「…で、君の言ってる事では勝手に引き取ると決めた事や、今日まで私たちに黙っていた事の説明にはなっていないんだが?」
「……」
結局私はセラフォルーが戻って来る日まで、オーフィスを引き取った事をサーゼクスに切り出す事が出来なかった…
「ッ…何をしているんだ…?」
私は正座したまま床に手を付き、頭を下げた。
「…すまなかった。私はお前たちの事を信じ切れなかった…だから今日までお前たちに何も言えなかった…クレアも懐いている…気に入らないなら、私の首をやっても良い…だから、家族としてあいつの事を見守ってくれないか…?」
「私たちが貴女を責めないと分かっているなら何故…!…いえ、そうね…私でも…言えないわね…」
「……確かに…幸い、オーフィスが渦の団の首領である事は上の立場の者は私とグレイフィアにアザゼルしか知らないとはいえ、公にするのは難しいだろうね…だが…だからこそ一言、言っておいては欲しかった…」
「……」
「取り敢えず頭を上げて。悪い様にはしないから…それでは話も出来無いわ。」
「……ああ。」
「…話を続けるが、私たちに頼みたいのはオーフィスの後見人となってクレアと同じ学校に通わせる事、だね?」
「……その通りだ。」
「それがどれ程難しい事なのか承知しているね?」
「ああ…」
「オーフィスは元々その強大な力を危険視されている…譬え今の見た目がいくら子どもにしか見えなくても、だ。」
「……」
「クレアと君の話を疑う訳では無いが、少なくとも今現在、オーフィスが懐いているのは君たちだけだろう?…セラフォルーに至っては会ったばかりで警戒されている様だし。事は君が命を懸ければ済むという問題では無い。」
「……ああ、分かっている…」
「なら、これも分かるだろう…?彼女がクレア以外の子どもたちに危害を加えない保証が無い……無理だ。」
「…どうすれば良い…?」
私には分かっていた…サーゼクスは頭ごなしに否定している訳では無い…必要なのは…
「……彼女がその強大な力を迂闊に奮わないという確実な証明、それから、彼女を取り戻しに来る渦の団の追っ手をどうにかする事の二つ…だね。」
「……」
前者は問題無いと言っていい…既にあいつはクレアと二人きりで行動する事が多くなっている…その間、奴は一度も問題を起こしてない…後は…
「…一つ目に関してだが、オーフィスはクレアが学校に行ってる時以外は一緒に行動している。平日は一人で行動しているが今の所問題は起こしてない。もう一つの方は私が何とかしよう。」
「どうするんだい?」
「私が渦の団を壊滅させる。無論、時間はかかるがな。」
「簡単に言うが、君は何処に本拠地があるのか分かっているのかな?」
「……」
私は口を噤んだ…原作知識の失われている今、私には場所が分からない…いや、違うな…テレーズに聞いてもその知識が欠けてしまっていた事がはっきりしている…だが方法が無いわけでも無い。
「オーフィスが知っている。あいつは既に渦の団を見限っている様だしな…聞けば答えるだろう。」
「彼女が喋る様なら私の方も彼女を味方だと信じる事は出来る…ただ、彼女が本当の事を言うとは限らないよ?」
「言うさ、賭けてもいい…あいつはクレアを選んだのさ…約束を守らない不義理な連中より、本当に自分に必要な物を指摘し、与えると言ってくれた少女をな。」
「…そうか。なら君に任せよう…手が必要なら何時でも声をかけてくれ。」
「……良いのか?」
「魔王として、オーフィスをそう簡単に信じる訳にはいかないが、家族としての君の言葉なら私個人としては信じられるからね。」
「私も同じよ…そもそもテロ組織でしかない、渦の団を放っておくわけにも行かないでしょう?」
「…分かった。その時が来たらお前らにも頼もう。」
「ん?私たちも?」
「いや…元々、一人でやるつもりだったんだが…実を言うとな、セラフォルーを含む私の家族が既に渦の団討伐への参加を表明していてね…」
セラフォルーどころか、オフィーリアまでオーフィスを助ける為動こうとするとは思ってもいなかったがな…やはりあいつは変わったな…まぁもう戦わないと言っていた事に関しては突っ込んだがね…
「そうか…それでは私たちの出番は無いかもしれないね…」
「そうでも無いさ…敵の正体が掴めないんだ…警戒し過ぎるという事も無い…お前らにも声はかける。」
「…では、私たちも何時でも動ける様に準備はしておこう…行こうか、グレイフィア。」
「はい…それじゃ、テレサ…また。」
「ああ。」