦士なんてすぐに辞めていたよ!」
今の様に後腐れ無く、命令でも無く、心置き無く戦えるシチュエーションすら嫌いなら…すぐに自分の首を落としてたさ!
「やる前にもう一つだけ聞きたいの…良い?」
「何だ?」
「貴女に想いを告げようとした子は要するに皆、興奮し過ぎて覚醒したのよね?」
「そうだな。」
「貴女…止めなかったの?」
「…止めた事は無い…ただの一度も。」
「どうして?」
「分からなかった…私だって信じたかったんだ…慕ってる相手にただ、秘めた想いを告げるだけで化け物になる程、私たちがつまらない生き物だと思いたくなかった…」
「それは言い訳ね…貴女が止めてれば数人、いえ、最後の一人くらいは救えていた筈よ。」
「それは分からん…結局止められなかったかもしれない…もう良いだろ?お前には関係の無い話だ…」
「そうね…私が口を出して良い話じゃなかったわ…ごめんなさい…それじゃあ始めましょう!」
妖力解放し、漣の剣も解禁し、向かって来るオフィーリアを見据える…私が本気を出して良い相手か…今一度見極めさせて貰うぞ、オフィーリア。