オーフィスの手を引き、歩く…今日は平日である為か、一帯に人気は無い…いや、建物の中に気配はあるが。特に私たちに注意を払っている者は無く、つけられていたりもしない。……ふむ、一旦警戒を緩めても良さそうだな。
「オーフィス、何処か行きたい所はあるか?何処でも良いぞ?」
足を止め、オーフィスにそう声をかける。
「……」
オーフィスは黙って私を見上げるだけで何も言わない。……?んー…?こいつは自己主張はあまりしないが、聞けば大抵何らかの返事は帰って来るんだがな…仕方無く私はしゃがみ、オーフィスに目線を合わせつつ、また声をかけた。
「どうした?クレアたちと色々と行きたい所を話していただろう?残念ながら今日この場には私しかいないが、何処でも付き合うぞ?」
「…我、テレサと一緒なら何処でも良い。」
……対応に困るコメントを返して来たな…懐かれて悪い気はしないが、そう言われるとこちらはどう反応したら良いか分からないんだが…
「…そうか、なら前みたいに適当にぶらつくか?」
頷く……参ったな、今更こいつを危険な存在として扱うつもりも無いが、子どもとして見ても接し方が分からん…クレアやアーシア程で無くても良いからもう少し自己主張してくれたらこっちも対応の仕方もあるんだが…同じ喋らないでも小猫なら割と顔見れば何となく分かったりするが、こいつは普段表情があまり無いから分からん…
「……」
私は頭を掻きながら何処に行くか、考え始めた…
やって来たバスに乗り、たまたま空いていた一人席にオーフィスを座らせる…やれやれ…空いていて助かった…私は良いが、見た目子どものこいつも一緒に立たせておくと目立つからな…
「テレサは座れない…?」
「ん?ああ、そうだな…見ての通り、他は空いてないからな…あー…気にするな、目的地はすぐだからな。」
先に釘を刺しておく…クレアの影響か、こいつは私たちに必要以上に気を使う様になったからな…
「……我、下りる。」
やっぱり言って来たか…
「良い。私の事なら気にするな…すぐに着くからな。」
腰を上げかけたオーフィスの肩に手を置き、座らせる…目的地のショッピングモールまでは二つ先の停留所で降りる必要がある…こいつ、それ迄我慢出来るのか?
…こいつがこういう感情を持つ事を悪い事だとは思わないが…どうも極端なんだよな…どうやって教えたら良い物か…実際、間違っている訳じゃないしな…
「……」
私が少し気を抜いた瞬間にまたオーフィスが席を立ちそうになったのに気付き、今度は少し力を入れて座らせる…頼むから大人しく座っててくれ…
……私の頭の中で走行中のバスで席を立ち、転けるオーフィスの姿が頭を過ぎり溜息を吐く…こいつがその程度で怪我をするとは思わんが、好き好んでそんな光景を見たいとは思わん。