気絶したオフィーリアを肩に担ぎ、窓から外に出る…一応、今日は一般生徒は部活の生徒を除いてさっさと帰るよう話が言っている為か、廊下に人気は無いが、楽観は出来ん…周りに誰もいないのが確認出来たので、さっさと旧校舎に入る…
部屋のドアを勢い良く開けると、中には黒歌と塔城がいた…しまった…こいつを連れて来てたのか…
「…テレーズ?どうしたにゃ?…その、担いでるの、オフィーリアよね?」
「あの…お邪魔してます…」
「ああ…それで何だが…」
私は塔城の顔を見る…
「あ…私は今日はこれで帰ります…黒歌お姉様、また…」
察しが良くて助かるよ…
「うん、ごめんにゃ、白音…」
「すまないな、黒歌は今は基本的にここにいるから、また何時でも遊びに来たら良い…」
「はい、それでは夜にまた…」
塔城が私に頭を下げ、少し寂しそうに出て行った…
「邪魔をして悪かったな…」
「…良いわよ。貴女が言った通り、何時でも会えるし。それで…もしかしてまたオフィーリアが何かやったの?」
「あー…実はな…」
私はオフィーリアを縛りながら先の一件を黒歌に説明した…
「それはまた…何と言うか…救い難い大馬鹿者ね…」
「とんでもない事をしてくれたよ…幸い、未遂ではあったが、セラフォルーはそれなりにショックを受けていた様だしな…最も今回の場合、手を出そうとしたオフィーリアが悪いとはいえ、こいつだけが原因じゃない気がするが…」
「どういう事?」
「それがな…」
「…落ち着いたか?」
「うん…ありがとう…」
しばらく泣きまくった後、セラフォルーは自分で私から離れた…
「さて、こちらとしては状況を確認しなければならないが…大丈夫か?」
「うん… 」
「そうか…とはいえ起きた事自体は私とテレーズの見たまんまだろうから、特に詳しく聞く必要は無いだろう…私が確認したいのは一つ…セラフォルー、お前からオフィーリアを誘ったのか?」
「…うん…ごめんなさい…」
「はぁ…」
私はセラフォルーの予想通りの言葉に溜息をついた…
「…セラフォルーの方から誘った?…でも、テレサに助けを求めたんでしょう?」
「あいつの知ってるセラフォルーには悪癖があってな、気に入った相手は誰でも誘うんだよ…男も稀に誘うが、大抵は女の様だな…実際、あいつ自身も何度か口説かれたらしい。」
「…それは分かったけど…自分から誘ったなら何で…」
「そこがあいつの面倒なところでな…大抵、相手がその気になると逃げるんだ…要は揶揄ってるだけなんだよ…実際あいつ自身実力は確かだから力で捻じ伏せようとしても返り討ちにあうのがほとんどだ…で、今回もいつもの如くオフィーリアを揶揄おうとしたら思いの外強い力で押さえ付けられてビビってしまったと…普段戦闘で向けてる力をそのまま平気でそれにぶつけられられるのが私たちだ、実際はろくに経験も無い癖に余裕をかましてるだけの奴がどうこうできるわけもない…最も全力で抵抗していれば押し負けたのはオフィーリアの方だった筈だがな…」
「お前な、あの頃何度も言ったよな?実際はその気も無い癖に安易に揶揄ったりするのは止めろ、と。…しかも実際はそんな事した事も無い癖にな。」
「う…だって…オフィーリアちゃん、改めて見たら結構可愛かったから…つい…まさかあんなに強い力で押し倒されるなんて…」
そう言って自分の身体を抱きながら震える…自業自得、とは言いづらいな…それに…
「え?オフィーリアは気付いた上で襲いかかったって事?」
「当然だろ。一目見て分かった筈だ…そこで止めて欲しかったんだけどな…ん?」
「私ね…あっ、テレサだわ…もしもし?…うん、居るわよ?…分かった、今代わるわね?はい、テレサが代わってって。」
そうか、私の携帯はまだ無かったからな…私は黒歌から携帯を受け取り、電話に出た。
「もしもし、ああ…私だ…セラフォルーは落ち着いたか?」
『ああ…で、今回の一件の切っ掛けなんだが「誘ったのはセラフォルーの方から、で合ってるか?」…お前もそう思ったか…そうだ、今さっきセラフォルー本人から確認が取れたよ…』
「で、どうするんだ?」
『誘ったのがセラフォルーの方からとはいえ、本人はまだ怯えていて、私から離れようとしないんだ…このままだと会談どころじゃない…』
「延期は出来ないのか?」
『無理だろ。悪魔同士の会談ならまだしも、他勢力が来るんだ…アザゼルには話を通す事も出来るが、もう一方は…』
「…取り敢えずサーゼクスには話を通した方が良いか?」
『いや、もう少し待て…サーゼクスに話したらここに出向くしか無くなるだろ?…男にヤられそうになったならまだしも、襲って来たのは女だぞ?一緒に来るだろうグレイフィアにすら迂闊に会わせられんよ。』
「…お前がどうにかするしかないわけか…出来るのか?」
『出来無いとは口が裂けても言えないだろ…全く面倒な事になった…取り敢えずセラフォルーがほとんど経験が無いのにすぐ気付いた癖に襲おうとしただろうオフィーリアはきっちり絞っておいてくれ。』
「お前なぁ…簡単に言うが今の私が真っ向からオフィーリアに挑んで勝てるとでも?今、この場で首を落とせ、なら出来無い事も無いが…」
幸い、今のオフィーリアはまだ気絶しているからな…
『馬鹿か。襲撃があるのは分かってるのに大事な戦力を減らしてどうするんだ…人手不足なんだぞ?…言うまでもないが、遊ばせておくのも論外だ…会談が予定通り行えるなら出て貰わないと困る…だが、その馬鹿が戦闘が始まるまで大人しく出来無いならセラフォルーは会談の場には出て来れない。』
「じゃあ、どうしろと『犯せ』…今何て言った?」
『その馬鹿が満足するまで犯せ』
「正気か?」
『正気で言えるか、こんな事…!こっちも余裕が無いんだ…!』
「……お前、今セラフォルーと何してる?」
『分かってるんだろ!現在進行形で私が襲われそうになってるんだよ!変なスイッチが入ったらしくてな!』
「…取り敢えず分かった…何とかしてみよう…お前はお前で頑張れ。」
『棒読みで言うな!くそっ!万が一失敗したらお前を殺してやる!』
「その言葉、そっくりそのまま返してやるよ…じゃあな。」
私は電話を切り、黒歌に返した。
「どうするの?」
「……」
私は縛られた状態のオフィーリアを担いだ。
「えっ?ちょっと、何処行くの…?」
「会談までには戻る…」
私は部屋を出た。