「…で、本当に良いのか?」
私がそう聞くと電話口からは息を吐く音が聞こえた…溜息か。
『仕方無いさ…私の方もクレアの願いなら余程の事で無い限りは出来るだけ叶えてやりたいからね…』
「…すまんな。」
『良いさ…そもそも自分の子供の願いでもある。』
電話の相手はサーゼクスだ、私は今回少々面倒な頼み事をしていた…さすがに状況が状況だ…断られるかと思ったが…にしてもミリキャスも会いたがっていたとはな…
「取り敢えずは…そうだな…二週間だ…」
『……その期間で全ては終わる…と言う事かな?』
「…いや…何となくだ、その間に何も無ければそれでも良い…」
『…戦士としての勘とかでは無いのかな?』
「……私の勘は戦いの中では働くがな、基本的にこういう時は役に立たない…まあ外れたらまた考える…」
『…取り敢えず話は分かったよ…明日、グレイフィアをクレアたちの迎えによこそう…』
……私は考えた結果、今回は奴らの襲撃を敢えて待つ事にした…そしてクレアとアーシアを巻き込まない為、サーゼクスの所で匿ってもらう事にした。
『しかし…私は良いが…良くリーアが承諾したね…?』
「…ギャスパーからの希望もあったからな、私が頼んだだけではさすがにあいつも承諾しないさ…そもそも元はギャスパー本人が言い出した事でね…」
そして…そこに、ギャスパーが護衛としてついて行く事になっている…残ると決めた時、どうしても巻き込む事になるだろうリアスたちに今回の話をしたら珍しくギャスパーが部室にいてクレアたちについて行くと聞かなかったのだ…理由を聞けば…
『約束したじゃないですか、クレアちゃんにアーシアさんは僕が守るって。』
……本人がやる気である以上、主のリアスでも止められん…普通、部下が個人的な目的の為持ち場を離れるなど論外だが、リアスはそこら辺甘いからな…身内に不自由をさせたくないという想いが前面に出る…甘い…だが、その甘さは私個人の感想を言わせてもらえば、嫌いでは無い…加えて今は戦時下では無い…
『…私としては、彼が自分でそう言い出した事に驚いているよ…』
「背中を押したのはクレアだが…歩き始めたのはギャスパーの意思だ、成長と言ってしまえば容易いが、私はアレがギャスパーの本質だと思っている…」
『……では、まだ先があると…?』
「…アレが成長ではないならそうだな、つまり奴はこれからもっと伸びる…この程度で驚いている場合では無いと言う事だ。…まあ時間はかかるかもしれないが。」
どれ程時間がかかろうとそれが奴のペースなのだ…特に急ぐ事情は無い今、奴のペースで伸びて行ったら良い…仮に時間制限がつくなら私か、それとも他の誰かが、ケツを蹴り飛ばせば良い…奴はもうそんな事で歩みを止めない強さを既に持っているからな…
……他の連中には悪いが…今、一番伸びているのもギャスパーだ……まあ私やオフィーリアが度々喝を入れに行っていたせいもあるかもしれないが。
「まあ、何にしてもすまなかったな、仮にこの二週間のうちにもし、向こうが動いたら、お前らの出番は無しだ…クレアたちを守ってもらう必要があるからな…」
まだまだギャスパー一人には任せておけん…
『私はそもそも家族のために今回の話に乗ったからね、それならそれで彼女たちを守るために全力を尽くそう…』
「私が言う様な事じゃないだろうが、油断するなよ?お前たちの方に来る可能性もあるからな。」
『……肝に銘じよう…と言っても、三人に加えてオーフィスも預かるんだ、油断などしないさ…そちらも気を付けてくれよ?本体はこっちだが、複製はそちらに残るのだろう?』
「……ああ、分かっている。」
今回冥界で匿ってもらう話をオーフィスにした際…
『我、テレサたち心配…』
そう言ってこっちに残ると思いの外強固にごねた為、何度か説得し、オーフィスの妥協案が…
『なら、我の代わりを残す。』
そう言ってその場で自分の複製を用意した……本人曰く本体より弱いらしいが、それでも駒王町を消し飛ばして余りある力はあるようだから味方としてはまあ、心強い…やり過ぎてしまわないか非常に心配だが。
……とにかく今やれる事はこれで一通り済んだ(元々、大して出来る事も無かったが)後は成り行きに任せるしかあるまい…