「なぁ?」
私はここ最近こちらの部屋に入り浸るオフィーリアに声をかけた。
「…ん?何?」
「お前ここ最近夜になるとこっちに来てしばらくいるが、テレーズの所に戻らなくて良いのか?」
「何?お邪魔?」
「いや…そういう訳でもないが、な…」
私は床で寝ている黒歌とセラフォルー、それから朱乃に目をやる…最近はオフィーリアがやって来て、酒を飲んでこいつらが早々に潰れる…というのが定番になっている。……正直毎晩の様にこいつらに襲われ、相手をするのは精神的にキツいのでオフィーリアの存在に助かっている所はある。こいつはもう私に手を出す気が無いようだから気も楽だ。ただ…
「いや…あいつ何だかんだ言っても初めての経験だろ?お前は出来るだけ傍にいてやるべきじゃないのか?」
オフィーリアが溜め息を吐き、点けっ放しになっていたテレビをリモコンで消し、持っていたビールの缶をテーブルに置くと新しい缶を開けた。そのまま口を付け、傾けていく…やがて口から缶を放し、テーブルに置いた。
「本人の希望なのよ…一人にしてくれって、ね…」
「……」
「アレで結構ピリピリしてるのよ。私に当たったりはして来ないけど。」
「……予定日は当に過ぎたのに未だに産まれる様子が無いからな…」
あの授業参観の日…テレーズも行きたかった様だが、出産予定日当日だったので辞退したのだ。…まぁそもそもあれだけ腹大きくして行くのは誰が見ても無茶ではあったが。
「今回の話にも参加出来ないし…ちなみに私が行くのはオーフィスやクレアの為というより、テレーズ本人から頼まれたからよ。」
「……お前が行くとあいつを守る奴がいなくなるが「仕方ないじゃない。自分が行けない以上、テレーズは私にしか頼めないんだから」…私一人で行くわけじゃなし、別に今回は任せてくれて良かったんだがな。」
「本人は割り切れないんでしょ。そう言えば何時行くの?あれからもう一週間は経つんだけど?」
「ん…それなんだがな、ちょっと迷ってるんだ。」
「迷ってる?」
「敵がどんな手を使うか分からないのに、懐に飛び込むのは無謀じゃないかと思ってな…」
「あー…言われてみればそうね…でも、だからって向こうからやって来るのを待つつもりなの?」
「……」
「向こうが万全の準備を整えて来たらそれはそれで不利じゃない?」
「こちらが先に動いたからって危険なのは同じだ…後手になるのがこちらになるのは変わらん。なら、こっちのフィールドで相手した方がまだマシだ。」
「…確かに一理あるわね…」
「まあどうするか結論だけはそろそろ出すからもう少し待て…ついでに言えばその間に子どもが産まれてくれたらこっちの肩の荷も降りるんだかな…」
「一応何時産まれても不思議じゃないってアザゼルからは言われてるんだけどね…成長速度も含めて、良く分からない事が多いらしくて頭抱えてたわ。」
「……このままの状態が続くと自分で腹を斬って取り出すかもしれんな…」
「有り得そうね…私としては止めて欲しいけど……ん…そろそろ帰るわ。」
「ああ、テレーズに宜しくな。」