「起きなさいよ…」
……声が、聞こえる…
「なら、永遠に寝てたら?…私が首をはねてあげる。」
そこで完全に目が覚めた。
「…物騒な事を言うな。」
「あら?起きた?」
「お前の目覚ましが効いてな。」
顔を覗き込んでいたオフィーリアが退いたので、立ち上がろうとしたが身体が動かない…?
「動こうとしても無理よ。」
「何があった…ッ!…この痛みは…?」
「あら?もしかして覚えてない?んー…そうね、取り敢えず今の状況から先に言われるのと、そこに至るまでの過程から入るのどっちが良い?」
「…私の傷の具合を言え。…まだ頭が回らないが、それなりに酷いダメージを受けたのは分かるが…」
「あっそ。なら先に言いましょうか。…貴女は今、真っ二つにされてるの。」
「は?」
「だから…貴女は今、お腹の所で綺麗に上半身と下半身に分けられている状態なの。」
「な、に!?」
何でそんな事になってる!?
「落ち着きなさい…つまり、さっき言ったのもあながち冗談って訳じゃないの…元はと言えば万が一の為に首を落としておこうと思ったのよ…一応声をかけたら流暢に返事が帰って来てこっちが驚いたわ…」
「ッ…この痛みはそういう訳だったのか…」
「思ったより冷静ね…取り乱して覚醒でもしたら首を落としてあげようと思ったのに。」
「ほう…出来るのか?私は「今の私にとって貴女はテレーズに顔が似た別人でしかない…殺れるわよ?…というか、仮にそうなったら貴女もそうして貰った方が良いんでしょ?」…まあな。」
意外に冷静さを保てる自分に驚い…いや、これはアレか…生命の危機を感じて脳が完全な理解を拒んでいるのか…さすがにこの身体でも身体が二分割されては永くは生きられんだろう…
「何が…あった…?」
「声が掠れてきてるわよ?あまり時間は無いと思うけど…それでも聞きたい?」
「ああ…聞かせて…くれ…」
「…あの時私たちの所にはヴァーリが放った光弾が飛んで来てた…それは覚えてる?」
「…そこまで…はな…」
「そっ。じゃあ、その後何があったかね…あの時悪態はついたけど一応アザゼルは結界の用意をしてたみたいなの…でも当然間に合わない…そこでアンタは…!」
そこで私は胸倉を捕まれオフィーリアに顔を引き寄せられた。
「アンタはね、よりによってアザゼルと私を庇おうとしたの!何考えてるの!?ふざけないで!覚えていないなんて言わせない…!」
「…ああ…思い出した…」
確かにそんな記憶がある…
「答えなさい…!アザゼルはともかく、何で私まで庇ったの!?」
「…さぁな…あの時は咄嗟に身体が動いた…理由なんて、無い…」
オフィーリアは私をゆっくり下ろした。
「…馬鹿な奴…その後どうなったのか聞きたい?」
「ああ…」
「…貴女の姿を見て、セラフォルーが取り乱してカテレアへの攻撃が止んだ…満身創痍のカテレアはふらつきながらもセラフォルーを攻撃しようとして、貴女が私と同じく咄嗟に突き飛ばしたお陰でほとんど無傷のアザゼルが止めを刺した…黒歌は発狂して敵味方問わず攻撃を始めた所を駆け付けた塔城小猫が泣きながら気絶させた…ヴァーリは兵藤一誠と今も交戦中よ…」
「…ヴァーリと…兵藤一誠の戦闘は…どんな感じだ…?」
そこでオフィーリアは私から首を逸らし、やがて戻した
「…互角、よ…もしかして貴女の記憶では違うのかしら?」
「ああ…あいつはヴァーリの足元にも及んでいなかった…それにしても…アザゼルは無傷か…」
私の記憶では…アザゼルはカテレアとの戦いで片腕を失っているからな…にしてもまさか兵藤がこの段階でヴァーリと互角…本当に成長したな…もう私では敵わないかもしれんな…
「そっ。誇ったら良いじゃない?この結果は、間違い無く貴女が引き寄せた物よ。」
「…そうだな…良かった…」
「ッ!良くないでしょ!?」
そこでまた胸倉を掴まれる…
「…オフィーリア…苦しい…離せ…後…唾が飛ぶ「うっさい!」…理不尽だろ… 」
「アンタのお陰で、大きな怪我を負った奴は現状誰もいないわ…アンタを覗いてね!」
「そうか…なら、良いじゃないか「アンタは!これで良いの!?このままだとアンタは死ぬか、覚醒者になるしかないのよ!?」…後者は…無いだろう…?お前が責任持って…殺してくれるんだろう…?」
「何度も言わせないで。ふ・ざ・け・る・な!」
「私を含む全員が助かって…!アンタだけが死ぬなんて…私は!絶対に認めない!」
「……なら、どうしろと言うんだ!?」
この状態で私が生き延びる方法など…!
「…決まってるでしょ。貴女の足は幸い消滅してない…修復しなさい…それで…少しは命が繋がる可能性も出て来る…」
「馬鹿か…!?そんな事をしたら私は「借りは…返す主義なの…あの時貴女がした様に私が引っ張るわ…貴女を覚醒者にはさせない…少なくとも、完全に覚醒した私を戻した貴女の作業よりは簡単でしょ?」…簡単じゃ…無い…!」
あの時私が出来たのは…嘗てテレサ…いや、テレーズが引っ張ってくれた時の事があったからだ…全くの知識ゼロの状態で出来る程、簡単な事じゃない…!
「あら?良いじゃない♪難しい作業は好きよ♡しかも命懸けだなんて…!どうしよう…最後の最後で楽し過ぎるわ♪辞めるのが惜しくなりそう♪」
「この…異常者が…!」
「…異常?化け物の私に今更何を言ってんのよ?とにかく!このままアンタに借りを作ったまま死なれるなんてごめんだわ…意地でもやって貰う…!いい加減アンタも覚悟決めなさい…大丈夫よ。ヘマしたら私も一緒に逝くから♪…後始末はテレーズがしてくれるでしょ。」
「クレイモアで無くなったあいつに出来る訳が「なら、貴女が頑張るしかないでしょ?」…くそ…!やれば良いんだろう…!?」
「聞き分けが良くて助かるわ♪じゃあ…はいこれ、貴女の足…ここに置くわね?」
オフィーリアが視界から消え、置かれた物に手が触れる…これが、そうなのか…
「…先に言っておくけど…覚醒したくないからって半端はダメよ?原型こそ残ってるけど、貴女の身体は上半身も、下半身もボロボロなの…くっ付けただけだと、まだ危険よ…覚醒を恐れず、一気に解放しなさい…傷が全て治るまでね。」
「分かった…」