テレーズと二人でオフィーリアとセラフォルーが居る筈の用務員室へ肩を並べて歩く…
「…で、結局あいつに何を言ったんだ?」
「あいつはソーナを好きだろう?とはいえあいつが弱いままだとセラフォルーに殺されるからな、だから強くなれ、とな。」
「……具体的には?」
「…普段から好きですと、周りにバレるくらい態度に出てる様な奴が普通に修行したとして強くなるとでも?」
「…無い、な。強くなるのに必要な感情は先ず怒りだ…それだって普通に爆発しただけなら余程才能が無ければ、敵には勝てん…待ってるのは死だ。好意に関しては邪魔とは言わんが、ただ単に好きな奴にカッコイイ所を見せたいとか思ってるだけの奴はハッキリ言って戦場には要らん…味方の足まで引っ張るからな…昔の私なら問答無用で斬っている。」
「実際に組織に所属して戦っていたお前が言うとさすがに説得力が違うな…私は基本一人で好きな様に戦ってたし、良く分からんが。」
「良く言う。…まぁあいつに関してだけ言うなら、どれだけ強くなっても味方ありきの力しかないからな、単独でもある程度までの奴なら方をつけれるだろうが、格上なら間違い無く歯が立たないな。」
「サポート役としてなら一級だよ。…単独での戦力面は私も初めから当てにしてない。」
「…ちなみに肝心の恋愛面はどうだ?お前が来て変化はあったのか?」
「…無いな。相変わらずソーナの意識としては言ってしまえばあくまで上司と部下。あっても扱いは弟の様な物…さすがに私も鬼じゃないからな、初めから選択肢に無いから普通にアタックしても先ず無理だ、とは言えなかったよ…」
「縁談の数だけならリアスより多いんだったか?」
「尽く断ってる様だがな…余計に匙の勘違いが強くなってる様だ…」
「現状脈は無い以前の問題なんだがな…言った方が良かったんじゃないか?」
「…私からは言えんよ。」
「まぁ私は口出しするつもりはこれ以上無いがな…人の恋路に口出しする事程、面倒な事はそうは無いからな。」
「言えてるな…私も本来なら何も言いたくないんだがな…」
そうして用務員室が見えて来た辺りでテレーズが足を止める…
「どうした?」
「…いや、この場合私に原因があるが今オフィーリアはセラフォルーと二人きりでここにいるんだなと思ってな…」
「あ…」
「よりにもよって和平会談当日に魔王の庇護を受けてるにも関わらず、別の魔王に手を出す程アレが馬鹿だとは思いたくないが…」
「性格はともかく、黙ってれば普通に美女だからな、セラフォルーの場合…」
見慣れた用務員室のドアがまるで異界の入り口の様に見えて来る…
「まぁ…この距離でも何も聞こえないし「いや…仮に何も無くても、セラフォルーの性格から考えて初対面の相手でも黙ってる事は先ずない…つまり、これだけ近付いても何も聞こえないということは…それだけこの部屋は防音がしっかりしている、という事だ」…中で実際何が起きてるのかは分からない、か…入りたくないな。」
「そうも言ってられんだろう…トップが揃う会談で万が一、セラフォルーが出席しなかったら面倒な事になるぞ…」
「手遅れだったらどっちみち会談どころじゃないだろ。そこまで言うならお前が開けろ。」
「いや、お前が開けろ…私は…嫌だ。」
「状況次第ではオフィーリアを実力で沈める必要がある…今の私では無理だ。」
「……仕方無い、私が開けるしかないか…」
用務員室のドアに手を掛ける…引き戸だ…立て付けは悪くないのでそれ程力は要らない…ちょっと力を込めれば開く…私は軽く深呼吸して一気にドアを引き開けた…
「…あっ!テレサちゃん助けて!私この子に食べられちゃう!」
ドアを開けた先に飛び込んで来たのはレディーススーツを脱がされ、下着姿になったセラフォルーの上にオフィーリアが乗ってる光景だった。
「あの、馬鹿…!」
私は妖力解放し、一気に踏み込むとオフィーリアの顎に膝をたたきこみ、昏倒したオフィーリアの服の襟を掴み、外に放り投げた。
「テレーズ!その馬鹿を部屋に持って行って縛っておけ!」
「分かった!後を頼むぞ!?」
外から聞こえたテレーズの声を聞きつつ、取り敢えず泣きながら抱き着いて来たセラフォルーの頭を撫で、先ずこいつをどうやって宥めるか考えていた…