「…という事なんだが…」
旧校舎を出て、人目につかないところで私はサーゼクスに電話をしていた。
『……彼女は大人しくしてても問題の方からやって来るタイプなのかな…?』
サーゼクスの電話口でもハッキリ分かるレベルの疲れた声が聞こえてくる…その嘆きも分かる…あいつでさえ、ここまでの問題を立て続けに起こしてはいない…
「…奴の事を私に聞かれてもあいつの記憶の中でしか知らんよ…戦士としての世代が違うからな…ただ、一般人との関わりが比較的少ない覚醒者狩り専門に回されていた訳だから組織でも問題児扱いだったのは確かだろう…」
戦士の成れの果てである覚醒者は妖魔と違い、戦士としての経験を持っている為、並の戦士では荷が重い。…しかも戦士時代に強かった奴は往々にして、覚醒者になった時も当然強い…だから組織の方も全滅させられるのも覚悟で一桁台の戦士を筆頭にチームを組ませる。それも覚醒者一人相手にだ…リスクの割にリターンはほぼ無いに等しいのにそこまで躍起になるのはクレイモアが常に妖魔を遥かに超える化け物になる可能性を孕んでいる事実を一般人に隠したいからだ…
クレイモアが味方よりも敵になる可能性の方が高いと知られてしまえば…例え、妖魔への対抗手段が基本的にクレイモアしか無いとしても面倒な事にはなる…ちなみに一般人と下位の戦士には覚醒者は異常食欲者、つまり単純に強い妖魔の個体としているが、怪しむ奴は出て来る…だから報酬が出なくても事前に組織の方で、覚醒者を探させ、討伐に向かわせる…
『…組織は事実の隠蔽の為に基本、一般人に存在が露見する前に捜索し、討伐に向かわせる…いるのがバレていないので基本的に倒した際の報酬は当然出ない、にも関わらず実力のある貴重な一桁ナンバーの戦士をそれ専門にするのは確かに損にしかならないね…つまりそうしなければならない程一般人との関わりを出来るだけ無くしたいと考える程に厄介な性格という事か…』
「そういう事だ。」
『……改めて説明されると本当に関わりあいになりたくないタイプだね…まぁ君たちの影響か、ある程度丸くはなった様だが…』
「戦う事に積極的にならなくなっただけさ…今でも面倒なタイプである事には変わりない。」
『その様だね…ん?…そうか、ありがとう…テレサ、今確認が取れた、彼女はあの少年の時と同じ病院に運び込まれた様だ…』
「病院での対応はどうなってる?」
『……オフィーリアは昏睡状態を装っている上に頭を打ってるからね、検査をするのが当然の判断だが…幸い、病院内にいる我々の関係者が身内が来るまで待った方が良いと言う方向性に持って行ってくれている。』
「つまり、私たちが行けば問題無いと『いや、今回は君は残った方が良いだろう』ん?」
『前回の時、敢えて記憶の改竄を甘くしただろう?行けば向こうの医師や看護師は当然中身はカバーストーリーではあるが君の事もオフィーリアに続いて思い出す…君たちの身分はこちらもかなり無理をして用意しているからね…何処から怪しまれるか分からない…』
「…行った先で素性を怪しまれて調べ上げられると面倒だから一応身元のしっかりしたお前らだけの方が都合が良い訳か。」
『そういう事だね…すまない…』
「謝らなくて良い…私もその方が楽だ…すまないな、面倒をかける…」
『いや、君のせいじゃないからね…取り敢えず私に任せてくれ…何とかなると思う。…では、失礼するよ。』