ッ!…今の、は…?……チッ!
私は今、ギャスパーの部屋で何故か、何かあっても中断出来る遊びという事で、四人でポーカーをやっていた現実を思い出しつつ、今感じてる焦りを顔に出さない様にしながら自分の手札を一応、裏返したまま、机の上に置いた。
「すまん…ちょっと席を外…す…?どうした?お前ら?」
そこで気付く…クレアとアーシアの二人は身体を小刻みに震わせ、泣きそうな顔をし、ギャスパーが、必死で恐怖を押し殺しているのか強ばった顔をしていた…
「…テレーズさん…今のは…一般人でも分かります…!」
「ッ…そう、か…」
「…行って、ください…!二人は…僕が…!」
……何だろうな…今にも折れそうに見えるのに、今のギャスパーは多分、誰よりも頼もしいと感じる…
「あまり気負うな…多分…もうそれ程強い敵は出て来ないさ。」
そんな気休めにもならん言葉を吐きながら立ち上がる…どうにもあいつの様には行かないな…
背を向け、部屋のドアに向かって歩く…急ぎたいが、あまりこいつらを不安がらせてもいけない…
「テレーズ!」
ドアに手をかけ開けた所でクレアの声が聞こえた。
「テレサを助けて!」
…そうか…分かるのか…
「ああ。」
私は振り向きそれだけ言うと外に出てドアを閉めた。
「しっかりしなさい…!アンタの方でも頑張らないと戻って来れないわよ!」
…オフィーリアの声が遠い…私の意識が消えて行くのが分かる…あの時とは違う…ろくに痛みももう感じない…あいつは私の中にいない…私を繋ぎ止める物が…何も無い…
「失望したな…」
そんな声が聞こえた…
「お前はお前だ…だが、私は名を譲った…」
足音が聞こえる…
「自分で言うのも少々気恥しいが…その名、そんなに軽い物では無いつもりなんだがな…」
気配が近付く…
「お前の名はテレサ…最強の名なんだよ…譲った私にまで…恥を掻かせる気か?」
手を掴まれ、握られる…!
「起きろ、寝坊助…お前を待っている奴がいるんだろう?」
「ッ!アアアアアア…!?」
濁った声で叫んだ…!そうだ…!こんな所で消えられるか…!
「それで良い…今からオフィーリアと二人でお前を引っ張り上げてやるよ…もう下らない事で私の手を煩わせるなよ?」
今まで自分の意識を食い潰そうとしていた物を気力で捩じ伏せ、手を先程より強く掴む…!
「良し…もう大丈夫だな…」
そんな言葉が聞こえ、私は意識を手放す…先程の様な意識を食い潰されるのではなく、心地好い睡魔に私は身を委ねる…ッ…眠気に抗い、無理矢理言葉を紡ぐ。
「後を…頼む…」
「分かった…オフィーリア共々、借りはきっちり返して貰うからな…私はもうお前の中にいた頃と違って一人の人間なのだから…」
その言葉を最後に私は目を閉じた。