「それでね…アミちゃんは…」
私に向かって、あいつも何度も聞かされただろう自分の友達の事を笑顔で説明する、嘗て短い間とはいえ、共に過ごした少女に似ているが、私の知る彼女より少し幼い風貌をした少女…その声は私の知る彼女より高く、何より聞いていて、とても心地好い…知っている話であっても、聞いていて苦では無い…寧ろもっと…もっと…ずっと…永遠に聞いていたい…
そう思ってしまう…言葉では決して言い表せない得体の知れない何か…これは…抗えない…癒し…違う…これは毒…心に傷がある者にとっての毒…その壁を溶かしていく甘い毒だ…
彼女から私は、すぐ離れるべきだったのかもしれない…だが、最初の言葉…彼女から発せられた言葉のせいで私はその場を離れたくなくなってしまった…
アーシアは私を見て、つい、あいつと混同して私に話しかけ、私の反応が思わしく無かった為、気まずげに黙ってしまった…それが普通だ…中身が違うと言われても理解出来る訳が無い…黒歌でさえ、私の事を見ようとしつつ、時折私の中にあいつを見ている…だが、三人の中で一番幼いクレアは私を見てこう言った…
『初めまして!私はクレア…貴女の知ってるクレアじゃないけど私もクレアっていう名前なの!』
彼女は戸惑う事無くこの一言を笑顔で私に言い放った…彼女はこの場にいるのがあいつじゃなく、別人である事をしっかり理解し、私個人をきちんと見ていた…
「あっ、ごめん…私ばっかり喋っちゃった。ねぇ、テレサの事も教えて欲し…あれ?」
クレアが私の顔の前に手をかざし、上下に動かす…何を、している、んだ…?
「テレサ眠い?疲れちゃった?」
「そう、だな…そうかもしれない…」
言われて気付く…最近オフィーリアの件で色々あって疲れていたからなのか…それとも…
「テレサ。」
…彼女の声が…私に…とって…あまりにも…心地好すぎるから…なのか…
「すまない…私は…もう休む…明日…また話そう…」
「うん。また明日、だね。」
眠気に抗えず、その場に横たわる…床から私の頭が持ち上がった…何だ?…その頭が柔らかい物の上に乗った…
「おやすみテレサ。」
頭の上から声が聞こえる…髪を通る柔らかい手が…とても…そのまま私の意識が沈んで行くのが分かった。
『テレサ。』
声が聞こえる…私は目を開けた
「…お前か。」
あいつが私の前に佇んでいた。
「…一つ言わせてくれ。良くお前、彼女といてまともでいられるな。」
『まともじゃないさ…今なら認める事が出来る…私はクレアに依存している…昔からな。』
「……」
こいつはそれを認める事の意味が分かっているのだろうか…?最も、私も今は彼女の膝の上で寝ているのだから何も言えないがな…
『じゃあな…私はまた眠る…クレアたちの事を頼むぞ?』