あまりにも暇な為、用務員の仕事を出来ないかサーゼクスに確認すると、とんでもない事実を聞くことになった…
「体調を崩した私は休みを入れている、という事になっている…それは良い…だが、代わりはいないまま、業務はそのままになっている、は不味いだろ…」
用務員室に顔を出してみれば書きかけの書類や白紙の申請書類が乱雑に置かれている…いないのだから別に保管すれば良い物を…
「半人半妖としての身体能力なら大抵の事は出来るから、逆に代わりがいなくても仕方無いんじゃない?…下手すれば睡眠や食事も削れるからね、私たちの場合。」
書類を書く手を一度止め、向かいに座る奴に一言言う事にする。
「オフィーリア…何もお前まで付き合う必要は無かったんだぞ?」
「部屋で一人でいるのも暇なのよ…寝るのも飽きたし。」
最もこの量を一人で片付ける事になっていた事を考えればありがたいのは確かだがな…オフィーリアのサインでは書類を提出出来ないが、書類を整理するだけでも十分役に…いや、待て…
「なぁ?」
「何?」
「お前、私のサイン真似られるか?」
「どれどれ…下手では無いけど…結構癖があるのね…出来るか、出来ないかで言えば出来るわよ?…でも何で分かったの?」
「勘。」
「…貴女のそれはもう一種の能力か何かだと思うわ…」
「まあ別に無理にしてくれと言うわけじゃないが…」
別に私一人でも片付かない事も無い…恐らく今日一日かければ置いてある書類に関しては終わるだろう…ただ判子押すだけの書類もあるしな。
「別に良いわよ、やってあげる。」
「助かる…そう言えばお前、こうしてしばらくこっちにいたわけだが、自分の仕事は良いのか?」
「ん?とっくに辞めてるわよ…私表向きはフリーターだったの…ちなみに身分の証明が出来ないから雇ってくれるとこ全然無くて…まあこの身体は食費を削れるし、体力は有り余ってるから選り好みしなきゃかなり良い条件の仕事が見つかったけど。」
「成程…考えてみれば私の方が可笑しいわけか。」
「はぐれ悪魔狩ってる中ではね、どちらにしろとっくにこの町はハンターたちは見切りをつけてるでしょ。私のせいとはいえはぐれ悪魔が来なくなったんだし…それで私たちの話だけど、客観的に見れば人間でないどころか存在しない筈の種族なのに表の仕事で稼いでる私たちが異常なのよ…貴女に至っては偽物とはいえまともな身分付き、しかも高給…考えたら少しムカついて来た。」
「私、というかあいつが雇われたのはたまたまサーゼクス…現魔王と古い付き合いだったからだ。」
「私も戦争時代にこっち来てれば違ったかしら?」
「…お前の場合、何処の勢力とも敵対する未来しか見えんな…その場合同種族のあいつも敵対する事になっていただろうが…」
「その癖私と貴女…じゃない、あの子は組まないだろうから泥沼の状況…」
「私なら組めたかもしれないが、あいつとは組めないだろうから、そうなるな…」
「私、来たのが終わってからで良かった。」
「そもそもあいつがここに来たのは数百年は前だからな…文明の進み具合もお察し、だ。」
「うん、間違い無く終わって、人類社会が発展してからで良かったわ…今となっては恩恵を受けてるから…ちょっと文化レベル落ちるのなんて考えられない。」
「お前は順応が早かったんだな。」
「まあね…最初は苦労したけど…」
そうなると元々そういう世界にいたのに、身体がクレイモアになってしまい、時間が便利にはなる前に遡ったとはいえ、記憶の中にある文明レベルに時代が追い付いてから、本人がその便利さに再び慣れるまでに十年以上かかったあいつは何なんだろうな…