黒歌とクレアは勘が良い…だから、私が部屋を抜け出したのはバレているだろうと思って身構えながらドアを開けてみれば二人は普通に寝ていた。
……寝てるな。
『…先の一件、何だかんだ神経を使ったんだろうからな…疲れてるんだろう…』
……寝るか。全く…拍子抜けしてしまったよ…
私は毛布を掛け、床に雑魚寝する黒歌の横に立ち、剣を…
「……」
私は剣を布で包み、押し入れにしまい込んだ…そのまま床に横になった…何だ、硬い床の上なら寝れるんじゃないか…そのまま目を閉じる。
『良いのか?剣を置かないで?』
……もう覚悟は決まってる…仮に、二人のどちらかが私の首を取りに来ようともう気にせん。
『そうか…』
そして私は眠りに落ちた…
翌朝、三人が朝食を作るのを眺める…特に変わった様子は無い…ここ何日かと大して変わらん光景だ。
「ボーッとしてないで皿ぐらい並べて欲しいにゃ。」
「…ん?ああ、分かった。」
本性を知っている為、今は取って付けた様にしか感じられない黒歌の猫口調に相変わらず違和感を感じつつ、指示された皿を四人分並べる……女四人はこのテーブルだとギリギリだな…ここにお前とオフィーリアが加わるんだな…テーブルを買い替えるべきか…
『それよりいい加減新しく住む部屋を探した方が良いかもしれないな…』
……そんなに金あるのか?
『使い道無いからな…』
四人で食事をする……全く昨日の事を引きずってる様子が無い…クレアの前だから、では無いらしい…私にも二人は何時ものテンションで話を振ってくるからな…これは、やはり…
『二人は昨日の一件をあくまで日常の一コマとして流した、という事だろう…』
……二人は最悪死んでいたんだがな…何でこうもあっさり切り替え出来るのか…
『…自分が死んでもクレアが幸せなら問題無いからだろう…そもそもお前に大して全く警戒していない…』
……私はどう動けば良いと思う…?どう考えても問題の根が深そうなんだが…
『何だ…随分弱気じゃないか。お前の取るべき腹は決まったんだろう?』
そうなんだが……さすがにこの異常事態を目の当たりにしたらお前だって不安になるだろう?
『……いや…私だったら…この光景を目にした可能性は低い…』
何?どういう事だ?
『……私は改めてお前を凄いと思ったよ…昨日言った筈だ…私なら斬っていたかも、と…かもとは言ったが、実際はあの場にいたのがお前ではなく私だったなら……九割方抑えが利かずに斬っていただろう…その場にいなかったから冷静でいられただけで…本当は…私は二人が心底恐ろしかった…』
……そうか。なら、お前に意見を求めても無駄という事か。
『…まぁ…傍観してた立場から言わせてもらうなら…』
…何だ?
『昨日の一件を忘れること無く、危ういバランスの上にいる事を認識した上で…こいつらの様に振る舞うしかないだろう…得意なんだろ?そういうの?』
……こいつら相手に演技をし続けるのは辛い…そう思える程には大事だ…だが、これ以上引きずっている場合では無いのだろうな…