駒王学園の前で一息つく…少々暗い話をしてしまったが、仕事はしなきゃならん…登校して来た生徒が私に挨拶をしつつ、クレアの事を聞いて来る…妹だと言えば、可愛いを連呼され、クレアに抱き着いて来るのもいる…男子ならはっ倒すが、寄って来る奴の大半が女子だ。ちなみにもみくちゃにされてるクレアはそれでも笑顔で応対している様だ…まぁクレアが嫌でないなら良いか…私としても少し誇らし…いや待て待て。ずっとこの状態だと校舎に入れん。私はクレアに群がる人並みを掻き分け、クレアの前に立つと声を張り上げた。
「お前らいい加減にしろ!通行の邪魔になるし、私たちが中に入れんだろ!」
私がそう言うと、女子たちが私とクレアに謝りながら解散して行く…やれやれ先が思いやられる…まぁお陰で先の気まずい雰囲気なんて吹っ飛んだから良しとしようか…
「あの…テレサさん?」
「何だ「後でまたクレアちゃんに会いに来て良いですか?」……」
今、私の前には良くあの二人を引き渡す時に会う女子の一人がいた…どうも代表として聞きに来たらしい…本来なら断るだろうが…
「…休み時間だけだぞ?後、大人数で来るのも禁止だ…それが守れるなら良い。」
この後、用務員室行っても書類仕事しかないからな…私がクレアの相手を出来なくなる…
「ありがとうございます!クレアちゃんまた後でね!」
「うん!」
……クレアのこの、誰とでも仲良くなれる…というのは悪い事では無いが、誰彼構わず寄って来させてしまうのでこういう時はあまり宜しくないな…
「クレア、退屈じゃないか?」
「ううん。そんな事無いよ?」
用務員室に入ったが、私のやってる事は相変わらず溜まってる書類を片付けるだけ…って、これは教師が書く書類じゃないのか?…全く…間違って置かれていた書類を避ける…クレアは当初目を輝かせて何やらメモを取っていたが、今は私が書類を書くところを見詰めているだけ…何なんだ?
「…クレア、来る時、黒歌に本を持たされてただろ?暇ならそれを読んでて「ううん大丈夫。」いやしかし、私が書類書いてるところなんて見てても飽きるだろ?」
「そんな事無いよ。テレサ、カッコイイ。」
「……そうか。」
何がカッコイイのか知らんが…悪い気はしない。
「おはよう…遅くなってごめんね?」
オフィーリアが部屋に入って来た。
「謝罪は良いから早く入れ。見ての通りまた書類が溜まってる…手伝え。」
「うわ…また一杯あるわね…昨日ある程度片付けたわよね?何でまだこんなにあるの?」
「どうも昨日の夜に誰か持ち込んだ様だな…ほれ、確認が甘かったのか私たちの管轄外の書類がいくつか混じってる。」
「あら?本当ね…めんどくさいわね…一々避けながらやらないとダメじゃない…」
そう言いながらオフィーリアは既に書類に手を付け始めていた…何だかんだ仕事は出来るんだよな、こいつ…
「ところでアンタは何してるの?」
「テレサが書類書いてる所見てるの。」
「…楽しい?」
「うん!」
「そう……良かったわね?」
「……」
私に意味ありげな視線向けてないで仕事しろ…
休み時間になり女子生徒がやって来てクレアの相手をしてくれている…
「正直、貴女の懸念よりクレアがここに来て退屈になるんじゃないかと心配してたんだけど…大丈夫そうね。」
「そうだな…」
クレアはやって来た女子生徒二人と部屋の隅で楽しそうに会話している…私たちに気を使ってるのか小声だ。内容は……聞こうと思えば聞けるが…まあ、止めておこうか。
「あっ、そうだ…また携帯貸してくれる?」
「構わないが何でだ?」
「一応兵藤一誠に電話をね…」
「…確か昨日、お前自分の携帯に番号登録しなかったか?」
「……携帯忘れたのよ…だから貸してくれない?」
「…仕方無いな。ほら…」
「ありがとう…少し出るわね?」
「ああ。」
クレアに内容を聞かれたくないしな。
オフィーリアが退出したのを見た女子生徒が声をかけて来る。
「あれ?オフィーリアさんは何処へ?」
「トイレだ。」
「そろそろチャイム鳴りますけど…」
「私たちにはあまり関係無いからな…というかチャイム鳴るならお前たちはちゃんと教室戻れよ?」
「はい…クレアちゃん、またね?」
「うん。」
女子生徒たちが部屋を出て行き、部屋が静かになり、しばらく私がペンを動かす音だけが響く…しばらくしてオフィーリアが戻って来た。
「ただいま♪」
「おかえ…何でそんなにテンション高いんだ?」
「フフ…ちょっと、ね…」
そう言って舌なめずりしながら笑うオフィーリアから目を逸らす。
「…用件を済ませたならさっさと座れ。」
「は~い♪」
子どもの様に片手を上げて返事をしながらオフィーリアが座る…聞いて欲しい様だが、聞くつもりは無い…クレアとオフィーリア二人分の強い視線を受け、居心地の悪さを感じながら私は書類を片付けていった。