「やっぱり私は納得出来ない…貴女は勝手に自分は終わったと思って納得してるけど…私は納得出来ない…何か…考えましょ…絶対に何か方法がある筈…」
「お前がどう思おうと勝手だがな…私はもう生を望んでないんだ「それは嘘」……何?」
「貴女今日、ギャスパーの部屋から出て来たでしょ?それも凄い急いで…」
「……それがどうかしたか?」
「ここまで言って分からない?私、全部見てたのよ?」
「……」
「廊下の角に潜んだ貴女は楽しそうに時計を見てた…それからしばらくしてギャスパーの部屋から凄い音が鳴って…ギャスパーの慌てる声も聞こえて来た…貴女笑いそうになってたでしょ?」
「それが…何だと言うんだ…」
「生きる事に大層な理由なんて要らない…大事なのは貴女がどう思うか…どうしても理由が欲しいなら何だって良いのよ?…美味しい物をお腹いっぱい食べたいとか、仕事を頑張りたいとか…幸せを感じ取れる事なら何だって理由になるの…そんな、傍から見たら下らない事だって生きる意味になるのよ?」
「……」
「答えてテレサ…貴女はもっと普通に笑ってみたくない…?ちゃんと生きて…そんな取って付けたような笑顔じゃなくて…自然に笑ってみたくはない?」
「……そんな事は無い…と言えば嘘になるな「じゃあ!」黒歌、お前は残酷だ「えっ?」無いんだよ…方法なんてな。」
「…ねぇ?その身体は本来貴女の身体なんでしょ?あいつの事を考えてくれるのは嬉しいし、あいつに戻って来て欲しい私が言う事じゃないけど、本来身体を借りてるあいつに遠慮して身を引く事なんて「ああ、そこからか」えっ?」
「あいつには最近夢という形にはなるが会う事が出来てな…その時にあいつには説明したんだが…誤解なんだよ…私の言い方が悪かったんだ…この身体はな、私ではなく、あいつの身体なんだ…だから、立場上本当は身体を借りてるのは私の方なんだ…」
「えっ…?…でも「あいつに私の身体、という言い方をしたのはそれであいつを奮起させる為だ」そんな…」
「自惚れになるがあいつと初めて会った時の出来事はきっと強烈なビジョンとして焼き付いた筈だ…だから、あいつから事細かにその時の事を聞いてる筈だな?…思い出してみろ、私は身体を返せとか、渡せとか言っていたか?」
「言ってない…貴女は消えようとしてた…」
「その時点で私も消えるつもりだったし、消えた物だと思っていた…どちらにしろ考えてみろ、身体の本来の持ち主では無い私は何れ身体の方から拒絶される…私が何を思おうと消えるのが必然だ。」
「そんなの…!絶対に可笑しい…!」
「何故、そんなに私の事を気にする?」
「あいつから貴女の話を聞いて思うところはあったの…そこにこうして出会ってしまったら…放ってなんかおけないじゃない…!黙って消えるのを待つなんて絶対に出来ない…!」
「同情か?一介の猫又如きがこの私に?…それが私に対する侮辱だと分かっているのか?」
「睨みつけたって怖くないわ…同情でも良い…貴女がそのまま消えるのを認めたくなんてない…それに多分、あいつが戻って来れない理由の一つが貴女だから…」
「何…?」
「あいつが戻ったら…今表に出ている貴女の意識は眠りにつくか、消えてしまう…他にも理由はあるだろうけど…きっとそれが一番の理由なんだと思う。」
「……黒歌、お前の気持ちは分かった…正直嬉しく思う…だが、何度も言うが無理な物は無理なんだ…」
「そんな事無い「そんな事あるんだよ…諦めて…ん?すまん…電話だ…出るぞ」…うん。」
オフィーリアから電話が来て…私はこの話題から逃げられた事に安堵しながら電話に出た。
「もしもし?どうしたんだ?」
『もしもし?それがね…あの二人の内の片割れなんだけど…脳天に拳骨を落としたら妖力解放こそしなかったけどちょっと力入れ過ぎちゃったみたいで…起きて来ないの…一応救急車を呼んだけど、他に私がしなきゃいけない事ある?』
「取り敢えず呼吸はしてるんだな?」
『ええ…』
「なら、対応としては良い…場所が頭だからな…余程苦しそうな体制じゃない限りは救急車がやって来るまで動かすな。…お前の対応だが当然一緒に救急車に乗れ、基本は救急隊員と医者の指示に従うんだ…その後はサーゼクスに連絡して指示を仰げ。」
『分かった…ごめんなさい…黒歌と大事な話、してたんでしょ?』
「緊急事態なんだから仕方無いだろ。…とにかく後はサーゼクスに聞け…心配するな…そんな事で死ぬ様なタイプじゃないからな。」
『分かった…本当にごめんなさい…』
電話を切り、携帯を置く。
「にゃにかトラブルにゃ?」
「ん?ああ…あいつから聞いてないか?例の問題児三人…いや、最近は二人か…主に更衣室の覗きを常習的にしてる連中なんだが…」
「あー…確かに聞いた事あるにゃ…それで?」
「オフィーリアにはあまり容赦せず制圧する様には言っていたが少々やり過ぎてしまったようでな、一人が昏睡状態に陥ったらしい…」
「……大丈夫なの?」
「大丈夫だと思うけどな…攻撃を食らったのが頭らしいから万が一の可能性はある…一応救急車に一緒に乗車してその後の対応についてはサーゼクスに指示を仰げと言ったよ。」
「それなら、サーゼクスに言わなくて良いの?」
「あいつが自分でかけるだろ。今、私が下手にかけると電話相手の競合になるからな…現場にいるあいつからの電話がサーゼクスに届かなかったら不味い。」
「確かに…」
オフィーリアとその生徒には悪いが助かった…お陰で面倒な話を逸らす事が出来た…